* 「心のしくみ」というテーマで兼好さんが語っています!
身をやぶるよりも、心を傷ましむるは、人を害(そこな)ふことなほはなはだし。
病を受くることも、多くは心より受く。外より来たる病は少なし。
(a )を飲みて汗を求むるには、効なきことあれども、一旦恥ぢ(b )るることあれば、必ず汗を流すは、心のしわざなりといふことを知るべし。〈129段〉
病を受くることも、多くは心より受く。外より来たる病は少なし。
(a )を飲みて汗を求むるには、効なきことあれども、一旦恥ぢ(b )るることあれば、必ず汗を流すは、心のしわざなりといふことを知るべし。〈129段〉
☆ 空欄aに、現代の私たちが、ダイエットをしようという時、つい頼りにしてしまうものを漢字一字で答えてください。いや、ダイエットだけではなく、すべての場面で心身ともに自信がなくなったら、何に頼りますか?
☆ 空欄bに、冷汗が出るときで、「恥ずかしい」以外の感情を表すことばを漢字一字で答えてください。
☆ この文章の前段に、顔回という人は、他人に迷惑をかけないということを自分のポリシーにしていたと述べられています。そして、大人の何げないことばで(本人たちは傷つけようと言ったものではないのに、結局)、幼い人たちを傷つけることになることもある、ということが書かれます。
どちらも、誰かを傷つけないようにしている話です。
そしてこの文があって、すぐ後に高楼(こうろう)の額を書くために高いところへ釣り上げられた人が、書き終えて下りてくると髪が白髪に変わっていたというエピソード〈世説新語〉が取り上げられます。それくらい人の心というのはナイーブにできていると書かれます。
人の心は、強そうで弱く、弱そうで強い。矛盾するんだけど、それが同居している。
口語訳をしてみます。
体を傷つけることよりも、心を苦しめることは、人間を害することでは、一層ひどいものがある。
人が病気にかかることも、多くの場合、内面の心からかかるものである。外部から入ってくる病気は少ないのである。
(a )を飲んで汗を出そうとするする場合には、時によっては効果のないことがあるが、一度恥ずかしく思ったり、(b )ろしく思ったりすることがあると、きっと冷汗を流す事実は、それが心のなす働きであるというこを知り得るのである。〈129段〉
人が病気にかかることも、多くの場合、内面の心からかかるものである。外部から入ってくる病気は少ないのである。
(a )を飲んで汗を出そうとするする場合には、時によっては効果のないことがあるが、一度恥ずかしく思ったり、(b )ろしく思ったりすることがあると、きっと冷汗を流す事実は、それが心のなす働きであるというこを知り得るのである。〈129段〉
☆ 私たちは、他人に迷惑をかけないということをかたくなに守ろうとする。たいていの場合。時々は人に迷惑をかけるのが好きな人がいたり、迷惑をかけていても、そんなのは当たり前だ。私はすごいんだ、みんなそれを甘んじて受けろ、という人もいますが、たいていの人は他人に迷惑をかけるのはイヤです。
ほんの一瞬の出来事で、風貌・表情・頭髪に変化が起こる。円形脱毛症とか、白髪になったりする。背中などに悪い汗をかき、冷汗をタラタラと流す。
精神的ショックを受ける人、与える人、どちらかというと世の中は、人にショックを与える人の方が元気で、声も大きく、楽しそうに暮らしている。とはいうものの、そんな生き方は御免だけれど……。
それならいっそ、他人にいやな気持ちをばらまいたらしあわせになれるじゃないか? とも思いますが、人の性分は簡単にキャラクターの変革を許してくれないものです。
頭を染めても、すごい車に乗っても、仮面をつけても自分は自分。本質は変わりません。
だから、とにかく、他人の心を傷つけることだけはしないでいたい、と思うのです。
一瞬で変わるんですね。
それで、答えは、a・薬 b・恐 でした。