森まゆみさんの本を読んでるだけだから、特に思想の問題とか、そういうのを話題にしたいわけではありません。一人ひとりの生き方に時代というものを感じているんだと思います。
今と比べると、とても制約が多かった百年くらい前の女性たち、けれども、彼女たちはあれこれとアンテナを張って、いろんな情報をキャッチして、いろんなことを考え、自分の力で生きていこうとしていた。
今の女性たちにしてみれば、何だか古臭い、NHKの朝ドラみたいな世界の人なんだけど、みんな人生を太く短く生きていたんだろうなと思います。
大逆事件の幸徳秋水さんの愛人として死刑にされた管野すがさん(1881~1911)、大杉栄さんとともに関東大震災の混乱の中で虐殺された伊藤野枝さん(1895~1923)、『妾(わらわ)の半生涯』(1904)を出した福田英子さん(1865~1927)、雑誌「青鞜」を発行した平塚らいてうさん(1886~1971)、「青鞜」は1911年からスタートしたんだそうですけど、その創刊号の表紙を描いたのは高村光太郎の奥さんになった長沼智恵子さん(1886~1938)、いろんな人の人生が取り上げられています。
これが智恵子さんの作品だったんですね。
そして、私が気になったのは革命家の女性たちでした。みんな革命と生活をごっちゃにしながら生き、何人かの人たちは不自然な亡くなり方をしてしまいました。
らいてうさんが意外と長生きされたのだというのは驚きでしたし、福田さんも少し年上です。
でも、すがさん、野枝さん、らいてうさん、智恵子さんはだいたい同年代。ということは、今でいうと三十代前後の女性、アラサーという言い方、今もするのかどうかわかりませんが、現代の彼女たちが、百年前の女性たちに重なって見えます。
今も文学の世界やいろんなところで三十前後の女性たちが頑張っているし、百年前も女性たちは頑張っていた。でも、残念ながら百年前の日本は、どんどん転落していき、1930年ころから十数年のとんでもない戦争時代に突入していったんでした。
あんなに女性たちが活躍しても、日本は何回か軌道修正はされたと思うんですけど、でも、ダメでした。
今の私たちが、これからどうなっていくのか、それはわからないけど、女性たちの力で転落していくのを止めてもらえたらなあと祈るような気持ちです。
今日の夕方、本屋さんに行って、岩波文庫の『妾の半生涯』も立ち読みしましたけど、これはとても読みにくそうで、買うのはやめてしまいました。
らいてうさんの文章はどこに載ってるのかな。すがさんのことも知りたいし、智恵子さんのことももっと知りたくなりました。文庫本に52人の女性の生涯を載せるなんて、詰め込み過ぎだけど、とりあえず最後まで読んで、何か自分の知りたい気持ちを広げていきたいと思います。
山川菊枝さんという人も、岩波文庫で2冊くらい立ち読みしてみましたけど、こちらはなかなかよさそうでした。いつか機会があれば読みたいと思いました。
以上、私のいつもの中間報告でした!