報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“ユタと愉快な仲間たち” 「その頃、人間達は……」

2014-06-20 21:49:19 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[6月20日10:00.JR秋葉原駅→都営地下鉄岩本町駅 稲生ユウタ&威吹邪甲]

〔あきはばら〜、秋葉原〜。ご乗車、ありがとうございます〕

 秋葉原駅に到着する京浜東北線南行。
 その先頭車から、ユタと威吹が降りてきた。
「えーと、ここから岩本町駅まで少し歩くから」
「承知。なるべくなら、街中は外れて歩きたいんだけどね……」
 威吹はそう言った。
「分かってるよ。昭和通り口から出て、昭和通りを歩けば大丈夫だと思うよ」
 ユタはそう答えた。
 どういうことかというと、前に電気街に遊びに行った時、羽織袴姿の威吹に外国人観光客が集まりだし、何枚も写真を撮られたからである。
 ユタが宥めすかしていなければ、
『南蛮人!無礼者!』
 と、隠し持っていた刀を抜いていただろう。
「そうか……」
「京都の舞妓さんは、街中でも頼めば写真撮らせてくれるから、その延長だと思ったんだよ」
「ここは京の都ではないだろう。京には京の、江戸には江戸の事情というものがある」
「いや、江戸じゃなくて東京ね」
 と、ユタは訂正した。
「そうか。秋葉原は堂々と江戸の区域内か。渋谷や池袋は違うみたいだけど……」

 昭和通り口を出て、昭和通りを南に向かう。
 途中に神田川があり、そこに架かる和泉橋を通るが……。
「威吹は江戸時代、この辺、歩いたことある?」
 ユタの質問に、
「いや、無いな。そもそも江戸自体、1度しか行ったことが無い」
「1回は行ったんだ?」
「さよう」
 威吹は頷いた。
「何しに?」
「まあ……さくらの護衛かな」
「威吹の初恋の人!」
「新たにできた寺社奉行に出向く必要があったついでに、その他の寺社を回ったものだ」
「へえ……」
 初めて聞いた話だった。
 今まで威吹は封印前、江戸時代の話をあまりしなかったのだが……。
「奉行所に出向くって、何かやらかしたの?」
「いや、さくらが巫女として霊術を駆使し、凶悪な妖怪を調伏したというので、その報告に向かっただけだ」
「凶悪な妖怪って……」
「ふふ……」
 当時、青梅街道を荒らし回っていた人喰い妖狐、威吹のことだ。
「江戸市中において、さすがに手ぶらで歩くわけには行かなかったからね」
「なに……?」
 その時、たまたま犬の散歩をしている住民の近くを通った。
 人間と似た姿をしておきながら、そうではない臭いに警戒した犬は威吹に吠える。
 飼い主が慌てて、リードを引っ張った。
「まあ、あんな感じだ」
 と、威吹。
 最初は眼力で、吠えて来た犬を怯ませていたが、今は勝手に吠えさせている。
「え?」
 何だろう?さくらは威吹に首輪を付け、リードで歩かせたのだろうか。
「江戸時代からあったんだ。BDSM」
「何を想像しているか分からんが、何故興奮する?」
 威吹は不審な顔をした。

[同日10:30.東京都墨田区菊川 藤谷ビル 稲生ユウタ&威吹邪甲]

「ここか。藤谷組の本社ビルって……」
 新大橋通り沿いにあるそのビルは、そんなに高いビルでは無かった。
 ざっと見た限り、7階建てくらいだろう。
 それでも自社ビルだというのだから、なかなか経営状態の良い中堅(?)ゼネコンのようだ。
 ほんの数年前に、足立区から移転したという。
 ここにユタ達が来たのは、藤谷春人に呼ばれたからである。
 まだ就職活動の時期でもないのだがとユタは疑問を投げたのだが、そうではないと。
 ちょっと手伝って欲しい事案があるのだ、と。
 普通の私服で構わないから、威吹と共に来てくれと頼まれたのだった。
「ちょっとした城だな」
 と、ガラス張りのビルを見上げた威吹は呟いた。
「まあ、今の都内のビルはだいたい城の天守閣くらいあるだろう」
 ユタ達は正面の自動ドアから、ビルの中に入った。
 セキュリティはしっかりしているらしく、入るとその先にエレベーターホールがあるのだが、その手前はオートロックの自動ドアで塞がれていた。
 小さなビルなので、別に警備員が立っているわけでもないし、受付嬢がいるわけでもない。
 入口に内線電話があり、そこで相手と連絡を取るという方式のようだ。
「えーと……藤谷班長に直に連絡取れるのかな???」
 ユタは内線電話の前にある番号表を見た。
 受話器を取り、そこから藤谷班長がいると思われる番号に掛けようとすると、
「ごめんごめん!2人とも、こっちこっち!」
 エレベーターから当の藤谷が降りてきて、自動ドアを開けた。
「そのまま入って!」
「は、はい。失礼します」
「出迎えの時機が少し遅れたようだな?」
 威吹はエレベーターに乗りながら、藤谷を見据えた。
「悪い悪い。ちょっと、顧客から電話があってさ……。ちょっと話がおしちゃって……」
 藤谷はばつが悪そうに頭をかいた。
 エレベーターは途中の4階で降りる。
 そこは会議室フロアのようだった。
 こぢんまりとした会議室に案内されると、既にそこには入口側に椅子が2つ並び、その奥に長机が1つ置いてあって、更にその後ろに椅子が3脚並べられていた。
 明らかに、面接試験の様相である。
「まあ、座って座って」
 藤谷は椅子を勧めた。
「あのな、藤谷班長よ」
 威吹は不機嫌そうな顔をした。
「ユタはまだお前の店(会社)に入ると決めたわけではないぞ。ユタに何をするつもりだ?」
「あ、違う違う。これ、別に入社試験じゃないから」
 と、藤谷。
「は?」
「それに、稲生君に座ってもらう席はここじゃなくて、そこだよ」
「は!?」
 藤谷が指さした場所は、3人席の方。
 つまり、試験官側だ。
「お茶もそこにポットと茶碗があるから適当に飲んでいいからね」
「あの、僕に何をしろと?僕は面接を受ける方はあっても、今の段階で受けさせる方にはならないと思いますが……」
「うん。実はこれから起こることを話そう。確かに採用試験ではないけど、これからここで面接はある。キミ達にはその立会人になってもらいたいんだ」
「こりゃまた面妖な……。本来無関係であるユタとオレを何かの事案に巻き込もうとは……」
「申し訳ない。もちろん謝礼は沢山するからね。これからここに面接に来る人に質問するのは、もちろん俺だ。キミ達はそのやり取りを見てくれてるだけでいい」
「一体、何を目的とした、どんな面接なんですか?」
「それだ。まだ少し時間がある。それまでに、この資料に目を通してほしい」
「雪女郎連合会?雪女の……コミュニティ団体ですよね?」
 ユタはそう言った。
 前にその話を聞いた時、組織概要がまるで法華講連合会だと思ったので覚えていたのだ。
 いや、法華連というよりは顕正会の組織に似ているかも、と……。
「そう。そして、これから面接に来るのはこのコ達だ」
「履歴書!本当は藤谷組の採用面接なんじゃないですか?」
「だったら、俺以外の役員や人事担当が来るよ」
「この雪女、あれじゃないのか?藤谷班長に“獲物”になるよう、接近している者では?」
「そうなんだ。さすがにあそこまでされたら、俺も話くらい聞いてやろうと思ってな」
「いい加減、締結書にサインしてあげましょうよ」
 ユタはニヤけた顔で言った。
「ダメだ。相手はヘタすりゃ人殺しも辞さない妖怪だぞ?そう簡単にサインしてたまるかってんだ」
「まあ……考え方は賢明であるが……だからと言って、何もユタやオレに出張らせる必要は無いだろうが。妖狐が関わったなんてなったら、話がデカくなって却って面倒だぞ」
 威吹は再び不機嫌になる。
「だから謝礼はするって。お得意さん用に用意する御中元の高級なヤツ、そっちに回すからさ」
「だってさ、威吹」
「ったく……。で、これから来る雪女が2人ってどういうことだ?一部の例外を除いて、雪女もまた獲物は1人につき、人間の男が1人という掟だと聞いたぞ?」
「この氷奈ちゃんってコの保護者だってさ。親ではないみたいだけど……」
「ふーん……。まあ、あいつらの繋がりはオレもよく分からん」
「じゃあ、オレが真ん中に座るから、あとは適当に両隣に座ってくれ」
「はーい」
「あいよ」

 こうして、面接の時間が刻々と迫ってくる。
 一体、何が起こるのだろうか。
 緊張感が高まる人間2人に対し、威吹はのんきにお茶を啜っていた。
(この茶、ヌルい……)
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小説の途中ですが、ここで通常の日記をお送りします。

2014-06-20 00:04:41 | 日記
 小田急線、やっちまいましたね。
 股尾前科が小田急にもいたのかと思ったが、もう少し事故原因の究明が進まなければ何とも言えない。
 事故のあおりを受けた利用者の皆さんにおかれてはとんだ災難であったが、ケガ人が無くて何よりである。
 脱線した1000系らしき車両も、あの程度なら修理で済むだろう。

 ところでここ最近、名前の欄に「差別用語」と書かれた方の書き込みが2回あった。
 無論、特に問題のあるコメント内容ではないのだが、名前の欄に書かれているので、「差別用語さん」とお呼びして良いのか迷った次第だ。
 “差別用語”さんはパラパラ茜さんのブログ内容や、その他のネット内での振る舞いに対して苦言を呈しておられる。
 私はそこまで関知してはいないが、バーズさんの所にも書き込まれているところまでは知っている。
 少なくとも私が出した結論は、
「武闘派以外は関わらない方が良い」
 ということだ。
 風の噂で聞いたところによると、彼女は私より10歳ほど年上らしい。
 つまり、バブル(末期)世代である。
 あーあ……だ。
 いや、まあ、その……何だ。
 あまり、いいイメージは無いということだ。
 私と同じ世代、もしくはもっと若い世代なら、
「これからの未来を大事に」
 と思い、大きなお世話かもしれないが、何とかしてあげたいという気持ちが働くのだが、あの歳でアレだともう……【お察しください】。

 私も顕正会、法華講と色々な人と話をしてきたが、1番ご遠慮願いたいタイプというのが、
「私が!私が!」
 と自己主張の強いタイプと、マシンガントークぶっ放されて相槌打ち続けるこっちの身にもなれよと突っ込みたくなるタイプだな。
 相槌を打つのをやめた時点で、何かに気づいてほしいものだ。
 え?反論不能になったから私の勝ちだって?……なに?法論ってのは、マシンガントークを先にブッ放す方が勝ちなのかい?
 法華講にもいるタイプなので、この辺はまあ……といった感じだな。

 少なくとも私はそういうタイプじゃないよ。
 何だか知らんが、顔を合わせると、マシンガントークされる側だから。
 聞いてるこっちはワケ分からんよ。
 小説だったら作者のサジ加減で、セリフをキリのいい所で打ち切れるのだが。
 だからなのか、小説家にはマシンガントークを放つタイプってのはあまりいないそうだ。
 長ったらしいセリフがどうなのかを知っているからだろう。

 ああ、今思い出した。
 顕正会時代の話だが、大抵折伏する時って、上長と一緒じゃない?
 私は短く話して相手の反応を伺い、それに応じてまた短く答え……という会話法が主流で、今もそうなのだが、隣の上長がマシンガントークやらかしちゃうと、隣にいる私はヒマでしょうがなかった。
 相手に反論させる隙を与えないんだってさ。
 いや、反論させてあげようよ!別にいいだろ!
 反論というか、むしろ質問だろうが。
 法華講ではそんなことないのだろうと思ったが、意外とそうでもなかった。

 短く話して相手の反応を伺い、それに応じてまた短く答え……っての、ダメなのかな?
 いや、確かに成果は出てないけどね。
コメント (7)
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