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私がわけのわからん英作文の勉強をしても、世の中的には何の役にも立たないので(かといって日本語でくどくど書いても何の役にもたちませんけど……)、日本語で白黒写真をうんぬんします。
「砂の器」の舞台になった扇屋というのを探しに行きました。うちの奥さんがお昼を食べたという扇屋さんはありましたが、旅館ではなかった。昔はあったのか、それともどこか他の施設が扇屋という名前になっていたのか、わからないことを適当に見に来ただけなので、そんなことでは見つかりません。
いつものところでクルマを止め、ネコたちに歓迎され、のっけからほんわかした気分が広がります。二見って、ネコを見かける町でしたっけ。あまり記憶にありません。ネコの家族は、クルマの下で、何をするでもなくのんびりしていました。だれかがエサを与えてくれるまで、じっと待っていたのかもしれません。
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町の通りにはあんこを炊く匂いが漂っていました。お昼にはまだ早いし、とりあえず海まで出なくてはいけない。旅館街と土産物街を抜けたら、やっと海に出られるのです。
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海に面した一等地に古い旅館があります。今は営業はしていなくて、内部の公開だけをしている。入館料が三百円で、私たちは今回はパスしました。せっかくなんだから、美術館的な利用とか、コンサートホールとしての利用とか、今に生かせる使い方をしてもらうと、いいのだけれど、貧乏な私たちは外から見るだけです。
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松が何とも言えない。
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そこから山側を歩いてみたら、音無山遊園地あとにたどりつけるようですが、いまだに私たちはここを登ったことがありません。春になったら、春の海を見渡すために登ってみたら、気分は西行さんになれるかな。サクラも咲くだろうし、たくさんの人たちがあふれていて、それなりに楽しいかもしれません。
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夫婦岩の二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)に参拝しました。いろんなおみくじがありましたが、ここでも私たちはスルーします。おみくじではしゃぐ年ではないですし、占ってほしいこともなくなってしまった。
カップルがやたら多く、みんな楽しそうにクリスマス前の休日を過ごしています。
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ふたたび鳥居をくぐって、神域を出た私たちは、山口誓子さんの句碑を見つけて、初日の出の鳥居になっている夫婦岩を、それなりにありがたい気分で出てきたのでありました。
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「初富士の鳥居ともなる夫婦岩 誓子」
冬至のころの一週間は、しめ縄の間から日の出が見えるめでたい状況で、晴れた日には富士山だって見えるんですから、それはもうありがたい。
私たちは心掛けがよくないから、そういうありがたいものはたいてい見逃していて、そういうのがあるというのをニュースで教えてもらうだけです。テレビ画面の日の出は、ありがたいのやら、どうなのか、よくわかりません。ありがたいんだろうけど、ライブで見ることはないなあ。
もっともっと感謝しなくてはいけないのに、わりとあっさり出てきました。感動が足らなかったなあと今は思います。でも、何度も来ているし、いつもの神社さんが、にぎわっているかな、みんな何してるかなとのぞいて、ついでにお参りした感じだから、それでよかったかな。
私たちもカップルの1つではあったのでした。そして、ありがたい気分で帰ってきて、あんこの入った御福餅、これを食べなかったのが残念だけど、とりあえず観光したのであります。