
いとこのお姉ちゃんが結婚した。私はうれしかった。
たぶん、うれしかったんだと思う。「とにかく、お幸せに」とか、そんなんじゃなくて、何となく自分の未来も開けるような気がしたから、かな?
いや、とにかくお姉ちゃんの苦労がかわいそうすぎて、私は話を聞くだけだったけど、辛かったんだ。だから、とにかく、うれしいんだ。
好きな人と結婚できるんだったら、三年でも、四年でも、十年でも待つというのはすごいことだと思う。他人事だからそんなに簡単に言うけど、本人たちは辛かったはず。それくらいの時間に耐えられた二人は、とても幸せだし、これからは本当に幸せにならなきゃいけない! と思う。

私がそんなに長い時間に耐えられる力があるのかどうか、自分でもよくわからない。それだけずっと愛し合えたら、お互いのことを信じ合えたら、それだけで本物だと思うけど、そんな本当の愛って、どんな風にして育てるんだろう。お互いなのかな? それとも、どっちかが頑張らなきゃいけないの?
お姉ちゃんのところは、お姉ちゃんがじっと耐えてたと思うから、お姉ちゃんが偉かったと思うな。とてもよく頑張ったのはお姉ちゃんだ!
私は、お姉ちゃんにそんな生意気なことは言わなかった。黙ってお姉ちゃんの姿を記憶していくだけなんだ。お姉ちゃんみたいに愛を貫けるのか、そういうことができる自信は今はないんだ。
これからの私に、ずっと会えなくても、ずっと結婚を待ち続けられる人、いるんだろうか。
確か、昔の女の人がずっと男の人を待ち続け、やっと再会できて、でも、その時には女の人の命が消え入ってしまう悲しいお話は読んだことがあったけれど、そんなの、今の時代の恋じゃないしな。

私は現代の恋もしてみたい。
ある程度の時間は我慢するけど、あんまり長いブランクは困るな。いや、本当に愛し合える人に巡り会えたら、できたらすぐに結婚したいな。
と、心では思うんだけど、私たちのまわりの人たちを見ていると、簡単なことではないみたい。第一、私のまわりの男の子たちだって、私を違う世界に連れてってくれるような人、そういう人って、いないもんな。
私は、こんな狭い世界に生きていたくないんだ。いとこのお姉ちゃんみたいに、私のお母さんみたいに、世界を見まわせる立場になりたいな。そういう人と出会いたいけど、私の国にそんな人いるんだろうか。
ひょっとして、どこかの遠い国の王子様が、私を連れてってくれる? なんていうことはないかな。そんなおとぎ話みたいなこと、絶対にないなあ。

もっと現実を見なくちゃ!
出会いを求めて、学生生活を続けるけど、私の世界では、簡単に出会えないかもしれない。そうだ。イギリスに留学しようかな。向こうでも簡単には出会えないけど、とりあえず外の空気は吸えるかな。それとも、国内で進学するかな。
なかなか私の未来って、見えてこないな。
私は、もうあんまり自分の運命なんて考えないようにする。運命論者じゃなくて、自分の人生は自分で切り開いていきたい。
私んちは、たくさんの人の平安を祈るためのおうちなんだけど、私もそういう気持ちは持っているんだけど、それをどんな風に生かしていくのか、そのやり方がまだわかんないんだ。
だから、よそから自分たちの世界を見直すことをしてみたい。これは私の人生でも大事なこと。それができるように、まわりの人たちに働きかけてみようと思う。
いとこのお姉ちゃんは、とうとう自分の道を見つけた。私も、これから、どれくらい時間がかかるか分からないけど、絶対に自分の道を見つけるんだ。
いつか、お姉ちゃんちにも遊びに行きたいな。お姉ちゃんが落ち着いたら、こっそり会いに行きたいな。

★ A子ちゃんになりすましを狙いましたが、あまりに彼女の現実を知らなくて、観念的になってしまいました。もっとちゃんと取材しなくちゃね!