[7月22日12:00.天候:晴 長野県北部山中 マリアの屋敷1F大食堂]
プールで泳いだ魔女達は水着から私服に着替え、昼食会に参加していた。
この頃には稲生も男子更衣室から助け出されている。
稲生:「全く。冗談じゃないですよ」
エレーナ:「災難だったな、稲生氏?」
稲生:「笑い事じゃないって」
マリア:「師匠から、あの魔女達には注意してもらった。もっとも、あまり反省している様子は無い。『男の癖に女子更衣室にいるのが悪い』ってな」
エレーナ:「ハハハッ!おバカな連中。別に、着替え中の所に入ってきたわけでもないってのに……」
マリア:「勇太、もうあいつらのことは気にしないでくれ」
エレーナ:「そうそう。この門内の中で、誰がバカ女かどうか分かっただろ?稲生氏も男とはいえ、バカ女とは付き合いたくないだろうからね」
稲生:「僕はマリアさんと一緒にいられればいいんだ」
エレーナ:「おっ、聞いたか、マリアンナ?愛の告白だぜ?」
マリア:「うるさい!」
アンナ:「ま、関わらないのが1番だね。……そうそう。そんなバカ女と関わったばっかりに、哀れな末路を辿った男の話をしてあげましょうか?」
アンナは不気味な笑みを浮かべた。
マリアやエレーナも時折することがある、『魔女の笑顔』だ。
マリア:「勇太、聞かなくていい。魔法掛けられるから」
エレーナ:「おっ、アンナもやるねぇ。マリアンナを出し抜いてNTR作戦ですかい?」
アンナ:「ちっ……」
アンナは呪術系の魔道師である。
どんな呪術かというと、まず呪いを掛ける相手に怪談話を聞かせる。
大抵は話の中の主人公が最後には死亡するという話だ。
普通は聞いている者には被害は及ばない。
ところが、そこがアンナの怖い魔法だ。
聞いている相手に、その呪いの話を侵食させ、話の中の主人公の追体験をさせるのである。
もちろん、そこはダンテ一門の魔道師。
それ以外にも回復魔法や攻撃魔法などの基本的な魔法は、本科教育の一環として習得済みである。
エレーナ:「マリアンナ、油断ならないよ?」
マリア:「エレーナ、うるさい。それより、エレーナも鈴木氏とやらにモーション掛けられてるじゃないか?どうなんだ?」
エレーナ:「あ、あれは単なる金づるだよ。あいつ、家が金持ちだから、上手くカネを出させてやるんだ」
稲生:「その割に耳が赤くなってるよ、エレーナ?」
エレーナ:「い、稲生氏、うるさい!……稲生氏も鈴木みたいにもっと積極的にならないと、マリアンナといつまでも進展しないよ!?」
稲生:「積極的になりたいのは山々だけど、マリアさん、まだ人間時代の傷が癒えてないから……」
エレーナ:「心の傷を癒せる回復魔法とかが開発されれば、一気にグランドマスターだろうな?」
アンナ:「だろうね。恐らく誰もできないだろうけど……」
と、そこへエレキギター片手にデスメタルの衣装に着替え、メイクも施したリリアンヌがやってきた。
リリアンヌ:「ヒャーッハッハッハッハッハー!ダンテ一門のみんなーっ!ランチタイムの余興、いっくぜーっ!!」
幼少の頃、性的虐待を受けていたせいか、言葉に難を抱えてしまったリリアンヌ。
そんな彼女の支えになったのが音楽である。
ところがその音楽というのが、何故かデスメタルだったりする。
時折こういう集会があったりすると、余興としてこの趣味を披露することがある。
因みにスイッチの切り替えは酒で行われる。
今のリリアンヌ、相当酒に酔っているはずである。
つまり、酒の勢いでデスメタルを披露するというわけだ。
エレーナ:「それにしても稲生氏、皆の水着姿が拝めなくて残念だったな?」
稲生:「いいよ、もう……」
稲生は不機嫌な様子で水を口に運んだ。
エレーナ:「マリアンナなんか、泳いでいる最中ポロリしたぜ?」
稲生:「ブバッ!?」
マリア:「してないから!」
エレーナ:「師匠達はマルファ先生以外、皆して巨乳だけども、あの最凶魔女軍団共もなかなかデカかったぞ。揉んでくる?」
稲生:「なに人をデストラップに掛けようとしてるんだ、オマエは?」
見た目にはノリの良い集団である。
リリアンヌのデスメタルに、すっかり付いて行っている。
リリアンヌ:「魔法は自由だぁーっ!Magic is freedom!」
リリアンヌは一曲歌うごとにワインをぐい飲みしている。
エレーナ:「ありゃ、ちょっと飲み過ぎだな」
稲生:「まだ歳は15歳になったか、なってないかって所だよね?」
リリアンヌ:「Merci beaucoup!(メルシー ボクー)」
稲生:「おおっ!最後はフランス語で何か言った!さすがはフランス人!……って、リリアンヌは何て言ったの?」
エレーナ:「英訳すると、Thank you so much!だよ」
稲生:「あ、何だ」
エレーナ:「てか、自動通訳魔法切れるくらい酔っ払ってんじゃねーかよ」
エレーナは席を立つと、エントランスホールとは逆の廊下の方に行こうとするエレーナを捕まえた。
エレーナ:「おい、リリィ!飲み過ぎだ!」
リリアンヌ:「……ック!……ひゃ、ひゃっくり……!ひゃっくり……ィック!……とと、止まらないひ……!ヒック!……も、ダメ……!」
リリアンヌはバタッと倒れた。
エレーナ:「だから言わんこっちゃない」
イリーナ:「いいよ。うちで休ませてあげるよ」
エレーナ:「申し訳無いです。後で言っておきますんで。ポーリン先生は……」
イリーナ:「ここで酔い潰れてる」
テーブルに突っ伏しているポーリンの姿があった。
エレーナ:「先生!?」
マルファ:「ポーリンってお酒弱くなったよねぇ!」
イリーナ:「ゲストルームが空いてるから、そこでポーリンとリリアンヌは休ませてあげましょう」
エレーナ:「大変お手数をお掛けします」
時折、魔女達の食事会はこのように酔い潰れる者が発生するらしい。
エレーナ:「稲生氏、だいぶ前、リリィに寝込みを襲われたことがあっただろ?」
稲生:「あったね。それがどうした?」
エレーナ:「いや、仕返しするなら今がチャンスだぜ?」
稲生:「だから!人をデストラップに掛けようとするなって!」
尚、稲生が乗り気になったら行動に移そうと準備している最凶魔女軍団が後方にいた。
マリア:「勇太、エレーナはそうやって他人をデストラップに掛けるのが得意だから気をつけなよ?」
稲生:「それも魔法なんですか?」
もしも稲生が本気になってリリアンヌを【あれや】【これや】したら、最凶魔女軍団が【お察しください】。
稲生:「この集まりに男性魔道師が誰一人参加していない理由って……?」
マリア:「ぶっちゃけ男にとっては面倒臭い集まりだから、だね」
稲生:「また僕だけ貧乏くじ!」
エレーナ:「まあまあ。皆が帰った後でまたプールに入ってやるから、それで目の保養でもしてくれ」
マリア:「うん……って、いや、オマエも帰れよ!」
エレーナ:「ちっ!」
一瞬納得しかけたマリアであった。
プールで泳いだ魔女達は水着から私服に着替え、昼食会に参加していた。
この頃には稲生も男子更衣室から助け出されている。
稲生:「全く。冗談じゃないですよ」
エレーナ:「災難だったな、稲生氏?」
稲生:「笑い事じゃないって」
マリア:「師匠から、あの魔女達には注意してもらった。もっとも、あまり反省している様子は無い。『男の癖に女子更衣室にいるのが悪い』ってな」
エレーナ:「ハハハッ!おバカな連中。別に、着替え中の所に入ってきたわけでもないってのに……」
マリア:「勇太、もうあいつらのことは気にしないでくれ」
エレーナ:「そうそう。この門内の中で、誰がバカ女かどうか分かっただろ?稲生氏も男とはいえ、バカ女とは付き合いたくないだろうからね」
稲生:「僕はマリアさんと一緒にいられればいいんだ」
エレーナ:「おっ、聞いたか、マリアンナ?愛の告白だぜ?」
マリア:「うるさい!」
アンナ:「ま、関わらないのが1番だね。……そうそう。そんなバカ女と関わったばっかりに、哀れな末路を辿った男の話をしてあげましょうか?」
アンナは不気味な笑みを浮かべた。
マリアやエレーナも時折することがある、『魔女の笑顔』だ。
マリア:「勇太、聞かなくていい。魔法掛けられるから」
エレーナ:「おっ、アンナもやるねぇ。マリアンナを出し抜いてNTR作戦ですかい?」
アンナ:「ちっ……」
アンナは呪術系の魔道師である。
どんな呪術かというと、まず呪いを掛ける相手に怪談話を聞かせる。
大抵は話の中の主人公が最後には死亡するという話だ。
普通は聞いている者には被害は及ばない。
ところが、そこがアンナの怖い魔法だ。
聞いている相手に、その呪いの話を侵食させ、話の中の主人公の追体験をさせるのである。
もちろん、そこはダンテ一門の魔道師。
それ以外にも回復魔法や攻撃魔法などの基本的な魔法は、本科教育の一環として習得済みである。
エレーナ:「マリアンナ、油断ならないよ?」
マリア:「エレーナ、うるさい。それより、エレーナも鈴木氏とやらにモーション掛けられてるじゃないか?どうなんだ?」
エレーナ:「あ、あれは単なる金づるだよ。あいつ、家が金持ちだから、上手くカネを出させてやるんだ」
稲生:「その割に耳が赤くなってるよ、エレーナ?」
エレーナ:「い、稲生氏、うるさい!……稲生氏も鈴木みたいにもっと積極的にならないと、マリアンナといつまでも進展しないよ!?」
稲生:「積極的になりたいのは山々だけど、マリアさん、まだ人間時代の傷が癒えてないから……」
エレーナ:「心の傷を癒せる回復魔法とかが開発されれば、一気にグランドマスターだろうな?」
アンナ:「だろうね。恐らく誰もできないだろうけど……」
と、そこへエレキギター片手にデスメタルの衣装に着替え、メイクも施したリリアンヌがやってきた。
リリアンヌ:「ヒャーッハッハッハッハッハー!ダンテ一門のみんなーっ!ランチタイムの余興、いっくぜーっ!!」
幼少の頃、性的虐待を受けていたせいか、言葉に難を抱えてしまったリリアンヌ。
そんな彼女の支えになったのが音楽である。
ところがその音楽というのが、何故かデスメタルだったりする。
時折こういう集会があったりすると、余興としてこの趣味を披露することがある。
因みにスイッチの切り替えは酒で行われる。
今のリリアンヌ、相当酒に酔っているはずである。
つまり、酒の勢いでデスメタルを披露するというわけだ。
エレーナ:「それにしても稲生氏、皆の水着姿が拝めなくて残念だったな?」
稲生:「いいよ、もう……」
稲生は不機嫌な様子で水を口に運んだ。
エレーナ:「マリアンナなんか、泳いでいる最中ポロリしたぜ?」
稲生:「ブバッ!?」
マリア:「してないから!」
エレーナ:「師匠達はマルファ先生以外、皆して巨乳だけども、あの最凶魔女軍団共もなかなかデカかったぞ。揉んでくる?」
稲生:「なに人をデストラップに掛けようとしてるんだ、オマエは?」
見た目にはノリの良い集団である。
リリアンヌのデスメタルに、すっかり付いて行っている。
リリアンヌ:「魔法は自由だぁーっ!Magic is freedom!」
リリアンヌは一曲歌うごとにワインをぐい飲みしている。
エレーナ:「ありゃ、ちょっと飲み過ぎだな」
稲生:「まだ歳は15歳になったか、なってないかって所だよね?」
リリアンヌ:「Merci beaucoup!(メルシー ボクー)」
稲生:「おおっ!最後はフランス語で何か言った!さすがはフランス人!……って、リリアンヌは何て言ったの?」
エレーナ:「英訳すると、Thank you so much!だよ」
稲生:「あ、何だ」
エレーナ:「てか、自動通訳魔法切れるくらい酔っ払ってんじゃねーかよ」
エレーナは席を立つと、エントランスホールとは逆の廊下の方に行こうとするエレーナを捕まえた。
エレーナ:「おい、リリィ!飲み過ぎだ!」
リリアンヌ:「……ック!……ひゃ、ひゃっくり……!ひゃっくり……ィック!……とと、止まらないひ……!ヒック!……も、ダメ……!」
リリアンヌはバタッと倒れた。
エレーナ:「だから言わんこっちゃない」
イリーナ:「いいよ。うちで休ませてあげるよ」
エレーナ:「申し訳無いです。後で言っておきますんで。ポーリン先生は……」
イリーナ:「ここで酔い潰れてる」
テーブルに突っ伏しているポーリンの姿があった。
エレーナ:「先生!?」
マルファ:「ポーリンってお酒弱くなったよねぇ!」
イリーナ:「ゲストルームが空いてるから、そこでポーリンとリリアンヌは休ませてあげましょう」
エレーナ:「大変お手数をお掛けします」
時折、魔女達の食事会はこのように酔い潰れる者が発生するらしい。
エレーナ:「稲生氏、だいぶ前、リリィに寝込みを襲われたことがあっただろ?」
稲生:「あったね。それがどうした?」
エレーナ:「いや、仕返しするなら今がチャンスだぜ?」
稲生:「だから!人をデストラップに掛けようとするなって!」
尚、稲生が乗り気になったら行動に移そうと準備している最凶魔女軍団が後方にいた。
マリア:「勇太、エレーナはそうやって他人をデストラップに掛けるのが得意だから気をつけなよ?」
稲生:「それも魔法なんですか?」
もしも稲生が本気になってリリアンヌを【あれや】【これや】したら、最凶魔女軍団が【お察しください】。
稲生:「この集まりに男性魔道師が誰一人参加していない理由って……?」
マリア:「ぶっちゃけ男にとっては面倒臭い集まりだから、だね」
稲生:「また僕だけ貧乏くじ!」
エレーナ:「まあまあ。皆が帰った後でまたプールに入ってやるから、それで目の保養でもしてくれ」
マリア:「うん……って、いや、オマエも帰れよ!」
エレーナ:「ちっ!」
一瞬納得しかけたマリアであった。