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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国包囲網―バランス・オブ・パワーを学んだアジア諸国

2010年11月23日 15時32分24秒 | 国際政治
強硬な中国を懸念する会話があちこちで(フィナンシャル・タイムズ) - goo ニュース
 先日、中国の共産党系機関紙の雑誌『環球時報』に、冷戦時代のように共産主義勢力、つまり、中国に対抗するために、アメリカと同盟を組むような国はアジアにはない、という内容の記事が掲載されたそうです。その一方で、現実には、アジア諸国は、中国の覇権主義を抑えるために、アメリカとの協力を強化する方向に動いています。

 中国の行動パターンが、確固とした安全保障の枠組みが存在していなかった、19世紀末のヨーロッパに類似しているとしますと、今日のアジア諸国もまた、当時のヨーロッパ諸国の経験を参考に、バランス・オブ・パワーを考慮して行動することは当然のことです。ヨーロッパでは、一国が支配的な地位を確立しないように、常に近隣の諸国が団結し、対抗勢力や包囲網を形成しきました。中国は、歴代王朝が周辺諸国を冊封体制に組み入れたときのように、今日でも、アジア諸国を容易に従属させていくことができると踏んでいるのかもしれません。しかしながら、先例から学ぶことができる現代のアジア諸国には、中国の覇権主義を抑止するための知恵と知識があるのです。

 アジア諸国が、中国の領土的野心を押さえ込むために、巨大な軍事力を要するアメリカを核とした対中包囲網を形成するのは、極めて合理的な政策判断なのではないかと思うのです。中国は、ここでも、時代錯誤の認識に捕われているのではないでしょうか。

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