先生、ボクの書いた詩みたいなものでした。片付けをしていて、突然袋の中から出てきました。恐ろしいことです。何が入っているんだか、タカラ物(お金になるもの)は絶対にないんですけど、怖いものはたくさんあるようです。
「田園」交響曲
四階の音楽室で音楽の先生が、
「えーっと、ベートーベンはね……」
なのだそうだ。
まあとりあえず鳴らされた第六番『田園』。
すると、ベートーベンは陽気におどる、おどる、
広くはるかな屋根ばかりの田園の上で。
いくらきれいに洗っても白くならず黒いままの大根と
ひんまがった野菜のとれる田園の上で。
そして、「いなかに着いたときの楽しい気分。
小川のほとりの光景。いなかの人々の楽しいつどい。
雷雨、あらし。あらしのあとの喜びと感謝。」
でも、みんな下向いて、目をつむって、
音と手が握手してリズムを楽しむ。
それにつられて足までも楽しむ。
いつのまにか窓ごしに外を見る。
またいつのまにか、となりの人と話をする。
先生は「しーっ」っておっしゃいました。
ベートーベンはいっこうにそんな小さなことなど気にしない。
自分ひとりで本当の田園を見つめて、
おどり、つぶやき、そして愛す。
田園をいつまでも変わらずに。[1974.12.14 音楽室にて]
そんな詩みたいなものを書いてたようです。
恐ろしい、ベートーベンもびっくりです。でもまあ、これも怖いもの見たさで貼り付けておきます。もう今では絶対にこんなことを書きませんよ。田園も嵐のあたりから翌朝にかけては聞きますけど、前半は耳が悪くなったのか、ボリュームをすごく上げなくてはいけなくて、何だかもどかしいからクルマでは飛ばして聞いています。
落ち着いてフルに聞くとか、ホールの片隅で聞くとか、そんなことかできたらいいけど、まあ、私なんかにゃ無理です。
でも、せいぜいイメージしてみます。