久々の「自然のことば」は虫です。どんな虫がいるんでしょう。
10【虫が( )い】……自分勝手でずうずうしい。自分勝手である。
→自分で責任を持たずに、自分のなかのわがままな気持ちを、第三者的に「虫」と呼んだのではないでしょうか? 自分の中にウンと言わないキャラがもう一人いる、そういう考え方は拒否するときの理由付けにはなります。考え方としてはいいですね。
11【虫が( )かない】……何となく気にくわない。
→好き嫌いをいうにも自分で責任を持たず、虫のせいにするのは日本的表現!
関西では昔は使っていましたが、最近は関東化されてるから、ひょっとしたら大阪の若い人でも言わないかもしれないです。京都の女の子がこれを使ってくれると、個人的にはホッとします。
12【虫の( )】……呼吸が今にも絶えそうに弱々しいこと。
→くたくたになっているときに、思わず出るものは? これは実際の昆虫のことではなくて、「弱気の虫」「腹の虫」などの自分の中に住む虫のことでしょう。その生物がハーハー言っている。自分は元気なのに、そいつがハーハー言うから、自分は仕方なくそいつに合わせている、と言い訳できちゃう! 他人に対して使うことも多いけど、これは誤用かな?
13【虫の( )が悪い】……機嫌(きげん)が悪く、ちょっとしたことにも怒る状態。
→これも身中の虫ですね。虫はどこにいるんだろう。私は菌とは共生してますが、虫とも共生しているだろうか。だったら、それもよしとしますか。花粉症が治ってくれるとうれしいんだけどなあ。
14【虫も( )さぬ】……○生(せつしよう)なことなどできない(ように見える)人。
→虫という存在は、人に殺される運命にあるものなんだろうか。害虫・益虫という言い方があるくらいだから、害のある虫は処分されねばならない、というところだったのか。
15【虫( )が走る】……気分が悪くなるほどいやでたまらない。
→胸がムカムカするとき、胃から出てくるすっぱい液のこと。ストレスがあると、体はすぐに苦くなるものらしい。もっと体と上手につきあう方法を体得しないといけないです。
16【虫が( )く】……娘に彼氏ができることを批判的に表現したことば。
→父親にとって、娘の彼氏などというものは虫にしか見えないものなんでしょうね。かつて自分が虫だったことも忘れて、よその男の子はすべて虫なんですね。
17【頭の上の( )も追えぬ】……自分一人の始末もできない。
→昔、食事どきに人の周囲をわずらわしく飛び回る虫は? 昔はたくさんいました。今もどこかでたくさんいるでしょうし、いつでも大発生する力を持っているしたたかな虫だと思います。
18【虻(あぶ)( )取らず】……あれもこれもと欲張って、全部失敗するたとえ。
二兎(にと)追う者は一兎(いつと)も得ず。「――に終わる」
→両方とも刺されると痛い! アブは生物の皮膚をかみ切るそうです。それと同じように人間を攻撃する刺す虫は? ダニ? ノミ? ヒル?
19【( )の穴から堤(つつみ)も崩れる】……わずかな油断や不注意が大事を招くことの たとえ。〈韓非子〉
→小さな、穴を掘る虫は? ちょっとした油断から大事をひき起こすたとえ。
19【○○のはい出るスキもない】……警戒(けいかい)が厳重(げんじゆう)で出入りが不可能であることのたとえ。というのもあります。
20【オ( )】……一文無し。
→お手上げ状態だから? 漢字では「螻蛄」と書くそうです。
21【( )の泣くような声】……かすかで弱々しい声。「――でわびる」
→清少納言も、眠いときに顔の周りをこの虫が飛ぶのは嫌だと言ってます。鳴いているのではなくて、ただの羽音なのに、血をくださいと泣いているように聞いてしまうのだから、人間って自己中なんだなあ。
初期の仮面ライダーにとって、虫は敵キャラをつくるときの大事なイメージの源泉でした。仮面ライダーそのものがバッタですから、敵キャラも虫から生まれてきても不思議ではないわけです。
★ 解答 10・い 11・好 12・息 13・居所
14・殺 15・酸(ず) 16・つ 17・ハエ
18・蜂(はち) 19・蟻 20・ケラ 21・蚊