国連安保理、きょう緊急会合=日米、強力な制裁要求へ―北朝鮮核実験
国際社会の制止を振り切って北朝鮮が行った第6回目の核実験は、ICBM搭載型の水爆である可能性も否定できず、朝鮮半島情勢は、新たな次元に移行したとする見解も聞かれます。
六か国協議の再開については、既にかの中国さえも断念したとも伝えられており、北朝鮮の時間稼ぎ、あるいは、核とICBMを“凶器”とした脅迫による“身代金要求”の場となる話し合い路線は、今般の実験で遠のいたと言えます。そこで、残る選択肢は、武力制裁か、あるいは、経済制裁となりますが、どちらが選択されるかは、中ロの対応次第となりましょう。そこで、今後の展開については、幾つかのシナリオが想定されます。
アメリカは現在、対北経済制裁網を強化し、制裁対象は、中ロを含む北朝鮮と取引のある全ての諸国に拡げております。“対北兵糧攻め”は同時に、中ロの経済にもマイナス影響を与えており、いわば、中ロに対しても間接的な圧力として働いています。今後、さらにそのレベルを上げるとしますと、中ロは、北朝鮮を見捨てるか、あるいは、表の仮面、即ち、“世界の警察官”としての常任理事国の責任をかなぐり捨てて北朝鮮を支援するか、の選択を迫られることとなります。
仮にアメリカが、中ロの合意を取り付けることができれば、この問題は、短期間で決着が付くかもしれません。両国による石油禁輸が実施されれば、北朝鮮の核・ICBM開発、燃料不足等により大幅に抑制されますし、生産力の著しい低下は金正恩体制をも揺さぶります。また、石油禁輸によって北朝鮮が暴発した場合でも、北朝鮮の“兵站”は断たれていますので、その被害は最小限に留めることができます。なお、武力制裁は、核施設やミサイル基地を徹底的に破壊する点において、目下の脅威を即時に取り除き、北朝鮮の軍事力を大幅に削ぐ点においてメリットがあります。中ロも、国際社会における“世界の警察官”の役割と責任を自認し、常任理事国の特権の維持を望むならば、協力せざるを得ない立場にあります。
その一方で、中ロがあくまでも北朝鮮を擁護する立場を堅持し、両国が軍事的な支援を表明した場合には、北朝鮮の核・ICBMの保有が固定化されるのみならず、米中戦争、あるいは、米陣営対中ロ陣営による第三次世界大戦にまで発展することも予測されます。このケースでは、アメリカの対応は二つに分かれるかもしれません。
第一の対応は、一帯一路構想を掲げる中国の領土拡張主義や習近平独裁体制の確立を計算に入れた上での、早期対中開戦の容認です。これは、ハイテク軍事技術の急ピッチな向上により、近年、米中間の軍事的格差は縮小しつつあり、将来の何れかの時点で、中国から重大な軍事的挑戦を受けるのであれば、時期が早いほどアメリカ側に有利とする考えに基づきます。ただし、北朝鮮とは軍事同盟の関係にないロシアまでもが軍事介入を試みた場合、アメリカが軍事力において両国を凌駕できるか否かは不透明であり、慎重な判断を要します。
第二の対応は、上記の何れの戦争も回避する一方で、対北政策の一環ではなく、直接、かつ、広範囲にわたって中ロ陣営への経済制裁を徹底することです。特に、外資を受け入れることで急激な経済成長を達成した中国経済は、アメリカ、並びに、その同盟国への経済依存度が高く、ハイテク兵器の分野でも製造に要する部品等も輸入頼りが少なくありません。外資系企業の撤退や輸出入制限は“兵站”を断つ効果があり、元より経済力に乏しい北朝鮮よりも高い効果が期待できます。その間、アメリカ並びに同盟諸国はミサイル防衛技術を始めとした軍事力の増強に努めることとなりますが、このシナリオは、冷戦構造の復活と言えるかもしれません。
ところで、安保理緊急会談での提案が予定されている石油禁輸措置については、“くせ玉”なる可能性があります。何故ならば、北朝鮮の敵視の先は、アメリカやその同盟国となるとは限らず、中国に向く可能性があるからです。元瀋陽軍と北朝鮮軍部との関係は以前から知られており、しかも、中国東北部に睨みを利かせたいロシアが影響力を浸透させていた可能性があります。石油禁輸をめぐってロシアのみが北朝鮮の擁護に回る場合、中ロの結束が崩れる切っ掛けとなるかもしれません。もっとも、このシナリオでは、南シナ海問題を考慮すれば、即、米中接近とはいかず、米中ロ間の相互牽制により先が読みにくい状況となりますが、二極ではなく、三極冷戦に至る可能性もないわけではありません。
今般の一件は、暴力主義を奉じる北朝鮮に非があることは明白でありながら、国連安保理常任理事国の中ロが背後に潜んでいることから、第二次世界大戦後の国際秩序の行方をも左右する事態に至っています。今や、戦後に構築された法の支配を基調とした国際秩序は崩壊の危機に瀕しており、北朝鮮、並びに、その支援勢力の瀬戸際作戦で追い詰められているのは、全人類に他なりません。これらの勢力が、全世界を再び戦禍に巻き込み、無法な野蛮世界に逆戻りさせるとしますと、人類に対する罪は重いのではないかと思うのです。
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国際社会の制止を振り切って北朝鮮が行った第6回目の核実験は、ICBM搭載型の水爆である可能性も否定できず、朝鮮半島情勢は、新たな次元に移行したとする見解も聞かれます。
六か国協議の再開については、既にかの中国さえも断念したとも伝えられており、北朝鮮の時間稼ぎ、あるいは、核とICBMを“凶器”とした脅迫による“身代金要求”の場となる話し合い路線は、今般の実験で遠のいたと言えます。そこで、残る選択肢は、武力制裁か、あるいは、経済制裁となりますが、どちらが選択されるかは、中ロの対応次第となりましょう。そこで、今後の展開については、幾つかのシナリオが想定されます。
アメリカは現在、対北経済制裁網を強化し、制裁対象は、中ロを含む北朝鮮と取引のある全ての諸国に拡げております。“対北兵糧攻め”は同時に、中ロの経済にもマイナス影響を与えており、いわば、中ロに対しても間接的な圧力として働いています。今後、さらにそのレベルを上げるとしますと、中ロは、北朝鮮を見捨てるか、あるいは、表の仮面、即ち、“世界の警察官”としての常任理事国の責任をかなぐり捨てて北朝鮮を支援するか、の選択を迫られることとなります。
仮にアメリカが、中ロの合意を取り付けることができれば、この問題は、短期間で決着が付くかもしれません。両国による石油禁輸が実施されれば、北朝鮮の核・ICBM開発、燃料不足等により大幅に抑制されますし、生産力の著しい低下は金正恩体制をも揺さぶります。また、石油禁輸によって北朝鮮が暴発した場合でも、北朝鮮の“兵站”は断たれていますので、その被害は最小限に留めることができます。なお、武力制裁は、核施設やミサイル基地を徹底的に破壊する点において、目下の脅威を即時に取り除き、北朝鮮の軍事力を大幅に削ぐ点においてメリットがあります。中ロも、国際社会における“世界の警察官”の役割と責任を自認し、常任理事国の特権の維持を望むならば、協力せざるを得ない立場にあります。
その一方で、中ロがあくまでも北朝鮮を擁護する立場を堅持し、両国が軍事的な支援を表明した場合には、北朝鮮の核・ICBMの保有が固定化されるのみならず、米中戦争、あるいは、米陣営対中ロ陣営による第三次世界大戦にまで発展することも予測されます。このケースでは、アメリカの対応は二つに分かれるかもしれません。
第一の対応は、一帯一路構想を掲げる中国の領土拡張主義や習近平独裁体制の確立を計算に入れた上での、早期対中開戦の容認です。これは、ハイテク軍事技術の急ピッチな向上により、近年、米中間の軍事的格差は縮小しつつあり、将来の何れかの時点で、中国から重大な軍事的挑戦を受けるのであれば、時期が早いほどアメリカ側に有利とする考えに基づきます。ただし、北朝鮮とは軍事同盟の関係にないロシアまでもが軍事介入を試みた場合、アメリカが軍事力において両国を凌駕できるか否かは不透明であり、慎重な判断を要します。
第二の対応は、上記の何れの戦争も回避する一方で、対北政策の一環ではなく、直接、かつ、広範囲にわたって中ロ陣営への経済制裁を徹底することです。特に、外資を受け入れることで急激な経済成長を達成した中国経済は、アメリカ、並びに、その同盟国への経済依存度が高く、ハイテク兵器の分野でも製造に要する部品等も輸入頼りが少なくありません。外資系企業の撤退や輸出入制限は“兵站”を断つ効果があり、元より経済力に乏しい北朝鮮よりも高い効果が期待できます。その間、アメリカ並びに同盟諸国はミサイル防衛技術を始めとした軍事力の増強に努めることとなりますが、このシナリオは、冷戦構造の復活と言えるかもしれません。
ところで、安保理緊急会談での提案が予定されている石油禁輸措置については、“くせ玉”なる可能性があります。何故ならば、北朝鮮の敵視の先は、アメリカやその同盟国となるとは限らず、中国に向く可能性があるからです。元瀋陽軍と北朝鮮軍部との関係は以前から知られており、しかも、中国東北部に睨みを利かせたいロシアが影響力を浸透させていた可能性があります。石油禁輸をめぐってロシアのみが北朝鮮の擁護に回る場合、中ロの結束が崩れる切っ掛けとなるかもしれません。もっとも、このシナリオでは、南シナ海問題を考慮すれば、即、米中接近とはいかず、米中ロ間の相互牽制により先が読みにくい状況となりますが、二極ではなく、三極冷戦に至る可能性もないわけではありません。
今般の一件は、暴力主義を奉じる北朝鮮に非があることは明白でありながら、国連安保理常任理事国の中ロが背後に潜んでいることから、第二次世界大戦後の国際秩序の行方をも左右する事態に至っています。今や、戦後に構築された法の支配を基調とした国際秩序は崩壊の危機に瀕しており、北朝鮮、並びに、その支援勢力の瀬戸際作戦で追い詰められているのは、全人類に他なりません。これらの勢力が、全世界を再び戦禍に巻き込み、無法な野蛮世界に逆戻りさせるとしますと、人類に対する罪は重いのではないかと思うのです。
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ご無沙汰しております。
今、時間が限られておりますので、手短に・・・
中露をはじめとする北朝鮮支援勢力の複雑な力関係、及び国際世論(メルケルの主張する対話路線が主流)にも関わらず、米国の先制攻撃による軍事オプション行使の選択肢の余裕はどんどん狭まっています。
北朝鮮がMIRV化(まだ時間はかかるでしょうが)を実現すれば、米国のミサイル防衛バリアーは無力化されます。
今回の核実験の結果、北朝鮮の核弾頭技術の開発との結果と合わせて、このままでは米国をはじめ国際社会は北朝鮮の脅迫に屈服することになるでしょう。
短絡的、暴論の誹りを敢えて甘受すれば、米国の先制攻撃は、先生の仰る国際秩序の維持のため、最善の選択肢の一つとなりつつあると思います。
今般の北朝鮮問題で明白となったことは、メルケル首相の対応のように、西側陣営の内部にも、暴力主義国家を平和主義の立場から擁護する勢力が潜んでいることです。実のところ、北朝鮮支援勢力は、中ロに限定されているのではなく(中ロは表舞台のアクターに過ぎない…)、全世界に散らばっていると言えましょう。そうであるからこそ、冷静、かつ、全人類の善き未来を見据えた決断を要するのではないかと思うのです。