熊本熊的日常

日常生活についての雑記

深夜の風景

2014年02月01日 | Weblog

仕事の上がりが遅くなったので、中央線で新宿まで行って、そこから深夜バスに乗って帰宅した。前の職場も今の職場もコスト管理には妙に喧しく、以前なら当たり前のように支払われていた残業時のタクシー代が、複雑怪奇な手続きを経ないと支払われない。タクシー代の請求など、そう頻繁にあることではないし、つまらないことであちこちにメールを送って事情を説明するのは馬鹿馬鹿しいことでもあるので、そういうことを避けることにした。具体的には、新宿までの中央線がある時間に仕事を切り上げて、タクシーを利用しないということだ。

東京駅を0時27分に発車する中央線各駅停車に乗る。山手線に遅れが出ていて、その接続を取るとのことで次の神田でしばらく停車する。定刻を6分遅れて発車し、さらに次のお茶の水で総武線各駅停車との接続を取るため追加で2分ほど遅延。金曜深夜、終電のひとつ前の電車なので、各停車駅からそれなりに多くの乗客が乗り込んでくる。新宿に着く頃にはかなりの混雑だが、朝の通勤時間帯ほどではない。新宿到着は定刻を5分遅れて0時55分。新宿駅ではこの電車に接続する私鉄もあるようで、小田急線も京王線もそれぞれの駅職員がハンドマイクを持って乗客の誘導にあたっていた。小田急線との連絡口のほうはかなりの人の流れができていたが、京王線のほうは桜上水行きということもあり、人影は殆ど無かった。京王線連絡口を横目に駅前地下街へ抜ける出口を通り、階段で地上に出る。

京王百貨店前の深夜バス乗り場は、昼間、空港へのリムジンバスが発着するところの並びだ。自分が乗るつもりのバスは1時20分発だが、既にバスが停車して乗車が始まっていた。かなり長い行列があり、その最後尾に並ぶと、すぐにバス会社の人が整理券を配りに来た。受け取った券には「2号車9番」と書かれていた。バスは少なくとも2台運行されるらしい。その2号車もほどなくやって来て乗車が始まる。バスの入口で整理券を渡して行き先を告げ、料金を支払って乗車券を受け取る。やや煩雑な感もするが、降車を円滑に行うにはこういうのが良いのだろう。最前列通路側の席に着いた。1号車にどれほどの客が乗ったのか知らないが、2号車は満席となり、補助席を4つか5つ使うことになったようだった。バスは1時22分に発車。

金曜深夜なので、なかには酔客もあるだろうが、質の悪いのは見かけず、皆黙々と秩序立って乗車している。車内は静かで快適だ。道路は空いていて、順調にバスは進む。最初の停留所は芦花公園駅入口。降車客数名。その後、千歳烏山、給田、仙川駅入口、つつじヶ丘駅北口の順に停車。それぞれの停留所で数名ずつ降りた。

つつじヶ丘駅は、駅舎入口にはシャッターが下りていたが、ホームの照明は点灯していた。ホーム上に人影はなかったが、線路では保線作業が行われていた。深夜に働いている人たちを見るにつけ、童話の靴職人の小人たちのことを思い出す。人の生活というものは止まることがない。昼間営業している商店や街中のあれこれは、こうして人々が寝静まった時間帯に保守点検清掃商品補充など昼間の営業を支える活動が行われる。それが仕事といえばそれまでだが、普段見えないところで何が行われているかということに対する想像力はしっかりと持っておきたいと思う。靴屋の主人夫婦が夜中に働く小人たちに感謝し彼らを慈しむ気持を抱くことで店は繁盛する。見えないところを意識する力というのは、豊かさをもたらすものだと思う。


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