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ツルモジャ理論、もうみんなが知ってるみたいです!

2023年05月29日 16時49分11秒 | 本読んであれこれ

 どこかですでに聞いたことがありましたよ。これは有名な偶然で、みんなその流れから逸脱できてないようです。

 すでに帝政ロシアの時代からずっとこの理論は守られてきたようです。それはたまたまだったかもしれないけれど、この理論によりプーチンさんがどんなに抵抗したとしても、やがてはその理論通りになってしまうなんて、とても不思議な感じがします。

 例によって、米原万里さんのエッセイから借りてきます。

 1982年の11月のこと。ソ連邦共産党書記長兼ソ連邦最高会議議長(国家元首に相当)のブレジネフが亡くなった。フルシチョフを共産党第一書記の座から失脚させたブレジネフがその職務に就任したのは、1964年のことだから、20年近くも超大国の最高権力者であり続けたことになる。……中略……

 ブレジネフさんって、私がものごころついた時には最高権力者でした。何だか大きなクマさんのように見えていたけれど、実際はすごい権力闘争をしてきた人だったのでしょうね。といっても18年の天下だったのか。

 (日本のいろんなテレビ局がいろんなコメンテーターを登場させて、)どの局だか忘れたが、T教授が甲高い声で次のようにコメントしたのが印象的だった。

「ツルツルモジャモジャ理論てのがあるんです。ソ連の指導者は、ツルツルとモジャモジャが交互に来ます。レーニンはツルツル、次のスターリンはモジャモジャ、次に来たフルシチョフはツルツルで、ブレジネフはモジャモジャでしょう。この法則でいくと、次は必ずツルツルの人でしょう」

 葬儀の場にはあまりにも不謹慎な、そして学識や教養とはかけ離れたこの大学教授らしからぬ大胆予測に少々度肝を抜かれたのだが、はたしてアンドロポフ、チェルネンコの老害短期政権を経て書記長の座を射止めたのは、ツルツルのゴルバチョフだった。 

 これは、T先生の理論なのではなくて、地域の人々にはすでに知られた法則であって、みんな面白おかしく話していたのでしょう。これをしたり顔というのか、予言調で話してしまうT先生って、確かにアカデミズムからは外れてますね。

 庶民が言う分にはいいけど、大学の先生がこんなコメントをしてはいけない。もう少し冷静にソ連の政治分析をしてもらわなくちゃいけないのです。

 ちなみに、私も調べたところ、アンドロポフ1982~84、ツルツル
チェルネンコ1984~85、モジャモジャのようでした。


 それから9年の歳月が過ぎます。

 1991年の8月のソ連邦崩壊につながるクーデターが起きたとき、再びT教授がテレビ画面に登場し、またまた持論を展開した。
「ツルツルのゴルバチョフの後に来るのは、モジャモジャのエリツィンである。法則にピッタリ合っている」〈『真昼の星空』中公文庫より2000年6月11日付けの文章より〉

 万里さんがこの文章を発表してから、23年近く経ちました。あいかわらずプーチンは権力にしがみついています。

 どんなに絶大な権力者であっても、いつかは死んでしまう。レーニン、スターリン、ブレジネフ、アンドロポフなど権力者は死ぬまで握って話しませんでしたが、死んでからは本人は否定され、歴史からは置いてけぼりになっています。レーニンさんは短かったから、そんなに足蹴にされていないけれど、大抵はその罪が問われ続けている。

 プーチンさんも、亡くなってから、その罪は問われるでしょうし、彼がめざした偉大なロシアはすでにズッコケているのです。

 彼の後継者は、名前は決まっていないけれど、頭髪は決まっています。髪のモジャモジャした人が権力の座につく、これはもう不思議な法則があるようです。何だか変だけど、そうなってしまっているみたい。


 そして、ふと思います。晩年のゴルバチョフさん、フルシチョフさん、エリツインさん、ちゃんと世の中の流れに抵抗しないで、権力を離れられた人たちは、みんなから愛されもしなかったかもしれないけれど、ゆったりと生きて来られたのではないかと。

 それとは反対の、最後まで権力にしがみついて、バタリと倒れた人たちは生きてる時も地獄の日々だったでしょう。いつ暗殺されるかもしれないと怯え、人を信じられず、孤独で、生きてるときすでに地獄だったのですから。

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