明日から休みということもあり、少しだらけた気持ちで日本シリーズを見ていました。
対戦成績は二勝二敗、今日勝てばシリーズ勝利が見えてきます。だから、ぜひとも今日勝って、一日休んで残り二試合を戦う。というのは理想的な展開です。
たぶん、今までの日本シリーズでも、二勝二敗からさらに三勝三敗になる可能性よりも、そのまま勢いで四勝二敗というパターンが多かったのではないか、と思います。人間がやることですから、流れをつかむと、実力以上の運というのか、勢いというのか、人間の能力以上の強いものがついてくるのです。逆に流れをつかみそこねると、どんなに頑張っても、何もかもがうまく行かなくなってしまう。
今日の試合でいくと、前日にサヨナラ勝ちをしたタイガースがいい流れをもっていいはずでした。初回の攻撃で、得点が入りそうな、いかにも神様が与えてくれたようなチャンスがありました。けれども、ほうら、簡単に点が入るぞ、という心のスキができたのか、それを逃してしまいます。それからはまるでチャンスは生まれず、相手投手に簡単にねじ伏せられてしまいそうでした。
(私は、タイガースひいきであり、そちらからの見方になってしまいます)
バファローズは、外人選手のホームランと、タイガースの守備の乱れで二点を取りました。試合は八回の裏になりました。ここで点数を入れないと、そのまま終わってしまう流れでした。
けれども、昨日も、体調不良から復帰した湯浅投手(三重県出身)が投げて試合の流れが変わったというのですが、この八回表も湯浅投手が無失点で裏の攻撃を呼び込むと、なんと、相手側は、エラーやら、連続安打を許したり、一気に六点を取ることができて、逆転してそのまま試合はタイガースが勝ちました。
NHKの中継カメラは、打たれた投手二人がたまたまベンチに並んで、うつむいていたり、何だか落ち着かない顔をしていたりしたのを映していました。
まるで、この二人が失投したから、タイガースは勝てたんだよ、というのを画面から視聴者に届けようとしているのが見え見えでした。
けれども、私は二人のそんなに落ち込んでいない、静かな闘志を感じることができました。たまたま打たれて、逆転を許したけれど、これはたまたまであって、次はそんなことはない、という面構えに見えました。
カメラの人も、そういう風にして撮っている気分もあったでしょうし、次の大阪ドームではこの人たちもまた躍動するでしょう。
試合なんて、スレスレのところでやっています。勝ったからって、騒いでいるヤツらには分からない、次の戦いは始まっている。
残り二試合を取ったものが、たまたまシリーズを制覇したということになっていますが、そんなことはどうでもいいことのように見えてきました。どれだけ自分の出せるものを出し、どれだけ納得のいくことができたか、それがすべてでしょう。
私は長年阪神フアンをやって来ましたけど、ちっとも浮かれた気分、うれしい感じにはなれなかった。それはまあ、よかったかなあとは思えたけれど、本当の日本シリーズはこれからなのかもしれないな、と思えました。
もうどっちが勝ったとしても、選手たちが納得できたのなら、もうどうでもいいやという感じです。何だか不思議です。