熊本熊的日常

日常生活についての雑記

娘へのメール 先週のまとめ

2008年10月27日 | Weblog

元気ですか?

中間試験は手応えがあったようで、なによりです。試験の点数自体には意味はありませんが、何をどうすればどういう結果が出るのか、ということをしっかり学習するとよいと思います。あと、物事を考える上で、どうしても基礎となる知識は必要ですから、そのあたりのことも踏まえて日々の勉強に取り組むとよいでしょう。

高校の文化祭ともなると、演劇やコーラスに限らず、かなりのレベルになるのでしょうね。尤も、私の高校時代は、大学受験の準備のほうに一生懸命で、学校行事を熱心にやってる奴はあまりいなかったように思います。今から思えば、それはもったいないことだったと思います。少しぐらい受験勉強の時間を削ったところで、学力が極端に変化するわけではありません。それなら、高校時代にもっと好きなことをやってみればよかったかなと、多少の後悔の念は未だに拭えないでいます。

大学に入った時、付属校から進学してきた連中は受験勉強など必要なかったので、みなそれぞれに個性的な奴が多かったように思います。そういう連中を目の当たりにして、なんだかとてもうらやましく感じたものです。

でも難しいですよね。自分の好きなことを見つけるというのは。目の前に、取り敢えず片付けなければならないことが次々に現れて、ついついそういう人生にとって根幹に通じるものなのか、枝葉末節に過ぎないのか、わけがわからないうちに流されてしまうというのが多くの人の人生であるような気がします。しかし、それではつまらないですよね。

さて、先週は、世の中は大変なことになっていますが、個人的にはいつもとかわらぬ一週間でした。スーザン・ソンタグの評論集はまだ読み終えていませんが、中沢新一の「アースダイバー」を読みました。この本は学校や区の図書館にありますかね? 中沢新一というのは宗教学者です。その叔父が網野善彦という歴史学者で、どちらも日本を代表する人たちです。名前くらいは記憶にとどめておいたほうがいいいでしょう。「アースダイバー」は現在の東京に縄文時代の地図を重ねて、そこに暮らす人々の心理地図と実際の物理的な風景がいかに深く結びついているかということを語っています。

映画はYou Tubeで黒澤明監督の「乱」を観ました。日本映画というのは、予算の制約もあって、総じてテレビドラマに毛の生えた程度のものが多いのですが、なかには世界の映画人が注目する作品もあります。また、文化の違いのために海外では評価されないけれど、日本人としては観ておいたほうがよい作品というのもあります。黒澤作品は世界が注目するものです。今の時代からみれば、やはり古さというものがあります。その時代の流行のようなものもありますし、科学技術や社会風俗の変化のために、今となっては陳腐なものもあります。「乱」に限らず、黒澤作品はひとつひとつのカットの映像としての完成度の高さに特徴があると思います。あと、人間の自我とか欲といった普遍性のあるテーマを、わかりやすいストーリーに乗せているというのも海外から評価を受けやすい要因のひとつかもしれません。黒澤明のほかに日本人の映画監督で世界的に有名なのが小津安二郎です。ふたりとも、映像の細部にまでこだわることで有名で、そうしたひとつひとつの練りに練られ緻密に構成されたカットを積み重ねることで、作品に深さを与えるというスタイルです。

その「乱」ですが、これはシェイクスピアの「リア王」を日本の戦国時代を舞台にした時代劇で表現したものです。「リア王」は日本でも文庫本で読むことができます。それほど長い話ではないので、機会があれば是非読んでください。

では、また来週。風邪などひかぬよう、気をつけてください。


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