甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

あおいウサギたち

2023年02月03日 21時18分20秒 | 私たちの社会・世界

 1995年の酒井法子さんの「蒼いうさぎ」という歌いだしのところ、

♬ あとどれくらい、切なくなれば、あなたの声が聴こえるかしら

 というのがありました。ドラマと連動している曲だったらしく、ノリピーさんが男女の関係で、苦い体験をしていくドラマをベースにした作り話だったのかもしれません。ドラマと現実は本来はバラバラでなくてはいけませんでした。

 私は、当然のことながら、そのドラマなんて見てないので、全く知りませんでした。でも、10代でアイドルデビューした酒井法子さんは、茨の道を歩むようにズタズタに引き裂かれながらメジャーになっていきました。

 家族はいつも地元でトラブルを起こしている、と深刻そうに報告する芸能レポーターのえじきになっていましたし、本人も、若い頃のアッケラカンとしたキャラではなくなって、何か重いものを背負っている雰囲気を身につけていきました。

 まさか、それも芸のうちとは思ってませんでしたが、ダンナさんが違法の薬物に手を出していったし、本人もそうだったのかもしれない。二人して傷つけあいながら夫婦としてやっていたみたいで、ほどなく二人は別れたとか、そうでなかったとか、とにかく、私の知らない所へ行ってしまいました。

 歌の二番では、「あとどれくらい傷ついたなら、あなたのそばにたどり着けるのかしら」と歌っていたけれど、二人で傷つけあい、どん底に落ちていくのをあおいウサギは見ていたんでしょうか。心配してたでしょうね。

 あおいウサギって、私たちの心の中に住む、心配を受け持つ動物ですか? どうだろうなあ。そういう気がします。


 あおいウサギは、どこにでもいるのかもしれません。

 大手寿司チェーン店の備え付けの食器をなめまわした子ども、それは功名心だったのか、誰かへの当てつけか、虚無的な関心だったのか、ただ目立ちたかったのかもしれないけど、そういう場面に出くわし、彼のあおいウサギは泣いていたかもしれない。

 本人にもその声が聴こえた、かもしれないけど、おもしろおかしい気分に負けて、暴走してしまった。そんな動画が多くの人に見られてしまう、そういう社会に私たちは生きているんですね。瞬時に抹消するように、AIさんにお願いしなくてはいけない。人間はオバカな映像こそ大好きなんですから。



 福岡の博多の駅前でも、どういう事情があったのか、わからないけれど、ここにも実際に傷つけあう男女がいました。男が一方的に悪かったのか、女の人は純粋な被害者だったのかもしれないけれど、そういう男と知り合ってしまった身の不幸がありました。どうして、そんな人と出会ってしまったのか。

 男には、あおいうさぎはいなかったでしょう。もう、男の心の中には住んでいられなかったかも。でも、住んでいたかもしれない?



 何か月か前に、東京の有名な先生を襲った犯人、実はもう死んでしまっていた、というのを昨日聞きました。親は、ずっと引きこもりだった子どもに、住むところを与え、食事の時だけは戻って来たけれど、あとはずっと知らないままでいた。まさか、厄介払いのために、世間体が気になったから、子どもだけ独立させることにしたのか。まさか……。

 男には、ひょっとしてあおいウサギはいたかもしれない。ずっと40年一緒に暮らし、ウサギだけを頼りにして生きていた。突然事件を起こしてしまったけれど、当然、防犯カメラの映像が流され続け、親は気づいてなかったということだけれど、本人は知っていた。そして、この世からいなくなってしまった。

 彼を救う方法はなかったのか。親だけではなくて、社会から、彼みたいな人を、とりあえず生きていくことをさせる、手をさし出す、見守る、そういうことはできなかったのか。

 親の責任。本人の責任でもあるだろうけれど、社会はどれくらいこの家庭に開かれていただろう。

 たぶん、今も同じです。たくさんのあおいウサギたちが、どうしたらいいのか、迷っていることでしょう。


 中学生には、たくさん悪ふざけの見本を見せ続けましたね。彼だって、それらを越えるものをやってみたい、そういう単純な動機が起こるのは、自然なことだったのかもしれない。若い子たちがどれだけ動画で傷ついているのか、心の空洞はどれだけ広がっているのか、私にはわかりません。

 社会が、単純で簡単に悪ふざけをする見本をたっぷり見せてくれています(今の子どもたちは、テレビの番組のだらしなさからは完全にフリーで、全くテレビ番組を見ない子たちもたくさんいるでしょう。大人だけが辛うじてテレビを見ています)。私には、どうにも止めようがありません。

 「もっと、君のあおいウサギの声を聞いてごらん。傷つける必要はないよ。傷つくところからは距離を取りなさい。まず、そこから始めよう!」そう言うしかありません。

 心を傷つけている若い子ら、男女がどれだけ存在するのか、私にはわかりません。けれども、たくさんたくさんいるような気がします。



 今日の帰り道、「蒼いウサギ」をクルマの中でうなりながら、41の男の子がかわいそうで、泣けてきましたね。死ななくてよかったのに。彼には耐えられなかったんだろうな。それがものすごく悲しかった。彼には罪に向き合うよりも、世間からの冷たさが耐えられなかったでしょう。すべて推測で書いてるだけで、何だか申し訳ないけど、私の気持ちです。


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