甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

元日の地元歩き その時母は……

2015年01月09日 05時07分05秒 | 町並みを行く!
 母はよくトイレに行く人でした。というより、外に行くと、用もないのに(?)行かなきゃいられない人でした。ですから、家族でどこかへ行くと、トイレを見つける度に、「ちょっと行ってくるわ-」と言いつつ、行くのです。

 いつだったか、家族で遊園地かどこかへ行き、その帰りにアベノの近鉄デパート(現在はアベノハルカスということで売り出し中です!)に寄って、そこでも当然トイレに行きました。

 父や私たちが分かれたところでじっと待っていました。たいていはしばらくすれば母は帰ってくるのです。たまに遅いときもありましたが、このときはものすごく遅かった。いつまで経っても戻ってこなかった。

 そこで、みんなで手分けして、探しに行って、しばらくしたらやっと見つけたんだったかな。「どうしてたの?」と訊くと、トイレで何かあったわけではなくて、勝手を知ったおなじみの近鉄デパートで迷ったというのです。来た道をそのままたどればいいものを、何か興味のあるものを見つけると、そのままホイホイとそちらに気を取られ、自分がどこにいて、どこに帰ればいいのかわからなくなることがありました。今は用心しているので、そんなことはないようですけど、息子の私にも母的な、目先にとらわれ、トイレにしょっちゅう行く変な部分があるようです。


 母との元日の散歩は、大阪のIKEAさんがある鶴町方面に行くことになりました。



 IKEAさんが建つくらいだから、鶴町地区というのは、大阪港の先端部の1つです。何事もだだっ広く、ポカーンとした感覚で人々の町があります。小さな工場が密集した出島になったところがあって、ここは住民はゼロです。ですから、元日はどこもお休みで、道も広いのに人気もなく、車も走らず、何台か停車中のトラックにも人影はありません。「何だかさびしいね。1人ではこんなとこは歩かれへんねえ」と母は言います。

 私は、たまに自転車で走ることがあって、この無機的なところと、クルーズ船が繋留してあったり、汚いと思っていた川に魚影を見つけたりと、こう見えて(工場街で人の温かみもなくて、まるで見るところもない?)なかなか面白い町なのになあと思っているので、立派な船などを教えてあげて、見直してもらうことにしました。

 すると、母はトラックのかげに隠れてトイレに行くというのです。本当に困った人だと思いつつ、「早くしておいで」と言ってあげて、自分にも母的な部分を感じ、なんともいえない気分で、クルマが全く通らない大きな道の真ん中で母を待ちました。

 今回の散歩の目玉、新千歳橋まで来ました。



 青色のこの橋は、川面に映える私の地元でも自慢の橋です。ただ階段の上り下りが大変で、歩行者・自転車は渡し船を使います。ところが、何とこの日、強風のため渡し船は運航中止でした。初めてそんな掲示を見て、年中無休かと思っていた大阪の渡し船も、こういう日があるのだと初めて知ります。

 となれば、歩いて渡るしかありません。七十いくつの母と五十いくつの私、2人は「寒いね」とか、「風が強いね」とか、富田林のPL教団の花火大会がこの橋の上からも見えるとか、PLの塔が煙突の間に見えるとか、寒さに耐えつつ眺望を楽しみました。IKEAさんも眺めることができました。なかなか行くことはないのですけど……。まあウチはIKEAさんの正反対、おしゃれじゃない武骨道まっしぐらで、ぱっとしないおうちですから。

 橋の構造物がとてもたくましく、映画などで巨大な建造物を映像化してもらうことがありますが、この橋はそんな偽物ではなくて、本物の巨大な建造物です。





 何人かの人に橋の上ですれちがいました。さっきの工場街をたずねる人はいなかったけれど、こちらの橋ではおばあちゃんとお孫さん、1人でスタスタと歩く人、母の知り合いの男性で、このまま天保山(てんぽうざん)まで巨大な橋を渡って歩いてくるという方にも出会いました。その方から「お母さんは元気だからねえ」と言われ、母は自慢げになりました。

 眺望と何人かの人とのすれ違いを経て、橋渡りが済んで、港を少し眺め、元日の散歩は終わりました。これで母のやる気が出たのか、翌日は奈良に行くことになりました。いつもは1人旅か奥さんと一緒なのですが、父が亡くなってから、母を連れ出すのが私の役目になったので、喜んで母を連れ出すことにしています。

 ただ、母の興味はものすごく限定的なので、そのツボとなるようなところを探して、これから春に向けても、何度でも連れ出してあげなくてはと思います。食堂・レストランはものすごく嫌がる母は、お弁当ならどこで買ってもおいしく食べる人で、とにかく野外で母とお弁当を囲んで食べることにします。





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