報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“ユタと愉快な仲間たち” 「導かれし者たち」

2015-01-07 19:51:41 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[現地時間1月3日09:00.魔界帝国アルカディア・王都アルカディアシティ17番街 威吹、カンジ、イリーナ、マリア]

「ここはどこだ?」
 マリアの屋敷から直に魔界へ向かう“通路”がある。
 そこを通って出た先は、建物の中だった。
「まるで、バーみたいな所ですね」
 と、カンジ。
「酒場のことですよ」
 カンジは威吹に耳打ちした。
「まあ、そうね。ここは“ジャッカル・バー”っていうバーでね、ここのマスターも魔道師だから、その繋がりで出口を設けさせてもらったんだけど、避難した後みたいだね」
 イリーナの言う通り、店内はもぬけの殻どころか、荒らされた後だった。
 通りに面した窓ガラスこそは割られていないものの、大きな酒樽をバリケード代わりにしたのだろうか、店内入り口のドアの前に置かれてはいるものの、ドアは破られていた。
「この町に安全な所は無いから、長居は無用よ」
「そのようだな」
 とはいうものの、そこは魔道師が経営していた店。
 色々と使えるものは転がっていた。
 中にはファンタジーには似つかわしくない銃火器まで置いていたりする。
 しかもそれを装備をしたのは、マリアの人形達だった。
 普段はサーベル、スピア、レイピアという刃物を装備をしているのだが、それに加えてハンドガンやマシンガンを装備した。
 但し、装填される弾はただの銃弾ではなく、銀製の弾だという。
 これは妖力に守られた妖怪達を攻撃するには最適の物で、ザコなら銃弾一発で倒せるという。
「慌てて逃げた後みたいね。それだけバァルが突然帰ってきたってことでしょうね」
 イリーナが拾ったのはハーブだった。
「これも薬草として、傷の回復に使えるわ」
「まあ、使えるものは何でも使うくらいでないと、大魔王には勝てんだろうな」
 と、威吹。
「で、どうやって魔王城に侵入する気だ?」
「地下鉄を使うつもりよ」
「地下鉄?こんな非常時に電車が走ってるとでも?」
 イリーナの答えに、カンジが目を丸くした。
「電車が走っていないからこその作戦よ。地下鉄の1番街駅と魔王城は、実は地下道で繋がってるの。そして、17番街駅と1番街駅はほんの数駅分。まあ、敵は潜んでるでしょうけど、あなた達の敵ではないでしょう」
「ふーむ……」
「まあいい。行ってみよう」

[同日10:00.魔界高速電鉄1号線 17番街駅 上記メンバーにプラス、キノと江蓮]

 魔道師達はローブを羽織り、フードを深く被っている。
 本来、見習の身分であるマリアにはローブの着用権利は無いのだが、
「それは義務じゃない」
 と、タチアナに反対され、タチアナの店にあったローブを売り付けられた購入し、それを着用している。
「イブキ!」
「キノ!」
 その地下鉄駅前でキノ達と合流した威吹達。
「何やってんだ、ここで?」
「オマエこそ、何やってんだ?」
「いや、地下鉄通って魔王城に行こうと……」
「なっにー!?」
 イリーナはクスッと笑った。
 霧に紛れて閉鎖されている地下鉄の入口へ向かう。
 階段を下りると、鉄扉が固く閉ざされていた。
「ちっ、鍵なんぞ掛けやがって!」
「キノ、地下鉄の状況はどうなってる?」
「分からん。オレ達は冥鉄経由で来たんだが、冥鉄も途中の駅で降ろされちまった。向こうの職員達も情報ナシ、手掛かりナシ、皆無ってことで混乱してたぜ」
「じゃ、どうする?」
「アタシが魔法で開けるわよ」
「それを早く言え!」
 イリーナが鉄扉の前に立ち、呪文を唱える。
 するとそこへ、
「そこにいるのは誰だ!?」
 地上から怒声が聞こえた。
「見つかった!」
 と、同時に、鉄扉が開いた。
「急げ!」
 威吹達は鉄扉の奥へ入った。
「待たんか、こら!!」
 霧の中から一瞬見えたのは、魔王軍の鎧を着た兵士の姿だった。
 追っ手に追いつかれる前に、鉄扉を閉め、イリーナが魔法で施錠した。
「これでこのドアは、普通の方法では開けられないわ」
「よし!」
 威吹達は階段を降りた。
 17番街駅は、そんなに大きな駅ではないらしい。
 停電しているわけではないが、元々が薄暗い駅だったのだろう。
「なーんか、古い欧米の地下鉄みたい」
 とは、イリーナの言。
 階段を下りてまず最初に現れるのが、自動販売機や自動改札口。
 魔界高速電鉄は運賃均一性で、昔のニューヨークの地下鉄みたいにトークンというコインを買って、それを改札口の入口に入れ、スロットルバーを回して入場するというもの。
 トークンではないが、開業したての地下鉄銀座線も似た方式だった(葛西の地下鉄博物館で実物に触ることができる)。
 つまり、何の変哲も無いということだ。
 無人駅ではないのだが、職員達も乗客達も逃げたのか、その姿は無い。
 が、
「ゲヘゲヘ……」
「美味ソウナ、人間ノ匂イ……」
 招かざる客はいるようで、下級のモンスター達の姿はあった。
 無論、高等妖怪たる威吹達にとってはザコ同然だ。
 改札口を越え、更に下に降りる階段を降りると、2面2線のホームがある。
 薄暗くて不気味な気配がある以外は、何の変哲も無い地下鉄の駅だ。
 この1号線は東京の地下鉄で言えば、丸ノ内線と銀座線を足して2で割ったような形をしている。
 池袋から銀座までと、銀座から渋谷までの形をしているということだ。
 17番街駅はこのうち、霞ケ関とか新橋辺りに相当するようである。
 2番線のデビル・ピーターズバーグ(池袋に相当)行きに乗れば、魔王城と直結している1番街駅に行ける。
 が、そこには電車が中途半端な位置に停車していた。
 1号線は6両編成なのだが、ホームにいるのはその3両分だけ。
 あとの3両は、ホームからはみ出していた。
「ふんっ!」
 ホームにもザコモンスターが何匹かいて、それを威吹達が斬り捨てる。
「まあ、異変が起きて急停車したのかもね」
 車両は東京地下鉄道(地下鉄銀座線の浅草〜新橋間を開業させた会社)の1000形(葛西の地下鉄博物館にも展示されている)とよく似ている。
 1番後ろ(前?)の車両の1枚のドアだけが半開きになっており、そこから車内に入れた。
 車内の照明が消えていないところを見ると、停電はしていないようだ。
 だがもちろん、そこにも乗員乗客の姿はなく、しかも座席や床に乗客達が慌てて逃げ出したであろう荷物が散乱していた。
「電車が走り出す様子は無ェな。トンネルを歩いて行くしか無ェか?」
「そうねぇ……」
 基本的には1両単位で運転できる電車を6台繋いで6両編成にしているだけで、車内から隣の車両には行けない。
 しょうがないので一旦電車を降り、ホームから更に線路に下りた。
「気をつけて。レールの脇に電気が流れてるから」
「おっと!」
 銀座線や丸ノ内線などと同じ、第3軌条方式である。
 大抵は簡単に触れないよう、カバーがしてある。
「それを飛び越え、反対側の線路に行く。そこから、1番街方面に向かって進んでいくと……。
「?」
「何だこれは?」
 ホームから飛び出した部分の先頭車を絡めているのは、蜘蛛の巣ようなカイコの繭のようなもの……。
「何かの巣か?」
 キノが首を傾げた。
「分からないわ。だけど、こいつのせいで電車が走れないのね」
「師匠、それなら電車の1番前の部分だけ切り離して、それで魔王城に向かうという手がありますよ?」
「なるほど」
「電車の運転なんかできんぞ?ユタじゃあるまいし」
 キノが変な顔をした。
「大丈夫。どうせここの地下鉄は自動運転みたいなものだから」
「なに?」
「まずは電車を切り離して、走れる状態にして行きましょう。急がないと」
 イリーナはふわっと浮かんで、ホームに上がった。
「おい、待てよ!」
 キノや威吹達も後に続いた。
コメント (2)
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本日の動静 0107

2015-01-07 14:55:16 | 日記
 今日のミッションは大きく分けて2つ。
 1つは私の本籍地がある仙台市若林区の区役所に、身元証明書(身分証明書)の請求をすること。
 もう1つは所属末寺に行って、添書登山の申し込みをすることである。
 先月、私が警備検定の資格を取りに中央特快に乗った話をした。
 それを“ユタと愉快な仲間たち”にも取り入れたのだが、あんまり参考にならなかったような……。
 まあいい。
 地元公安委員会に提出する書類の中に、本籍地から取り寄せなくてはならない身元証明書があり、それを郵送で請求しなければならないからだ。
 大宮から仙台まで一っ走りっていうのもねぇ……。
 初めて定額小為替なるものを購入したよ。
 たった300円のことなのに、随分と御大層なものだ。
 定形外の普通郵便でもOKなのだろうが、一応、簡易書留にした。
 確実性を期すのもあるが、少額とはいえ、やっぱり有価証券が同封されているとなると、普通郵便では心許ない所があったからだ。
 というわけで、取りあえず最初のミッションはこれでOK……だと思いたい。

 最寄りの北与野駅から埼京線各駅停車で、ブクロまで。
 新宿行きなのに、来た電車はりんかい線の70-000形だ。
 いわゆる、線内折り返しというヤツである。
 乗り入れ先から地元に帰ることなく、そのまま乗り入れ先の線内を折り返すことを言う。
 しばしばこの時、ダイヤ乱れが発生して相互乗り入れ中止の憂き目に遭い、地元の路線に帰るに帰れなくなった彷徨う電車を見て、時折切なく感じるのは私だけか。
 所属先の寺院に行くと、ものの見事に誰もいねぇ……ということはなかった。
 年配者ばかりだが、中には私と大して歳の変わらぬ者も唱題していたり……。
 何だかんだ言って、信徒は増えているのか。
 私も僅かな御供養を包んで、受付に持って行く。
 で、そこで添書登山の申し込み。
 そういえば、今のお寺に来てから支部登山は新幹線、添書登山は高速バスというのがセオリーになりつつある。
 なので、交通手段の所の『大石寺直通バス』の欄に丸ばっか付けてる。
 もう少しカネ稼ぎができたら、添書でも新幹線に丸つけたいね。
 因みにこの『大石寺直通バス』とは、今ではもうJRバスや富士急の“やきそばエクスプレス”のことだけを指すようになってしまった。
 ほんの数年前までは清観光(清観ではない)の登山バスも入っていたのだが、法律改正によるツアーバスの禁止により、清観光もその形態を取っていたため、運行中止となってしまった。
 もし続けたいのなら、路線バスの免許を取らなくてはならない。
 清観光も商売である以上、そこまでする登山バスは赤字だと考えたのだろう。
 まだ、登山者の数は少ないということだ。
 ああ、そうそう。もう1つ忘れていた。
 便名は失念してしまったが、関西方面からも近鉄バス辺りが夜行バスを走らせていたはずだ。
 大石寺を通って、最終的には富士急ハイランド辺りまで行くんだったか?
 それも一応、『大石寺直通バス』に入るだろう。
 まあ、私は一生乗ることは無さそうだ。

 本堂で御挨拶だけしていたら、直属の班長さんに声を掛けられた。
 なるほど。班長さんも自営業者だから、平日も自由に動ける人だったか。
 何だか、昔お世話になった顕正会の班長さんに似てるなぁ……。
 いや、マシンガントークなどせず、柔らかな口調で話される所は全然違うんだけど、見た目が……。
 で、そこで日興上人御生誕770周年奉祝法要登山の誘いを受けた。
 3月下旬で、殆どが平日だ。
 てか、日曜日が無ェ!
 ええ、私は余裕です。
 ただ、3月帰省しようか考えているんで、その分の休暇を取った後で、また登山分の休暇となると微妙な所はある。
 まあ、1日だけの日帰りなら大丈夫かな……。

 高速バスネットで、取りあえず来月の添書登山のバスを予約したら、往復共に展望席だ。
 別に狙っているわけではないのだが、高速バスネットは前から席を埋めていく形なのだろうか。
 まあ、間違い無く大石寺行きは遅延して、布教講演バックレコースだろう。
 難しい話聞かされてもなぁ……というのは正直ある。

 帰りは乗り鉄目的で、東武東上線に乗ってみることにした。
 川越まで行って、そこから川越線に乗り換えよう。
 ホームに行ったら、急行電車が止まっていたが、待てよと。
 ホームをぶらついていたら、快速なるものがやってきた。
 いつの間に東武東上線に快速が走り出したのやら……。
 停車駅を調べてみると、川越まで行く分には急行と変わらない。
 なーんだ。
 しかも急行の直後に発車するせいか、そんなに混んでいないので、快速に初乗りしてみよう。
 だけど、電車は従来の10000系。
 それでも内装はだいぶ変わっていて、バケットシートになっていたり、LED蛍光灯が付いていたり、ドアチャイムが付いていたり、自動放送だったりする。
 思い出のときわ台駅は軽やかに通過する為か、顕正会員らしき姿は見かけない。
 私が現役時代、バリバリの顕正会員だった頃はこれ見よがしに顕正新聞を開いてやったものだが。
 妙観講がアポ無し折伏してくるからと、本部が大宮になってから、上長に注意されたことがある。
 アポ無し折伏に関してはお互い様だな。

 さあ、川越駅に着いた。
 川越線のホームはすぐ間近にあるのに、わざわざ階段を登り降りして改札を出たり入ったりしなければならない不便。
 うん。大宮駅の野田線乗り換え客の気持ちが分かる駅だ。
 ここから乗った大宮方面行きも、りんかい線の70-000形。
 今日はJR電車に乗らない日だったな。
 こんな日でもバスには乗るもので、大宮駅東口から最終の西武バスに乗って帰宅した。

 最後にバスで締める所が、正に乗り鉄派バス・フリークスと言えよう……と、己惚れてみた。
コメント (10)
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