昔、大阪に住んでた頃、かなり昔です。近くに火山がないのが自慢でした。だから、近畿地方が日本の中心だい! 関東なんて、地震はあるし、火山もあるし、いつ何が起こるかわからないのに、みんな浮かれて東京騒ぎ、アホみたい! と、東京を見たことがないのに偉そうに思ってました。
もちろん、井の中の蛙だったのです。
少しずつ、近畿地方にも火山はあったし、あちらこちらに火山のあとがあるというのもわかってきました。高校の地学の授業で、近くの知らない山のフィールドワークがあって、少しだけ火山活動のあとを知ることができました。十代後半で少しだけ賢くなったのかな。
実は、大阪と三重との間のいくつもの山は、実は火山であった。溶岩みたいなものもたくさんあるし、紀伊半島の南には、過去の大爆発によってできた巨大な岩山、日本のエアーズロック(現在はウルル呼ばれている世界遺産! 日本では古座の一枚岩!)があるというのを知り、三十代の頃、そちらにも何度か出かけました。私の世界はほんの少し広がりました。
少しずつ、少しずつ自分の偏見をそぎ落として今に至っています。でも、今もいろんな偏見を抱えて生きているのだと思われます。それらのつまらない偏見を自らの中からそぎ落とすには、いろんなものを知らなくてはならないのに、私ったら、ネットと、お酒飲むのと、ボンヤリするのと、そんなことばかり。さらに新たな偏見にとりつかれているかも……。
もう少しテレビとかも見て、ニュースも見て、新聞も読まなきゃいけないのに、何もしていません。できれば、テレビから足を洗いたい!
ゴーンさんはどこにいるんですか? IRって、そんなに大事ですか? みんなカジノに燃えているんですね。外国の人の財布を当てにするなんて、日本という国も落ちぶれちゃったというのか、もう拝金主義は行くところまで行ってますね。
政治家に理念とか、理想とかないのかな。あの人たちは変なこだわりとカネだけなのかな。だったら、そんな政治は要らないな。
そうだ、今日読んでた本にこんなのがありました。
幕末の長崎の海軍伝習所の教官のカッテンディーケさんが、日本って、ものすごく防衛意識もないし、軍艦一隻で簡単に占領できてしまいますよと、長崎の商人さんを相手に漏らしたそうです。すると、その商人さんは、
「何のそんなことは我々の知ったことではない。それは幕府のやる事なんだ」という返事だった。(『長崎海軍伝習所の日々』というところからの孫引き)
ということばにビックリしたそうです。でも、現在の私とおんなじ意見でした!
私はそれでいいと思ってましたが、近代国家はそうではないようです。常に国民全体で、国と国との成り行きに一喜一憂すべきものである、というカッテンディーケさんの価値観だったそうです。それが近代国家としての国民であったそうです。
私は、それから百五十年して、近代国家の国民のあるべき姿から転落して、ショボクレ無関心オジイになったということか……。さすが、退化していますね!
幸か不幸か(たぶん幸!)、私はそうなった。今の若い人たちは、国家とか、国旗とか、国歌とか、中国や韓国や北朝鮮に負けない、どこにもない唯一無二の国・日本のその国民としてのプライドが形成されている。そうした価値観を推し進めているのが現政府という気分なのかもしれないです。いや、すごいなあ。
もう、私は脱落者で、そんな気持ちはあまりないです。とにかくまわりの国と仲良くして欲しいし、政治で無理なら、国民同士、経済を通じて、いろんなチャンネルで仲良くしていきたいのです。何か芸でもあれば、世界を旅してまわるんだけど……。
近畿地方に火山がない、というのが若いころの自慢でありました(その代わりに、温泉は少ないし、高い山はないし、きれいな山容のステキな山がないのが少し不満でした)。
でも、それはほんの短い時間であって、日本列島はどこでも平等に地震は起こるし、津波も来るし、台風も来るし、地殻変動だってあるのだと少しわかってきました。
そうなると、山ばっかりの紀伊半島が不機嫌にモコモコ山を重ねているのも、実は地面からのメッセージだし、潮岬と串本大島も、もっといろいろあるぜ、という大地からのメッセージなんだろう、そういう気がしてきました。
東南海地震のことを書こうと思って、いつもの遠回りをしています。
地質学者でない私が、何を偉そうに書こうとしているんだろう。
いや、どこでも地震は起きるし、近畿もごく当たり前に大地震が来る、というのを確認したかっただけです。
つづきは明日にしましょう! 最近ずっと日本酒を頂いてて、いい気分です。このままスッと眠れるかな。いや、どうだかわかりませんね。失礼しました!