朝起きたら、もうすでに奥さんは庭に水まきをしていました。さすが奥さんです。旅をしなきゃいけないと思ったら、トロトロ寝ていられないのです。もう、すぐ目が覚めてしまうみたいでした。
そうでした。気づいたときに、雨戸をあける音がして、あれ、今何時? と時計を見たら6時前で、もう活動しているんだ、早いなあと思いました。下に降りてみたら、奥さんはおらず、外で水を撒いていました。
近ごろ、奥さんに「オハヨー」と声をかけることもなかったけれど、今日は、少し声をかけたい気分でした。でも、適当なチャンスがなくて、あいまいに起きた感じを伝えたような……?
どうして、さわやかに声をかけられないかなあ。そうすることで、奥さんの生活にもハリみたいなのが生まれるかもしれないし、声掛け1つで奥さんも、何か違う感じになれるのに、私はなかなかそういう簡単なことができていません。
奥さんに先手を打たれて、「メダカたちの鉢、大変なことになっているよ。もう、一匹しかいない」と言われます。そしたら、その唯一の生き残りのメダカを助けてあげなくてはと、藻でドロドロになった鉢から、別の信楽焼のスイレン鉢に入れてあげました。
残りの汚い水は全部捨てて、トクサも刈り込みをして、キレイさっぱりにしなくっちゃ! と、黙々と汚い水をまわりにまき散らし、メダカがまぎれていないか、確認しながら汚い水を捨てました。
一匹だけ救出した時、ついでにボーフラも入ってしまい、まあ、メダカたちが食べるだろうと、そのまま信楽焼の鉢に流し込みました。
何度か、確認しつつ汚い水を捨てているとき、少し動きが変だと気付きました。これはボーフラではないのではないか? よく確認してみると、それは亡くなったメダカたちが残した次なる子孫であることが分かりました。
ああ、何匹か、庭の土の上で苦しいと言ってるだろうと、その時になって反省したものの、もう探すことは不可能でした。
何たる無情、極悪、罰当たりな! そう思ったものの、どうしようもないのです。
気づいてから、もう残りの水は捨てないで、そのまま別の容器に入れてあった水ももとに戻して、もう手遅れかもしれないけれど、とりあえず残ったメンバーだけでもそのまま育ってもらおうと、もとにもどしました。でも、何匹の命を絶ってしまったのか、本当に罪深いことをしました。
いや、その前に、その親たちもなんとかしてあげたらよかったのに、ついそのまま放置してあって、数が激減してしまった。信楽焼の鉢はスイレンが入っていて、鉢が呼吸しているのか、みんななんとかやっていけているようで、早いうちに合流させてあげていればよかったのです。
もう遅いけれど、朝からとんでもないことをしてしまい、少しションボリでした。
それから、ヘビの話は、山好きの友だちから聞いた話で、彼は1人で近所の山にあちらこちらで歩いています。それで、年に何回か誘ってくれて、それに乗っかって山歩きみたいなことをしています。
山にはすごくあこがれます。でも、1人で行くのは何だか勇気がありません。
その友人が、とある山に入っていこうとした。登山口から少し入ったあたりで、突然ものすごい銀バエに襲われたそうです。「うわーっ、何だ、このハエたちは……。どうしてこんなにいるのだ。」と思ったそうです。
そして、目線を下げてみると、なんと足元に太い1ルートルくらいのヘビの死体があったそうです。彼の道をふさぐように、ヘビの死体は通せんぼうをしていた。
普通なら、出鼻はくじかれるし、縁起はよくない気がするし、道をふさいで「これから先へ行くな」と警告しているみたいではありませんか。
でも、冷静な彼は思いました。「こんなに大きなヘビが死ぬなんて、なんでだろう。しかも道の真ん中で。クルマにひかれるような道ではないので、クルマではない。クマやイノシシと戦ったのか。そもそもヘビは無益な戦いをするとは思えない。……うーん、どうしてこんなところで一直線になって死んでいるんだろう。しかも、道をふさぐようにして……。」
そう思ったら、自分への警告ではなくて、自然の1つの現象ととらえ、そのまま山をめざし、山頂をきわめたら淡々と降りてきたそうです。そして、普通の生活をしている。
彼には、ヘビがまわりにいる生活というのは、当たり前なんだそうです。
ある夜、帰宅した彼は、いつも簡単に開く玄関がやたら開かない時があったそうです。玄関といっても、田舎のおうちなので、そのおうちの中でツバメの巣が2つあって、それぞれに4匹ずつヒナたちがいたそうです。そういうおうちです。
はてさて、おかしいなあ、どうしてスムーズに開け閉めできないの? と、何度か動かしてみたら、ドサッと落ちてきたものがあって、それがヘビだったそうで、この時にヘビは1つの巣のヒナたちをみんな飲み込んでいたということでした。
すぐに姿を消して、扉は簡単に開閉できるようになったそうです。でも、今までにぎやかにしていた2つの巣の一方は、全く誰もいなくなり、何だかさびしいような気持ちになったそうです。
ヘビはその生活の手段として、一軒ごとにツバメが巣を作っているので、それらをめぐりつつおなかを満たしている。ごく当たり前のことで、たまたま4匹のヒナをおなかに入れたとき、その家の者たちが帰ってきて、自分も少しバタバタしたけれど、別にそこで殺されるわけではなく、ごく普通に淡々と姿を消した。
ヘビの日々の出来事に、たまたま友人は出くわしたわけです。夜に帰るということがなければ、知らぬ間にヒナたちは巣立ちでもしたのだろうと思うかもしれないところでしたが、たまたまいっぺんに食べられていたので、ヘビの生活の一端を垣間見たというところかな。
それらの話を聞いた私は、ツバメの命も、メダカも、ヘビも、自分も、たまたま生きてあれこれしていて、お互いがそれほど関わるわけではないけれど、失敗して殺してしまうことがあったりして、せめて命をメチャクチャにしないよう生きていきたい、そう思うのでした。
セミが鳴いてても、花が咲いてても、もうあるがままに生きてもらいたいのです。さあ、明日から、私の旅はどうなるんでしょうね。ちゃんと報告できるかどうか。しばらくお休みするかもしれません。
できたら、ちゃんと報告をその日ごとにできたらいいのになと思っています。
みなさまにお伝えしたいのと、自分でちゃんとメモとして残しておくためとです。
そうでした。気づいたときに、雨戸をあける音がして、あれ、今何時? と時計を見たら6時前で、もう活動しているんだ、早いなあと思いました。下に降りてみたら、奥さんはおらず、外で水を撒いていました。
近ごろ、奥さんに「オハヨー」と声をかけることもなかったけれど、今日は、少し声をかけたい気分でした。でも、適当なチャンスがなくて、あいまいに起きた感じを伝えたような……?
どうして、さわやかに声をかけられないかなあ。そうすることで、奥さんの生活にもハリみたいなのが生まれるかもしれないし、声掛け1つで奥さんも、何か違う感じになれるのに、私はなかなかそういう簡単なことができていません。
奥さんに先手を打たれて、「メダカたちの鉢、大変なことになっているよ。もう、一匹しかいない」と言われます。そしたら、その唯一の生き残りのメダカを助けてあげなくてはと、藻でドロドロになった鉢から、別の信楽焼のスイレン鉢に入れてあげました。
残りの汚い水は全部捨てて、トクサも刈り込みをして、キレイさっぱりにしなくっちゃ! と、黙々と汚い水をまわりにまき散らし、メダカがまぎれていないか、確認しながら汚い水を捨てました。
一匹だけ救出した時、ついでにボーフラも入ってしまい、まあ、メダカたちが食べるだろうと、そのまま信楽焼の鉢に流し込みました。
何度か、確認しつつ汚い水を捨てているとき、少し動きが変だと気付きました。これはボーフラではないのではないか? よく確認してみると、それは亡くなったメダカたちが残した次なる子孫であることが分かりました。
ああ、何匹か、庭の土の上で苦しいと言ってるだろうと、その時になって反省したものの、もう探すことは不可能でした。
何たる無情、極悪、罰当たりな! そう思ったものの、どうしようもないのです。
気づいてから、もう残りの水は捨てないで、そのまま別の容器に入れてあった水ももとに戻して、もう手遅れかもしれないけれど、とりあえず残ったメンバーだけでもそのまま育ってもらおうと、もとにもどしました。でも、何匹の命を絶ってしまったのか、本当に罪深いことをしました。
いや、その前に、その親たちもなんとかしてあげたらよかったのに、ついそのまま放置してあって、数が激減してしまった。信楽焼の鉢はスイレンが入っていて、鉢が呼吸しているのか、みんななんとかやっていけているようで、早いうちに合流させてあげていればよかったのです。
もう遅いけれど、朝からとんでもないことをしてしまい、少しションボリでした。
それから、ヘビの話は、山好きの友だちから聞いた話で、彼は1人で近所の山にあちらこちらで歩いています。それで、年に何回か誘ってくれて、それに乗っかって山歩きみたいなことをしています。
山にはすごくあこがれます。でも、1人で行くのは何だか勇気がありません。
その友人が、とある山に入っていこうとした。登山口から少し入ったあたりで、突然ものすごい銀バエに襲われたそうです。「うわーっ、何だ、このハエたちは……。どうしてこんなにいるのだ。」と思ったそうです。
そして、目線を下げてみると、なんと足元に太い1ルートルくらいのヘビの死体があったそうです。彼の道をふさぐように、ヘビの死体は通せんぼうをしていた。
普通なら、出鼻はくじかれるし、縁起はよくない気がするし、道をふさいで「これから先へ行くな」と警告しているみたいではありませんか。
でも、冷静な彼は思いました。「こんなに大きなヘビが死ぬなんて、なんでだろう。しかも道の真ん中で。クルマにひかれるような道ではないので、クルマではない。クマやイノシシと戦ったのか。そもそもヘビは無益な戦いをするとは思えない。……うーん、どうしてこんなところで一直線になって死んでいるんだろう。しかも、道をふさぐようにして……。」
そう思ったら、自分への警告ではなくて、自然の1つの現象ととらえ、そのまま山をめざし、山頂をきわめたら淡々と降りてきたそうです。そして、普通の生活をしている。
彼には、ヘビがまわりにいる生活というのは、当たり前なんだそうです。
ある夜、帰宅した彼は、いつも簡単に開く玄関がやたら開かない時があったそうです。玄関といっても、田舎のおうちなので、そのおうちの中でツバメの巣が2つあって、それぞれに4匹ずつヒナたちがいたそうです。そういうおうちです。
はてさて、おかしいなあ、どうしてスムーズに開け閉めできないの? と、何度か動かしてみたら、ドサッと落ちてきたものがあって、それがヘビだったそうで、この時にヘビは1つの巣のヒナたちをみんな飲み込んでいたということでした。
すぐに姿を消して、扉は簡単に開閉できるようになったそうです。でも、今までにぎやかにしていた2つの巣の一方は、全く誰もいなくなり、何だかさびしいような気持ちになったそうです。
ヘビはその生活の手段として、一軒ごとにツバメが巣を作っているので、それらをめぐりつつおなかを満たしている。ごく当たり前のことで、たまたま4匹のヒナをおなかに入れたとき、その家の者たちが帰ってきて、自分も少しバタバタしたけれど、別にそこで殺されるわけではなく、ごく普通に淡々と姿を消した。
ヘビの日々の出来事に、たまたま友人は出くわしたわけです。夜に帰るということがなければ、知らぬ間にヒナたちは巣立ちでもしたのだろうと思うかもしれないところでしたが、たまたまいっぺんに食べられていたので、ヘビの生活の一端を垣間見たというところかな。
それらの話を聞いた私は、ツバメの命も、メダカも、ヘビも、自分も、たまたま生きてあれこれしていて、お互いがそれほど関わるわけではないけれど、失敗して殺してしまうことがあったりして、せめて命をメチャクチャにしないよう生きていきたい、そう思うのでした。
セミが鳴いてても、花が咲いてても、もうあるがままに生きてもらいたいのです。さあ、明日から、私の旅はどうなるんでしょうね。ちゃんと報告できるかどうか。しばらくお休みするかもしれません。
できたら、ちゃんと報告をその日ごとにできたらいいのになと思っています。
みなさまにお伝えしたいのと、自分でちゃんとメモとして残しておくためとです。