先日、ナゴヤに行きました。18キップで行きましたので、JRを利用して名古屋に出ました。あまり天気はよくなかった。晴れてたら、もっといろいろ行けそうな気がしましたが、どこにも行きたい気持ちは起きなかった。
古本市をめぐり、名古屋の駅あたりで三省堂書店に行き、そして、帰ってきただけでした。
名古屋で本を買うなんて、珍しいです。どうしても欲しい本がありました。それが梨木香歩さんの「丹生都比売(におつひめ)」でした。単行本を買いました。これまた私にとってはものすごく珍しいことでした。
文庫本が出ていないし、単行本を買ってしまった。
目玉は、「カコの話」でした。もう、二回くらい読みました。ストーリーは理解しましたけど、中味はイマイチわかっていないです。
どんな内容でしたっけ……。
小学校の先生をされてた方が、退職されて近くの公園を散歩している、ということでした。この人は、退職してから都心の方へ移ってきたのか(その辺の事情が現代的ですね)、引っ越しして二年になるそうでした。
その公園で新しい池を見つけた。普通は、だいたい二年も歩いてたら、知り尽くせると思うのだけれど、とても広大無辺な公園らしく、次から次と新しい池が出てくるようでした。
当然、都会の公園だから、管理事務所はあります。都会だから、池に住む生物たちも管理されていて、これはいる、こんなのはいない、などという識別があるようでした。それで、池の生物の中で見慣れない生き物の名前を発見します。
それがカコという生き物でした。
何かの間違いかもしれないし、物事にまともに向き合うのを仕事としていた私は、こんなあやしい情報が掲示されているのはけしからん、ということで管理事務所に出かけ、カコという生き物はミスか何かではないのか、間違ったままにしてあるのはよくない、というノリでクレームをつけます。電話ではなくて、ちゃんとそちらで交渉します。これがさすが元小学校の先生という感じで、私なんかは素直に受け止めてしまいます。
こうじゃなくちゃいけません。とことん突き進んでいく、これが私たちのイメージの小学校の先生でした。
管理事務所の職員さんは、カコというのは実在の生き物で、私もそれを見たことがあります、というふうに述べています。だったら、私もそれに対面してもいいのではないか、と私は考え、夜に池に釣りに出かけるのでした。
そして、私はカコという生物に出会います。人によってはカコを食べる人もいるようだけど、私はとても食べられそうにないし、とても愛着を感じ、池に放してしまいます。
それから、カコと私の物語が始まります。
当然、カコは私との関係の上にある生き物なので、どうしてこの形になったのか、私は自らのカコに向き合わねばならず、今まで全く忘れていた自らのカコに思い当たり、改めて自分の家族を見つけることができて、何十年という時間の軸をさかのぼることができてしまいます。
最後の方は、カコと出会いなおしをした私が、これからに向けてどんなふうに生きていくかが書かれていたように思います。
よくある話ではあるのだけれど、なかなか上手にまとめているなと、他の話も読みたくて単行本をナゴヤにまで出向いて買ったというところですね。
まだ、わからないことがあるので、今晩でも再び読んでみますかね。読書の楽しみ、味わってますね。やはりこういう行ったり来たりができるのが楽しみです。せいぜい右往左往してみよう!