お相撲の今場所は、不思議な現象が起こっています。ずっと勝ち続けていた人が一度負けてしまうと、ガタガタと崩れてしまっているのです。
一人横綱で、休場明けにもかかわらず、重責を果たして勝ち続けていると思ったら、ガタガタと鶴竜さんは連敗したそうです。残念ながら、負けてしまった取り組みは見ていないので、どうして鶴竜さんが負けるのか、わからないです。先週くらいまではパーフェクトで、このまま全勝優勝かなと見ていました。それくらい前に出て、それくらいスキのない相撲をしていました。
ああ、それなのに、玉鷲さんに敗れてから、ガタガタときたようです。不思議です。
何となく安心してしまったところもあったのかと思いますが、私があれこれ想像しても仕方がありません。どうして崩れてしまったのか……。あと少し、大関戦は勝ってもらわないと!
豪栄道さんも、久しぶりの優勝賜杯かと思っていたら、勝ち続けていた五日目に、栃ノ心さんと全勝対決をして、全く力対力でぶつかり、手足の長さで栃ノ心さんにつかまれ、力勝負で負けてしまってから、勢いを失ってしまいました。彼なりに元に戻そうと修正しようとしていたけれど、一度狂ったリズムは取り戻せなかった。
気持ちなのか、リズムなのか、たまたまなのか、ケガでもしたのか、たぶん、気持ちなんだと思われます。
ずっと七連勝していた御嶽海さん、いつも館内にはタオルで応援するお客さんたちがいたみたいだけど、彼は低い姿勢から一気に持っていく相撲を展開していましたっけ。その彼も一度ずっこけてから、リズムを崩してしまった。やはり気持ちだったのか。
ケガや不調を抱えても、不死鳥のようによみがえる安美錦さんや照ノ富士さんみたいなお相撲さんが今場所はいなかったり、お休みだったりするので、みんなペースをもどせていない。
調子よくいっていたお相撲さんのみんなが、一度緊張が途切れてしまったら、元に戻せない中で、一人自分のペースを守り続けたのが栃ノ心さんでした。
彼は、ジョージア国出身のお相撲さんです。カスピ海と黒海に挟まれた、山がちの国で、国旗を見たらキリスト教のお国みたいです。私は行ったこともないし、想像でしかないけれど、ソビエトの外相だったシュワルナゼさんのふるさとだったり、あのスターリンさんのふるさとだったりしたようです。
現在は、ロシアとは高い山脈がありますので、隣接しているけれど、それなりに距離を置いた関係をとれているようです。ロシアも、高い山を越えて、小さな国に進出しようとはしていない。
カスピ海の天然資源をパイプラインで通して、その通路としての道を見つけたみたいだけど、昔からシルクロードの経路にもなっていた民族の十字路ではあったのでしょう。多民族国家として存在し、民族対立はそんなにないみたいです。
みんなキョトンとして、自分のあるがままを生きているみたいな感じです。それはある画家の作品から受ける印象でもありました。
冒頭の絵は、ニコ・ピロスマニさんという放浪の画家さんだそうで、彼の生涯を取り上げた映画もあったようです。私は見ていなかったけれど、絵は見たことがあるような気がします。
不思議な感じの絵です。どことなく栃ノ心さんに通ずるところがあるようで、改めて感心いたしました。
さて、栃ノ心さんは、今日、きっと優勝して、さわやかに勝ってくれることでしょう。私は期待しています。先々場所くらいから注目してたんだけど、今場所の快進撃は本物という気がする。ぜひ空白の大関の地位くらいまでめざしてもらいたいです。
そして、ぜひ今日も、豪栄道さんに勝った時のように、汗まみれになってインタビューに答えてもらいたいです。飾らない、そのまんまのお相撲さんです。