万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

岸田内閣改造を三次元構造論から見ると-深まる世界支配?

2022年08月12日 12時05分46秒 | 国際政治
 安部元首相の暗殺事件は、山上容疑者が供述した動機が世界平和統一家庭連合(元統一教会)に対する恨みであったことから、同教団との癒着問題が、元首相に留まらず自民党全体に波及することとなりました。今般の岸田内閣改造も、国民からの批判をかわすための措置とされており、同首相も、組閣に際して‘統一教会外し’を行ったと説明しています。ところが、岸田改造内閣の顔ぶれをみますと、事態はむしろ悪化しているのではないかと疑わざるを得ないのです。

 当初より、今般の内閣改造が‘とかげのしっぽ切り’となることは予測されていたのですが、新たに任命された閣僚には、世界平和統一家庭連合との関係が指摘されていた政治家が多数含まれています。教団との関係が判明している7人の閣僚を交代したものの、改造内閣では、山際経済再生担当相、加藤勝信厚労相、寺田稔法相、西村明宏環境相、岡田直樹地方創生兼沖縄北方担当相など、既に7人の教団関係者が見出されているのですから。同教団との関係から職を解かれた萩生田光一経産相も自民党の政調会長に起用されています。新内閣ナンバー2とされる高市早苗経済安保相にも同教団系雑誌のインタビュー記事に登場した過去があり、濃厚な疑いがあるのですが、自民党の保守系議員を主要メンバーとする「日本会議」そのものも同教団と同系列との指摘もあります。

 それでは、何故、自民党、あるいは、自公政権は、世界平和統一家庭連合と絶縁することができないのでしょうか。仮に同教団が、数ある新興宗教団体の一つに過ぎないのであれば、あっさりと縁を切ることができたはずです。自民党に対する国民の信頼を根底から崩壊させるリスクをとってまで、同教団との関係を温存させるとは考えられないからです。このことは、それほどまでに同教団の‘パワー’が日本国の政治に浸透していることを示しているのですが、この常識では考えられない現象は、三次元構造から見ますと、案外、すんなりと説明できるように思えます。

 三次元構造論とは、国際社会を国家間関係から成る平面的な二次元世界としてのみ見るのではなく、国家を越える私的な超国家権力体の存在を仮定して三次元的に理解しようとするものです。超国家権力体の存在は作業仮説と言うことになるのですが、同権力体の最終目的は世界支配にありますので、まずもって、全世界において構築されている支配装置のからくりを推理し、現実と照らし合わせながら解明することが重要な作業となります。

 この視点からしますと、超国家権力体は、日本国を自らの支配体制に組み込むために、先ずもって、新興宗教団体や左翼活動団体を含む政治団体など、自らの息のかかった様々な組織を設立すると共に、皇室を含め、政党、官僚組織、企業、学校、伝統宗教法人などの既存の組織をその権力、並びに、権威もろとも乗っ取るという作戦を展開しているものと推測されます。これらの組織の末端のメンバーは、気がつかぬうちに超国家権力体の‘駒’や‘手下’として使われてしまうケースも少なくないことでしょう。

また、愛国心は、同権力体にとりましては世界支配の障害となりますので、できれば自らの縁者や海外に出自を遡る人物を上部に配置するか、あるいは、保守を装おり、国民の愛国心を煽りつつ、それを自らの目的のために利用する必要があります。戦争を遂行するためには、国民の自発的な愛国心の高揚も不可欠であるからです。自民党、世界平和統一家庭連合、日本会議、公明党との奇妙な連携はこの目的から理解されますし、その背後に、アメリカのCIAが韓国のKCIAが蠢いており、そのさらに深部には、同権力体がしっかりと手綱を握っているのでしょう。極右と称される政治団体が、必ずしも国民国家の枠組みに拘らず、超国家主義と称される理由も、その実態が超国家権力体の下部組織であるからなのかもしれません。こうした視点から見れば、岸田首相による防衛力増強の方針も、日本国民に対する戦争誘導策の一環であるとも推測されます。

そして、行政のデジタル化も国境を越えた世界の一元的な支配の強力な道具となりますので、早急に進める必要性を同権力体は感じているはずです。グローバルに接続したネットワークを用いれば国民の個人情報を含むあらゆる政府の情報を収集できますし、情報統制も思いのままとなります。ワクチンリスクの全否定から‘デマ太郎’という異名をとった河野太郎氏がデジタル相に起用されたのも、国民からの如何なる批判や反対をも押し切る‘突破力’が期待されているからなのでしょう。ITやAIといった現代的なテクノロジーが活用されつつも、超国家権力体の支配の手法は、皇帝に権力を集中させる一方で、広域的な官僚制(現代のグローバル・デジタル・ネットワーク・・・)を敷いた古来の帝国とさして変わりはないようです。

三次元構造論からしますと、岸田改造内閣は、超国家権力体による世界支配を強化するための布陣としての側面が浮かび上がってくるように思えます。経済を見ましても、円安の流れは、輸入インフレによる物価高のみならず、割安感から日本の資産が安値で外資に買い取られる事態を招いています。また、今日、中国の手先と揶揄され、かのビル&メリンダ財団が‘大株主’となっているWHOが日本国内に支部を設置することに、岸田首相が独断で同意したとする報道もありました。三次元構造論は単なる仮説なのでしょうか、それとも、現実を説明するのでしょうか。仮にそれが現実であるならば、今や、日本国の国家の命運、並びに、国民の命に関わる重大な危機が迫っているのではないかと思うのです。

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