万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ノーベル平和賞授賞式欠席―中国の逆踏み絵

2010年11月19日 11時29分40秒 | 国際政治
ロシアなど5カ国も欠席=平和賞授賞式―ノーベル賞委(時事通信) - goo ニュース
 ”踏み絵”とは、他者の思想をチェックする手段であり、支配者側の思想統制と検閲を含意した究極の脅しでもありました。全体主義国家では、現代でもこうした脅迫的な手法が採られており、権力者側は、自国民の内面にまで踏み込み、完全に支配できる権利が政府にあると信じています。

 ノーベル平和賞授賞式の欠席を要求する中国の行為もまた、自国民のみならず、他国にも踏み絵を踏むように迫るようなものです。踏み絵を踏んで、民主主義や自由を否定した国は、”体制側”として厚遇し、拒否した諸国は”反体制側”と見なして懲罰を与えるべきであると。授賞式の出欠は、中国による思想チェックの場と化してしまったかのようです。

 もっとも、国際社会の圧倒的多数が、民主主義と自由を擁護するに至った現実は、中国にとっては、誤算であったかもしれません。他国に踏み絵を踏ませているようで、逆に、自国が非民主的であることを証明する踏み絵を、踏せてしまったのですから。中国の強引な手法は、警戒すべき危険な非民主国家を炙り出すことになったのではないでしょうか。

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コメント (2)
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