熊本熊的日常

日常生活についての雑記

東京へ

2009年06月22日 | Weblog
札幌ではおいしいコーヒーが飲みたいと思っていた。8時頃に起床し、9時頃に宿を出る。札幌駅を通り抜けて南口に出て、事前に場所を調べておいたカフェ・ド・ノールへ行く。

札幌グランドホテルの向かいに北海道ビルという古いビルがあり、その地下にある店だ。全体に照明を落とし気味にしたシックな雰囲気である。管球アンプとJBLのスピーカーセットが印象的なオーディオでジャズが流れる。メニューは絞り気味で食べ物はトーストくらいしかない。喫茶店というよりは珈琲屋である。初めての店なのでメニューの先頭にあるフレンチ・ブレンドをいただく。ボディを強めにして酸味を抑えた味で、店の個性が出ていると思う。店の構えに負けないしっかりした味でたいへん満足した。1時間ほどかけて初めての店を味わった。

店を出て、すぐ近くの北海道庁を訪れる。煉瓦造りの旧本庁舎を訪れるのは今回が初めてではないのだが、外観以外は全く記憶に残っていない。改めて内部を眺めてみると、その無骨な造りに時代を感じる。建った当時は開拓途上の原野のようなところに忽然と現れたような雰囲気だったのかもしれない。この建物を眺めていると、昔、テレビで観た「獅子の時代」というドラマを思い出した。

11時半に東急百貨店の入口で友人と待ち合わせた。19年ぶりの再会なので、それなりに時の流れというものは感じられるのだが、再会と言っても、親しく言葉を交わすのは、今回で3回目くらいだ。初めて会ったのは1984年3月にオーストラリアを旅行したときのこと。往復のフライトが同じだったが、着いた何日か目にシドニー郊外のブルーマウンテンで偶然出くわしたのと、さらにその後何日かを経てマウント・アイサからスリー・ウエイズを経てアリス・スプリングスへ向かうバスで一緒になったのと、帰国便に乗るメルボルンで同じ宿に逗留していたというだけで、オーストラリア滞在中は殆ど言葉を交わしていない。帰国後に年賀状とか暑中見舞いのやりとりが続いた程度なのだが、なぜかそうした細々とした交流が絶えることがない。1990年の夏に札幌へ遊びに行った際に、1日街を案内してもらったのが2回目の出会いで、実質的にはこの時に初めて話らしい話をしたのではないだろうか。そして今回の再会である。以前にもどこかに書いたかもしれないが、人と人との縁というのは、毎日のように顔を合わせていても一向に親しくならないものもあれば、たまにしか合わなくても親しさを感じるものもあるから不思議である。結局、今日はかに本家で昼食を共にして、その後、駅ビルのなかにあるイノダコーヒーに場所を移して上野へ向かう北斗星の出発間際まで話をしていた。

北斗星は特に変わったところもない寝台特急なのだが、今は寝台特急というものが珍しい列車になってしまったので、出発風景が普通の長距離列車とは少し違ったものに感じられた。なんとなく、乗客が楽しそうに見えるのである。それはおそらく、多くの人が、この列車に乗りたくて乗車するからなのだろう。自分が好きなことをするのだから楽しいのは当然だ。

北斗星は荷物車を含め12両編成で、私の席は9号車の8番、「ソロ」という名称の個室B寝台である。B寝台でも十分な広さがあり、入口はカード式の鍵がかかるようになっている。これまでに利用した乗り物のなかでは、費用対効果という点でも、単純に快適さという点でも最高水準にあると思う。

津軽海峡の下で就寝前の歯磨きを行う。

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