友人のおうちは、ゴミ屋敷になっているそうです。まさか、そんなことはないだろうとは思うものの、そういうこともあるかもしれないなと不安になったりします。
昔っから、ケチなところもあるのに、太っ腹なところもあって、「えっ、そんなとこにお金を使うの!」とビックリすることがありました。
彼とショートメッセージのやり取りをするようになって、どれくらい経つんだろう。二三年か、それ以上か、数年かです。
十年ほど前に彼んちを訪ねた時にはご両親がいました。彼はお仕事を辞めて、ご両親の介護を二十四時間していた。そんなおうちの中にいれてもらって、お父さんとお話をさせてもらい、お母さんには話もしてもらえなかった(お母さんは、黙々とゴハンを食べているようでした。どうしてそんなだったかな……、おしゃべりのお母さんだったと思うんですけど)。
とにかく彼は、親のお世話をしてくれるものと、この家で育てられて、いいオッサンになっていました。お仕事は続けられなかったみたいでした。彼はかわいい女の子が大好きだったのに、現在も独り身です。
それで、彼としては仕方がないものとしてそれを受け入れ、付きっきりで何から何までしていたみたいでした。
そんなになってても、彼としてはご両親にいてもらいたかっただろうけど、やがてはご両親がいなくなってしまい、彼はフリーになりました。口は達者だったお父さんの方が早く亡くなられたんだったかな。
それで、お仕事を始めたみたいで、福祉施設でお勤めすることになった。……もう、そういうことにはある程度慣れていたのかもしれません。
とはいうものの、お勤めしたところでは、そこの入所者の方たちから殴られ、蹴られ、かみつかれ、生傷が絶えないということでした。
ご機嫌をとろうと、自腹でブロックを買ったり、服も破くからTシャツを買ってあげたり、最近はウルトラマンが受けるから、ウルトラマンのソフビ人形でコミュニケーションをとるということでした。目先が変わると、少しだけ穏やかになるのかなと私はいつもそういう風に思っています。
そんなふうにして、彼の毎日はあるようです。
正職員はお盆休みとか、休日は休みにするそうなんですが、彼はパートだから、少しだけ休日手当も出るからと、ゴールデン・バイトと称してお休みにも出勤するようです。
自前であれこれしているのに、そんなにまでして尽くしているのに、入所者のみなさんは、変てこなオヤジがまた来た程度の扱いなんだろうか。いや、きっとそれ以上のつながりみたいなのがあるとは思うんだけど、そういうことはケータイのメッセージのやり取りだけでは伝わらないです。電話でもしたらいいんだけど、電話はしていないです。彼から毎日業務日誌みたいなメッセージをもらうだけです。
ひょっとしたら、彼をたたいたり、噛みついたりするのは彼への愛情表現なのかな。わからないですけど……。
それで、ウルトラマンの世界ですけど、彼にはウルトラマンとウルトラセブンしかわからないのに、入所者さんたちは、現代まで続くウルトラマンの世界を知ってるらしく、彼にはわからないことをあれこれ話して聞かせるようです。それを彼はどんなにして受け止めてるのかわかりませんけど、コミュニケーションツールとしてヤフオクでいくつかゲットしたみたいです。
いっそのこと、おもちゃ屋さんとか、イオンとかで買えばいいじゃない、とは思いますが、すべてをオフオクで落札するのが、彼の楽しみらしくて、Tシャツもソフビも、文学の貴重な資料も、あれこれと落札しているようです。
最近は石に凝っていて、水晶とか、何石とか、これも落札した、しなかったと教えてくれます。
申し訳ないけど、何とも返事をしないで、「無駄遣いしないようにね」くらいしか返せてないけど、昔ながらの彼らしさだなと見ています。
私はウルトラマンレオまでは知っています。ウルトラマン80は知らないです。今オンエア中のウルトラマンは知りません。仮面ライダーだって日々更新しているけれど、昔から愛され続けているものがずっと更新されていくのか、果たして支持する人がいるのか、いつまで続くのか、わからなくなりました。
100年は続かないと思うけど、そこまで続くのかどうか……。