兼好さんが、友だちにするといい人と悪い人について語っています。
原則論であって、本当にとんでもないヤツなんだけど、許してしまうとか、とにかくその人のそばにいたいとか、いい悪いを飛び越える存在もあるとは思います。
とりあえず、エッセーだから、何か提案しないと始まらないから、提案してみました、ということになるのでしょうか。
友とするに悪き者、七つあり。
一つには、(a )く、やんごとなき人。
二つには、(b )き人。
三つには、病なく、(c )強き人。
四つには、酒を好む人。
五つには、たけく、勇める兵(つはもの)。
六つには、(d )言する人。
七つには、欲深き人。〈117段〉
☆ 次のヒントを参考にして、空欄に適当な漢字一字を考えてください。
a・「やんごとなき」とは、身分や家柄、学識や評判が○いということ。
a・「やんごとなき」とは、身分や家柄、学識や評判が○いということ。
b・落ち着いてものごとを考え、先のことにとらわれないのが「よい」人です。
これらの反対の、テキパキして、未来のことで胸がいっぱいの世代って?
c・病気知らずで、○が調子が良くないのを経験したことがないというのは?
d・実のあることば、率直なことば、情のあることばの反対は「何言」?
友だちとするのによくない者は七つある。
第一には、身分が高く重んずべき人。こちらが気を使ってしまうから、一緒にいても楽しくないのです。気兼ねをしなくてはならない人は、できれば友だちになりたくない。
わりとわかりやすいものですが、まず最初に身分の高い人は友だちにはいらない、なんて、兼好さんらしいですね。ビジネスの上では、そうした人とも接するチャンスはあったと思うんですけどね。
第二には、若い人。若い人は調子っぱずれで困ってしまう。もっと落ち着いてしんみり物事を静かに進めてくれたらいいのに、つまらないことに目くじらを立て、小さなことでカリカリしてしまうし、どうでもいいことに食いついたりする。
だから、年の離れた友だちというのは必要ない。そういう理屈も成り立ちますね。自分が年寄りなら、若い友だちって、しんどいのかもしれない。
第三には、病気を持たず、体が健康でタフな人。こっちがしんどいということわかってくれない人、自分は元気だけど、どうしてあなたは調子が悪いの? それは、わからないですね! とか言われたら、こっちはカンカンになりますね。やはり、人の辛さをわかってくれる人を友だちに持ちたいなあ。
第四には、酒を飲みたがる人。お酒好きな人は、お酒が苦手な人のことなどわからない。飲めない人のことも理解できない。どうして飲めないの? とか言うでしょう。
本当に、世の中には他人の気持ちを理解できない人って、いっぱいです。もちろん私も、他人のことを理解できなくて、どうしてなの? と、いつもキョトンとしている。いい加減年とっているのだから、もう少し人の気持ちのそばにいける人にならなくてはいけません。でも、適当に距離を置くことがあります。反省します。
第五には、剛勇で、血気にはやる武士。自らの力に自信のある人、友だちだったら頼もしいけど、無条件で友だちというのはあり得ないし、そういう人はそういう人なりの見返りを求めてくるでしょう。それが面倒です。できれば、貸し借りのない対等な関係でありたいのに、友だちなのか、家来なのかわからないようでは、友だちではないのです。そして、そうした腕に自信のある人が、「おお、友よ」と、ドラえもんのジャイアンのようにやってきたら、もちろん何かをねだられるのですから、御免こうむりたい。やはり、友だちにしてはいけない。
第六には、うそをつく人。友だちなのに、虚言癖のある人、そういうヤツだと理解して、適当に距離を置いて、知らんぷりをしたり、無視したり、相手にしなかったりすればいい。でも、それは友だちの関係としてはおかしい。ということは、ウソをつく人とはこちらが友だちになりたいと思っても、向こうから拒否するようなものだから、結局は友だちになれないわけですね。まあ、仕方がないか……。
第七には、欲の深い人。ガメツイ人と一緒にいると、こちらもそのいじましさが伝染してしまうから、そういうのが好きな人はいいけど、せこくて、いじましくて、みみっちくて、他人のことを考えてくれない人とは、友だちになれないわけですね。ザンネンです。
★ 答え a・高 b・若 c・身[体という意味ですね]
d・虚[虚言と書いて「そらごと」と読んでください!]