甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

Roman Holiday !

2013年12月25日 23時15分59秒 | だいたい映画、ときどきテレビ
 昔、東京銀座の名画座で「ローマの休日」を見たことがあります。その時がまともに全編通して見た最初だったと思います。たぶん、30年くらい前のことです。それより昔にもテレビで放映されたりして、家族の者は見ていました。でも、ボクは、白黒映画はあまり好きではないし、今ほどA・ヘップバーンさんはもてはやされてなかったので(というか、数あるスターたちの1人だったので)、見ていませんでした。

 初めて見た時には、現在の奥さんと遠距離恋愛中でした。東京銀座の名画座でした。

 それで、「こんなに気持ちも通い合っているのに、離れ離れにならなくちゃいけないなんて!」と義憤に似た、自分の状況と重ね合わせた涙なんかが出てしまって、恥ずかしくなって当時の彼女を置いてけぼりにして、先に映画館を出て、一人で出口で涙をふいて待ってましたっけ……。ああ、つまらん昔話です! 

 泣いてる姿を見せるのが恥ずかしかったんですね。今は、オッチャンだし、平気でグスグスしますが、今はもうハターン通りの泣きだけど、昔は変なところでスイッチ入ったんです。

 今は同じ屋根の下に住んでいるので、かなしい気持ちにはならなくて、逆に「たまには奥さんのもとを離れて旅したい」とか、いい気になって考えたりします。でも、それも奥さんがいてくれる贅沢で、バチアタリなことです。ですから、一人旅をするとしても、ちゃんと奥さんの許可をもらわなくてはいけないです。それは大事なことです!



 幸運な映画との出会いでした。「ローマの休日」はA・ヘップバーンの代表作で、見所一杯! ローマ観光のお手本のような作品です。たぶん現在のローマだって、あのころの雰囲気・あのころのそのままを残していると思います。だから、今の自分がパッとローマに出かけたとしても、数十年前の「ローマの休日」と同じような雰囲気を味わうことが可能だと思います。それが古いものを大切にするヨーロッパの魅力の1つのような気がします。

 一方で、日本の都会ではどうでしょう。昔の雰囲気をそのままに残す町を見つけることがむずかしくなっています。ほんの1か月不在であったら、もう町は変わっているかもしれませんし、そういうふうに日本の町はあちらこちらで変わることに熱心です。

 数十年前の東京見物の映画、たとえば「東京物語」なら、原節子さんが笠智衆さんと東山千栄子さんを案内して観光バスに乗る場面がありましたが、あの映画の雰囲気をそのまま残す場所は、おそらく浅草くらいしかないかもしれません。山村聡さんのおうちみたいな所も、下町には探せばあるかもしれませんが、観光地ではありません。東京タワーは数少ない昔からの名所かな? 日本の町は諸行無常・栄枯盛衰・日々変化ですね。どちらかというと、これは悲しいことです。



 王家の方がお忍びで町に出て市民と交わるというのは、中国でも西洋でも昔からよくある話でした。権力の中枢にある人が、実際の町に出るのは大切なことですし、市民の側からもそれは望むところでしょう。ぜひ、そういう王様にいてもらって、変装して町に繰り出してほしい。そして庶民感覚とやらを味わってほしい、とみんなが思っています。

 それは王様の美談か、フィクションなのか、普通は絶対にあり得ないことなのか。日本にはそういう王様・将軍・殿様いましたっけ? 遠山の金さんとか、水戸黄門さんとかしか思いつきません。紛れ込んだ王様……、なかなかいませんねぇ。

 王様が町に出てくれたら、ロマンスが起こり得ますが、たいていはシンデレラとなった女性が王家に入るかどうかというところで、玉の輿だからすばらしいことのように思われがちです。そうです。為政者にとって庶民感覚を持つというのは大切だけれど、最終的には王家の立場にもどり、庶民に根付くということはありません。それは仕方のないことです。持つ者のところに人は流れるということなのです。何もわざわざ貧乏人にならなくてもよいのです。

 さて、「ローマの休日」です。この物語は大人の夢です。こんなお転婆で好奇心旺盛な王女様なんているわけがありません。でも、現代のわれわれは、オードリーさんなら何でも許して見てしまいます。そして、オードリーさんがグレゴリー・ペックさんを会見場で見つけてびっくりした後、そのまま舞台の向こうへ消えてしまいます。彼女はそれで終わり、区切りになりました。

 ですが、ボクたちは、それこそグレゴリー・ペックさんのように、「仕方がないさ。でもボクたちは、あの瞬間つながってたんだよな、それは事実だよ。彼女も楽しかったんじゃないの」と思って納得します。そして、逆シンデレラにならなくても、
 「そりゃ当然さ。これは革命の映画じゃなくて、大人のほろ苦いファンタジーなんてこんなものさ」と思うのでした。

 何度も自分にそう言い聞かせなきゃいけませんが、それくらい楽しい時間を過ごせたらいいなあと思います。こういうのは若い時しかできません。オッサンになったら、だらだらした時間しかなくって、これが辛いです。



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