万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

国際法に基づいた解決が抜け落ちている中国の世論調査

2010年11月09日 15時39分07秒 | 国際政治
交渉6割、武力4割弱=領土紛争解決で中国世論調査(時事通信) - goo ニュース
 尖閣諸島をめぐって日中の緊張が高まる中で、中国で、この問題を問う世論調査が行われたそうです。結果を見て唖然としたことは、選択肢から、国際法に基づいた解決がすっかり抜け落ちているのです。

 世論調査を実施したのは、中国共産党機関紙系の環球時報とのことですが、そもそも、アンケートの回答そのものが偏向しています。解決方法の回答は、武力解決(36.5%)と、交渉による解決(59.3%)に分かれ、後者の方が支持の回答が高かったそうです。しかしながら、”国際法に照らして解決する”とか、”国際司法裁判所に提訴する”という選択肢はなかったようなのです。これでは、”中国領”を前提とした誘導世論調査に過ぎません。むしろ、”棚上げ論”を含めた自国の主張の既成事実化のため、あるいは、交渉に持ち込むための、対日宣伝戦術とも考えられます(交渉論は、いわば”戦わずして勝つ”作戦…)。

 尖閣諸島は、国際法においても、歴史においても我が国の領土であり、一方の中国の領有権主張には、これらの根拠が欠如しています。日本国政府は、中国の巧妙な作戦に惑わされないよう、充分に気を付けるべきと思うのです。

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