報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“ユタと愉快な仲間たち” 「導かれし愚か者たち」

2015-01-13 15:42:40 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[1月3日15:00.魔王城・塔屋 ルーシー・ブラッドプール1世&グリーン横田]

 ルーシーは一族の者が助けに来ないことについて、やきもきしていた。
(おかしいわ。魔界がこんな状態になって、私も監禁状態だってこと、もうママには分かっているはずなのに……。どうして、誰も助けに来てくれないの?)
 と、そこへ物音がした。
「ちょ、ちょ、困りますよ!」
「いいからいいから。あなたのお兄さんをケンショーから救いたくないんですか?」
「そ、それは……」
 奥から聞こえるのは看守の兵士と、もう1人は……。
「うぎゃっ!」
「!?」
 バチバチという電気のスパークする音が聞こえ、その看守の叫び声が聞こえた。
「誰!?」
「横田です。先般の元旦勤行における大感動は、未だ冷めやらぬものであります」
「横田!」
 横田の手には、スタンガンが握られていた。
「これでもう邪魔者はいませんよ、お美しい女王様?」
 横田は厭らしい目つきになった。
(まずい……!辱めを……!)
 囚われの王族女性が陵辱を受けることは、歴史上のセオリーではあるが、まさかルーシーもか?

[同日同時刻 魔王城地下 威吹、カンジ、マリア、イリーナ、キノ、江蓮]

「しゃらくせぇい!」
 キノがブンッと刀を振るう。
 赤い刃からビームのような光が出て、それで敵をバッタバッタと斬り裂いて行った。
 因みに威吹が代わりに青い刃の刀を振るっても、同じ効果だ。
「赤い刃は燃える炎で、青い刃は凍てつく氷かと思ったけど、そうではないんですね」
「そのようです」
 カンジは江蓮の疑問に頷いた。
「カンジ、オレの江蓮に気安く話し掛けんじゃねぇ!」
「オレからは話し掛けていない!」
 カンジはキノの横に来ると、ポーカーフェイスのまま反論した。
「江蓮の処女膜ブチ破ったのはオレなんだからよ!」
「言っておくが、あんまりそれは関係無いみたいだぞ。運動とかで自然に破れることがあるというし、1度のセックスだけで破れるとも限らないらしい」
 と、カンジは言う。
「1度だけじゃねぇから大丈夫だな!江蓮、帰ったらまたヤるぞ!」
「分かったから、前から来る敵何とかしろ!」
 江蓮は半分呆れた顔でキノに怒鳴りつけるようにして言った。
「すいません、変態野郎で……。もしアレでしたら、後でボコッときます」
 江蓮は近くにいるマリアに恥ずかしそうに、かつ申し訳無さそうに言った。
「いや、いいよ……」
 マリアは複雑な顔をして答えた。
(私はユウタ君に処女あげれなかったな……)
(若いっていいねぇ……)
 1番前にいるのは、実はイリーナだったりする。
 もちろん、彼女が大水晶の位置を知っているからだ。
「であえ!であえ!奴らの目的は大水晶だ!そこに近づけるな!」
 城内を警備する兵隊達の隊長らしき男が、あまり余裕の無さそうな様子で号令を出す。
 思いの外、威吹達の潜入のスピードがそれだけ速いということだ。

 そして!

「でやあーっ!!」
 切り込み隊長的な役割を果たすキノ、ついにその隊長格の首を刎ね飛ばした。
「大将首、もらい受けたぞ!」
 あとはもうベタな法則で、蜘蛛の子を散らす騒ぎで三々五々散り散りになる兵卒達。
 もちろん、残りの剣客達や、
「バギ・クロス!」
 魔道師達の攻撃魔法により、全滅の一途を辿ることになる。
「うー……私、何もしてない……」
 江蓮だけは手持ち無沙汰だ。
「いいのよ。あなたは言わばNPC。イベントキャラのつもりで、後からついてくればいい役割よ」
 イリーナがポンと江蓮の背中を叩いた。
「はあ……」
「おい、イリーナ!大水晶はどこだ!?」
「突き当たりを右に行って!」
「よーし!」
「あの鬼男、年下のくせに師匠を呼び捨てにするとは……!」
 マリアが眉を潜めた。
「サーセン、やっぱ後でボコッときますんで」
 江蓮が代わりに謝った。

[同日15:30.魔王城・上層階 ルーシー&横田]

「……というわけで、ブラッドプール家も反逆者として捕縛の対象になっているのです」
 横田は状況を説明して、何とかルーシーの信用を取り付けた。
「私達は、たかが魔王軍如きに捕縛されるほど弱くはない!」
「お言葉ですが、皆様全員ではありますまい?中にはまだ魔力の開花していらっしゃらないお子様もおられます。その方を人質に取るという手法もあるのですよ」
「!」
 横田は牢屋のドアを開けた。
「行きましょう。もう既に城内には大魔王バァル討伐隊が潜入しております」
「本当に!?」
「しかし、無礼な連中だ。真っ先に陛下を助けに行かないとは……」
「先導者は誰?」
「お尋ね者のイリーナですよ」
「ああ……」
 イリーナの名前を聞いて、妙に納得したルーシーだった。
「魔道師は喰えないヤツがなるものよ」
「ええ。では、こちらです」
「ちゃんと逃げ道はあるの?」
 ルーシーは牢から出て横田に投げた。
「ええ。飛空艇を利用します」
「飛空艇!?城にあるの!?」
「ええ。内戦が発生した時に、オーゼルグ将軍が……。バァル側に加担したドラゴンナイツ(竜騎士団)に取り囲まれて一時退却しましたが、装備を整えて戻ってきました」
「そうなの」
「まずは階段を下りる必要があります。もしよろしければ、それまで私が“お姫様だっこ”をば、ええ……」
 ルーシーの腰に手を伸ばす横田。
「この無礼者!」

 バチコーン!(ルーシーの平手打ちが横田に炸裂。横田の眼鏡が吹っ飛ぶ)

「ああっ、私の眼鏡型爆弾がーっ!」
 横田、服のポケットから別の眼鏡を出して掛ける。こちらが本物。
 で、ルーシーによって飛ばされた眼鏡型爆弾が階段の下へ飛んで行って……。
「いたぞ!裏切り者の横田!……と、ルーシー……」

 チュドーン!

「ぐわあーっ!」
 横田特製の眼鏡型爆弾が爆発し、追っ手の兵隊達を吹き飛ばした。
「クフフフフフフ……。いい気味です。クフフフフフフフフ……。陛下、ご覧頂けましたか?私のこの緻密な作戦を!クフフフフフフフフ……」
 ↑ただの偶然。
「さあ、美味しい所は私が頂きます。クフフフフフフ……功徳です。クフフフフフフフフ……」
「笑ってないで、さっさと飛空艇へ案内しなさい!」
 ルーシーは上からキモく笑う横田を怒鳴りつけた。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする