万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

自民党が‘偽旗政党’になる日?

2020年07月24日 11時20分12秒 | 日本政治

 自由民主党と申しますと、結党以来、日本国の保守政党として不動の地位を築いてきた政党です。保守層からの信頼も厚く、支持政党を問う世論調査においても、常に第一位を安定的に保ってきました。日本国の国民性として、しばしば急激な変化を好まず、強いリーダーシップよりもコンセンサスを重視する保守的傾向が指摘されてきましたが、民主党政権時代の一時期を除いて自民党が長らく政権与党の座にあり、一党優位体制を維持してきたのも、こうした国民性にマッチしていたからなのかもしれません。

 

 自民党の政治的スタンスは、日米同盟を基盤とする親米保守にあり、防衛や国益を重視する点において愛国主義的でもありました。平和主義の理想に走りがちな左派とは一線を画しており、米ソが鋭く対立した冷戦時代にあっては、共産主義とは対極の立場にあったのです。‘村政治’と揶揄されながらも、‘自民党を支持してさえいれば日本国は安泰である’、とする一種の安心感が国民の間にも広がっていたと言えましょう。

 

ところが、近年、その自民党に大きな地殻変動が生じてきています。おそらくそれは、田中角栄政権の時代に芽を出し、アメリカのオバマ政権時代に急激に成長し、オバマ大統領去りし後も党内に蔓延ってしまった親中勢力によるものです。とりわけ、親中派のドンである二階俊博議員が幹事長に就任し、選挙における立候補者の選考・調整や政党助成金等の配分の権を握り、かつ、中国との間に強固な絆を有する公明党と連立を組むに至ると、自民党は親中色を強め、何事につけても中国配慮が目立つようになるのです。

 

例えば、グローバリズムの名の下における自国市場の一方的な対中開放、自国企業に対する中国市場進出の推進、技術流出の黙認、中国人留学生や観光客の積極的な呼び込み、中国出身者を含む移民政策への転換、習近平国家主席の国賓訪日など、自公政権は次から次へと親中政策を繰り出し、中国に操られているかのように同国を利してきました(交通分野では中国語や韓国語が併記に…)。しかも、国民的なコンセンサスを形成することもなく…。新型コロナ禍においては、親中配慮のあまりに政府の入国禁止措置が遅れ、‘日本国民の命よりも中国が大事なのか’とする批判も浴びることにもなりました。そして、尖閣諸島において中国公船の活動が活発化し、不当な領土要求を受けても‘遺憾の意’を表することしかできないとなりますと、国民の多くも自民党内の異変に気が付かざるを得なくなるのです。

 

そして、自公政権による親中路線への転換は、政権与党である自民党に対する懐疑心を呼び起こすこととなりました。保守政党としての表看板とその実態とが逆転してしまっているからです。このことは、自民党が、‘偽旗政党’に堕してしまうことを意味しています。‘偽旗作戦’とは、戦時にあって、味方と見せかけて敵方をおびき寄せて殲滅してしまう偽計の一種ですが、仮に、自民党が中国に傀儡政党と化すとしますと、それを知らずして保守政党・親米政党と信じて同党に投票した国民の多くは、中国にまんまと騙されてしまうこととなりましょう。新しく組織を結成して育てるよりも、既存の組織を乗っ取る方が簡単であるのは世の常ですが、自らの‘敵’としてきた組織を内部から掌握できれば、労せずして相手を倒したに等しいのです。

 

かつては、親米派から親ロ派、並びに、親中派に至るまで幅広い政治勢力を併せ飲んでいるところが自民党の美点とし、その内部的な多様性がプラス面に評価された時期もありました。しかしながら、中国が領土拡張、否、世界支配を目的に軍拡を推進する今日、日本国に対しても牙を剥く中国が日本国の政権与党を乗っ取るとしますと、これは、日本国民にとりましては重大な危機となりましょう。新型コロナウイルス禍を機に中国の悪行が露呈し、日本国民の対中感情も頓に悪化しております。中国に逆風が吹き荒れる中、自民党が親中姿勢を貫くとしますと、偽旗作戦を見抜いた日本国民は、同党に対して保守政党の看板を下ろし、既にある‘日本共産党’ではなく、正直に‘中国共産党’と名乗るように求めるのではないでしょうか。

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