万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

時代を逆走するロシア

2010年11月03日 14時22分26秒 | 国際政治
北方領土、「日本を支持」=ロ大統領の国後訪問受―米(時事通信) - goo ニュース
 我が国の民主党政権の弱腰外交は、ついに北方のロシアが牙をとぐ隙を与えてしまったようです。先日も、メドヴェージェフ大統領が国後島を訪問し、北方領土領有を既成事実化すべく、着々と歩を進めています。

 現代から近代に時代が逆戻りの感もありますが、ロシアの国際法無視は、近代よりも酷いぐらいです。何故ならば、近代でさえ、領土の割譲には、国際的な合意を要したからです。例えば、第一次世界大戦では、ヴェルサイユ講和会議が開催され、両陣営の当事国の間で講和条約が締結され、国境の線引きが、国際的な合意の上でなされました。たとえ戦勝国となったからといって、一国が、勝手に、他国の領土を併合することはできなかったのです。現在でも、当然、国際法上の根拠なき領土の領有は、不法な占拠とみなされています。

 最近、ロシアの高官が、北方領土に領土問題があるのは、ソ連が、サンフランシスコ講和条約に参加しなかったから、と述べたと報じれており、条約上の根拠がないことは、ロシア側も認めているようです。しかしながら、たとえ参加していたとしても、連合国側の不拡大方針を考慮すれば、北方領土の割譲を、ソ連以外の連合国が認めたとは思えません。そうして、現在においても、アメリカがヤルタ協定の効力を否定し、日本国の立場を支持し、欧州議会もまた、北方領土は日本国の領土とする見解を示していますので、ロシアの北方領土領有に関する国際的な合意は成立しないと思うのです。

 ロシアは、中国と共に、近代をも通り越して、法なき時代まで逆走しているように見えるのです。

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コメント (2)
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