先月10月27日に投開票が行なわれた衆議院議員選挙の結果は、与党側の敗北という結果に終わりました。自公政権に対する国民の不満が募っていただけに、予測通りの結果とはなったとですが、同選挙結果で特に注目を浴びているのが国民民主党です。解散前の7議席から28議席へと議席数を4倍にしたのですから驚くべき躍進です。
同党の勝因については、様々な指摘があります。かつての民主党政権に懲りた無党派層が、野田佳彦代表率いる立憲民主党への投票を避け、より‘悪夢の民主党政権時代’のイメージの薄い国民民主党を選択したとする説、保守政党としての自民党の‘偽りの看板’に気付き、浮動票となった保守層の票が立憲民主党よりも自民党に近い国民民主党に流れ込んだとする説、物価高や所得の相対的低下に苦しく国民の多くが、‘みんなの手取りを増やす’政策を公約に掲げた国民民主党に期待したとする説、政治に無関心であった若者層が国民民主党の若々しい斬新なイメージに共感したとする説などなど。今日の日本国の政治状況からしますと、何れも説にもそれなりの説明力がありますので、同党の勝因は複合的な要因が絡むものなのでしょう。
何れにしましても、同結果を受けて与党側の議席が過半数を下回り、少数与党となったことから、11月11日に行なわれる臨時国会での首相指名をめぐって混乱が生じています。自公両党は、国民民主党との「部分連合」を模索しているとされ、この構想が実現しますと、基本的には自公政権が継続されます。国民民主党を‘野党側’と信じて投票したものの、蓋を開けてみれば与党側に投票したことにもなり、落胆する有権者も少なくないことでしょう。もっとも、とりわけ同党が掲げる‘全て’の公約、すなわち基礎控除の178万円への引き上げをはじめとした所得税減税や消費税減税、社会保障負担の軽減、電気・ガソリン代の値下げ、円安効果の国民への還元等が全て実現すれば、それで満足する向きもあるかも知れません。従来の自公民路線が増税・負担増でしたので、財政に関する政府の基本方針が逆方向に転じるからです。
その一方で、野党側が首相指名で候補者を一本化し(決選投票・・・)、国民民主党が野党側候補者に投票する展開もあり得ますので(あるいは、国民民主党が投票用紙に代表の玉木雄一郎氏の氏名を記載するならば、立憲民主党その他の政党が足並みを揃えて玉木氏を指名すれば、玉木政権による政権交代の可能性も・・・)、何れにしましても、国民民主党がキャスティングボートを握っている観があります。しかしながら、首相指名、あるいは、連立政権の組み合わせが固まるのを前にして、国民民主党を取り巻く空気に変化が生じてきているように思えます。否、‘変化’と言うよりは、水面下で構想されてきた何かが表面化してきていると表現する方が適切であるのかもしれません。
その‘何か’とは、彗星の如くに登場した若手政治家をリーダーとする、世界権力が進めるグローバル政策をより忠実に実行する政府の樹立です。いわば、日本国におけるマクロン方式の試みとも言えましょう(‘小が大を飲む’・・・)。おそらく、自民党総裁選挙にあっては、小泉進次郎氏を首班とする新内閣の発足を期待していたのでしょうが(それ以前は河野太郎氏であり、東京都知事選では石丸伸二氏?)、同計画は、同氏の‘正体’が国民の前に露わになるにつれて萎んでゆきます。そこで、次なるチャンスとして再チャレンジしたのが、今般の早期解散と衆議院議員選挙であったのかも知れません。つまり、玉木政権成立とまではいかないにしても、‘小泉政権の代替シナリオ’、あるいは、事後的な対応としての‘玉木代表の小泉化’とする見方もできないわけではないのです。
実際に、マスメディアの論調は、小泉候補を思わせるほどに国民民主党に好意的です。その一方で、11月7日には駐日米大使のラーム・エマニュエル氏との会談が予定されていると報じられています。アメリカとイスラエルの両国籍を有するユダヤ人である同氏は、日本国に対する政治介入においてその強引さがとかくに批判もされてきましたが、リベラルなグローバリストでもあります。同会談は、グローバリストによる国民民主党の取り込み、あるいは、事実上の‘審査手続き’であるのかもしれません(アメリカ大統領選挙の日程は無視されているので、この場合、エマニュエル氏の立場は、アメリカではなくなく世界権力の‘駐日大使’・・・)。また、玉木代表は、唐突にXにて石破茂首相のブレーンとして起用された川上高司内閣官房参与について、‘ディープ・ステート論者’として批判し始めてもいます。同発言も、日本国民に向けられているというよりも、陰謀否定の姿勢を世界権力に対してアピールしているようにも見えてきます(陰謀の多くは事実ですので、陰謀を暴くのではなくそれを実行する側に与するというアピールに・・)。因みに、アジア版NATO設立構想は、第三次世界大戦への導火線ともなり得ますので、‘ディープ・ステート’には有利となります。
果たしては国民民主党は、日本国民のための政治を目指すのでしょうか。それとも、自公政権と同様にグローバル勢力の駒の一つとなるのでしょうか。アメリカ大統領選挙も間近に控え、ここ暫く、国民が目を離すことが出来ない状況が続くように思えるのです。