[6月24日13:00.天候:雨 東京都江東区豊洲 敷島エージェンシー]
停電で薄暗くなった事務所内。
両目がオレンジ色に光り、体の所々からもランプが漏れ光るマルチタイプ。
敷島達の前に現れたのは……。
敷島:「れ、レイチェル!?」
レイチェル:「はい」
敷島:「お、お前、どうしてここに!?お、おまっ……シンディに大破されて、アルエットに止め刺されたはずだろ!?」
レイチェル:「それは……」
その時、エミリーが走って来た。
エミリー:「レイチェル!?」
レイチェル:「お久しぶりですわ、お姉様?」
エミリー:「ど、どういうこと!?」
敷島:「誰の命令でここに来た!?デイジーの仲間か!?」
レイチェル:「デイジー?誰ですか、それ?……ああ、誰の命令か、ですね。DCJ成田営業所の鳥柴主任です」
敷島:「は!?」
そこへ鳥柴も走って来た。
鳥柴:「はぁ、はあ……。え、エレベーターが動いてないんですね?!」
敷島:「鳥柴主任、こりゃ一体どういうことだ!?」
鳥柴:「メールで送ったじゃありませんか。『アメリカのルイジアナ州で、ドクター・ウィリーの秘密研究所を発見しました。そこに、驚くべきものが保管されていたので、日本へ移送されます』って」
敷島:「それがこいつか!?」
鳥柴:「そうです」
敷島:「??? 意味が分からんぞ。どういうことだ?」
鳥柴:「今のシンディが、予備用に保管されていた後期タイプだということは御存知ですよね?」
敷島:「ああ。廃墟のホテルから俺と平賀先生で運び出した。平賀先生は廃棄処分を望んでいたんだがな、俺とエミリーで泣きついて阻止したよ」
エミリー:「……はい」
いや、泣きついたのはエミリーであって、敷島はただ単にエミリーの肩を持っただけだ。
鳥柴:「レイチェルもそうです」
敷島:「ええっ!?」
レイチェル:「私にとっては『初めまして』なのですが、社長やお姉様にとっては、『久しぶり』なのですね。マルチタイプ7号機、レイチェル・セブンスです。よろしくお願いします」
敷島:( ゚д゚)ポカーン
鳥柴:「但し、シンディと違って前期型やレプリカのデータは引き継いでおりません」
敷島:「レプリカか!?KR団のは!」
レイチェル:「私のレプリカが多大なる御迷惑をお掛けしたということで、大変申し訳ございませんでした」
レイチェルは深々と頭を下げた。
敷島:「つまり、後期型とはいえ、オリジナルってことなんだな?」
レイチェル:「はい、そうです」
敷島:「そうか……」
鳥柴:「失礼ですが、敷島社長。私がここに参ったのは、レイチェルの紹介だけではありません」
敷島:「そうだな。黒いロボットがまだいた!」
鳥柴:「いえ、それを一斉に止める方法があります」
敷島:「何だそれは?」
鳥柴:「デイジーです。デイジーを壊せば、黒いロボット達は一斉に停止すると見込まれています」
敷島:「デイジーはどこだ!?」
鳥柴:「科学館です!科学館で只今、シンディやアルエットと交戦中です!但し、シンディが苦戦しています!」
エミリー:「あいつ、何やってるんだ!不出来で妹で申し訳ありません!」
敷島:「しょうがない。シンディは遠距離攻撃型で、お前のように近接攻撃は不得意なんだから。とにかく、現地へ向かおう!」
鳥柴:「屋上にヘリコプターを駐機させていますので、それで行きましょう」
敷島:「さすがはDCJだ」
敷島はすぐに屋上へ向かおうとしたが……。
巡音ルカ:「社長、私達を置いて行かれる気ですか?」
敷島:「あ……」
初音ミク:「まだ、あの黒いロボットは襲って来るんですよね?」
敷島:「それもそうだな……」
レイチェル:「私にお任せください。初陣、見事に勝利で飾ってみせましょう。お姉様は見ていてください」
するとエミリーは不審そうな顔をした。
エミリー:「相手は私達より新型で、且つ不正改造されたマルチタイプだ。シンディも苦戦にさせるくらいの」
レイチェル:「はい、頑張ります」
敷島:「俺も行こう。レイチェルと鳥柴主任だけじゃ、シンディが信用しそうにない」
レイチェル:「3号機のお姉様、1度疑い出すとキリが無かったでしたね」
エミリー:「まあ……な」
敷島達は屋上への階段に向かった。
ミク:「エミリーさんが、ここに残っていてくれて良かったです」
ルカ:「エミリー、今のマルチタイプは本当にエミリーの妹さんなの?あまり似てない気が……」
エミリー:「識別信号的にも間違いない。あいつはレイチェル・セブンス。私達、マルチタイプ7機のうち、1番最後に造られた7号機の末妹だ」
鏡音リン:「それじゃ、強いんだね!」
エミリー:「強い……とても……色んな意味で……」
[同日14:00.天候:雨 埼玉県さいたま市西区 DCJロボット未来科学館]
シンディは仰向けになって倒れている。
電源が切れたのか、固く目を閉じて動かない。
アルエットが乗ったバージョン400も大損傷して、アルエットがコクピットから投げ出された。
アルエット:「うう……!お姉ちゃん……!」
這いずって出て来たアルエットをデイジーは掴み上げると、バシッと平手打ちした。
デイジー:「これで分かったでしょ、おチビちゃん?旧型のポンコツと、いくら新型とはいえヒヨッ子のあなたとは実力差があるんだってこと」
ジョオオオ……!
デイジー:「あらあら、おもらししちゃって。水素燃料も、変に水が溜まるから大変なのよね」
エミリーらオリジナルがバッテリー駆動なのに対し、アルエットは水素を用いた燃料電池駆動である。
廃水が発生するのが玉にキズで、アンドロイドでありながらトイレに行くのはこの廃水を排水する為。
デイジー:「さあ、壊してあげる。あの3号機と同様、8号機も永久欠番になるのよ」
デイジーは倒れているアルエットの頭を踏みつけようとした。
デイジー:「!?」
その時、デイジーのすぐ近くにRデコイが落ちた。
普通のロボットなら引っ掛かって吸い寄せられるところだが、ロイドくらいになるとそんなことはない。
デイジーは、それを蹴飛ばした。
遠くでデコイが爆発する。
デイジー:「はっ!?」
しかし直後、デイジーは羽交い絞めにされた。
デイジー:「い、いつの間に!?」
レイチェル:「初めまして。自称、新型の妹ちゃん。そして……さようなら」
デイジー:「!!!」
デイジーは抵抗する間もなく、頭部に大型ナイフを突き立てられ、貫通した。
大型ナイフは旧型マルチタイプの標準装備だとされる(シンディも持っていたが、紛失した)。
デイジー:「な……?」
そして、今度は頭部と首を引きちぎられた。
レイチェル:「新型のくせに脆いわね。それとも、新型だから、かしら?」
デイジーは首から火花を散らして倒れた。
敷島:「待て、レイチェル!頭部を破壊するのは中のメモリーを抜き取ってからだ!」
レイチェル:「分かってますよ」
シンディとアルエットが苦戦したデイジー戦。
レイチェルは意図も簡単に倒してしまった。
レイチェル:「私はロイドやロボットのセンサーの隙を突いて、背後に回るのが得意なのです。それに際しましては、他のどの兄姉にも負けませんでしたわ」
確かにレプリカの時でさえも、レイチェルは物の見事にシンディの背後を取ったことがあった。
ましてやデイジーは本来、マルチタイプの劣化版。
如何に違法強化改造をされたとはいえ、センサーにまでは手が加わっていなかったようである。
停電で薄暗くなった事務所内。
両目がオレンジ色に光り、体の所々からもランプが漏れ光るマルチタイプ。
敷島達の前に現れたのは……。
敷島:「れ、レイチェル!?」
レイチェル:「はい」
敷島:「お、お前、どうしてここに!?お、おまっ……シンディに大破されて、アルエットに止め刺されたはずだろ!?」
レイチェル:「それは……」
その時、エミリーが走って来た。
エミリー:「レイチェル!?」
レイチェル:「お久しぶりですわ、お姉様?」
エミリー:「ど、どういうこと!?」
敷島:「誰の命令でここに来た!?デイジーの仲間か!?」
レイチェル:「デイジー?誰ですか、それ?……ああ、誰の命令か、ですね。DCJ成田営業所の鳥柴主任です」
敷島:「は!?」
そこへ鳥柴も走って来た。
鳥柴:「はぁ、はあ……。え、エレベーターが動いてないんですね?!」
敷島:「鳥柴主任、こりゃ一体どういうことだ!?」
鳥柴:「メールで送ったじゃありませんか。『アメリカのルイジアナ州で、ドクター・ウィリーの秘密研究所を発見しました。そこに、驚くべきものが保管されていたので、日本へ移送されます』って」
敷島:「それがこいつか!?」
鳥柴:「そうです」
敷島:「??? 意味が分からんぞ。どういうことだ?」
鳥柴:「今のシンディが、予備用に保管されていた後期タイプだということは御存知ですよね?」
敷島:「ああ。廃墟のホテルから俺と平賀先生で運び出した。平賀先生は廃棄処分を望んでいたんだがな、俺とエミリーで泣きついて阻止したよ」
エミリー:「……はい」
いや、泣きついたのはエミリーであって、敷島はただ単にエミリーの肩を持っただけだ。
鳥柴:「レイチェルもそうです」
敷島:「ええっ!?」
レイチェル:「私にとっては『初めまして』なのですが、社長やお姉様にとっては、『久しぶり』なのですね。マルチタイプ7号機、レイチェル・セブンスです。よろしくお願いします」
敷島:( ゚д゚)ポカーン
鳥柴:「但し、シンディと違って前期型やレプリカのデータは引き継いでおりません」
敷島:「レプリカか!?KR団のは!」
レイチェル:「私のレプリカが多大なる御迷惑をお掛けしたということで、大変申し訳ございませんでした」
レイチェルは深々と頭を下げた。
敷島:「つまり、後期型とはいえ、オリジナルってことなんだな?」
レイチェル:「はい、そうです」
敷島:「そうか……」
鳥柴:「失礼ですが、敷島社長。私がここに参ったのは、レイチェルの紹介だけではありません」
敷島:「そうだな。黒いロボットがまだいた!」
鳥柴:「いえ、それを一斉に止める方法があります」
敷島:「何だそれは?」
鳥柴:「デイジーです。デイジーを壊せば、黒いロボット達は一斉に停止すると見込まれています」
敷島:「デイジーはどこだ!?」
鳥柴:「科学館です!科学館で只今、シンディやアルエットと交戦中です!但し、シンディが苦戦しています!」
エミリー:「あいつ、何やってるんだ!不出来で妹で申し訳ありません!」
敷島:「しょうがない。シンディは遠距離攻撃型で、お前のように近接攻撃は不得意なんだから。とにかく、現地へ向かおう!」
鳥柴:「屋上にヘリコプターを駐機させていますので、それで行きましょう」
敷島:「さすがはDCJだ」
敷島はすぐに屋上へ向かおうとしたが……。
巡音ルカ:「社長、私達を置いて行かれる気ですか?」
敷島:「あ……」
初音ミク:「まだ、あの黒いロボットは襲って来るんですよね?」
敷島:「それもそうだな……」
レイチェル:「私にお任せください。初陣、見事に勝利で飾ってみせましょう。お姉様は見ていてください」
するとエミリーは不審そうな顔をした。
エミリー:「相手は私達より新型で、且つ不正改造されたマルチタイプだ。シンディも苦戦にさせるくらいの」
レイチェル:「はい、頑張ります」
敷島:「俺も行こう。レイチェルと鳥柴主任だけじゃ、シンディが信用しそうにない」
レイチェル:「3号機のお姉様、1度疑い出すとキリが無かったでしたね」
エミリー:「まあ……な」
敷島達は屋上への階段に向かった。
ミク:「エミリーさんが、ここに残っていてくれて良かったです」
ルカ:「エミリー、今のマルチタイプは本当にエミリーの妹さんなの?あまり似てない気が……」
エミリー:「識別信号的にも間違いない。あいつはレイチェル・セブンス。私達、マルチタイプ7機のうち、1番最後に造られた7号機の末妹だ」
鏡音リン:「それじゃ、強いんだね!」
エミリー:「強い……とても……色んな意味で……」
[同日14:00.天候:雨 埼玉県さいたま市西区 DCJロボット未来科学館]
シンディは仰向けになって倒れている。
電源が切れたのか、固く目を閉じて動かない。
アルエットが乗ったバージョン400も大損傷して、アルエットがコクピットから投げ出された。
アルエット:「うう……!お姉ちゃん……!」
這いずって出て来たアルエットをデイジーは掴み上げると、バシッと平手打ちした。
デイジー:「これで分かったでしょ、おチビちゃん?旧型のポンコツと、いくら新型とはいえヒヨッ子のあなたとは実力差があるんだってこと」
ジョオオオ……!
デイジー:「あらあら、おもらししちゃって。水素燃料も、変に水が溜まるから大変なのよね」
エミリーらオリジナルがバッテリー駆動なのに対し、アルエットは水素を用いた燃料電池駆動である。
廃水が発生するのが玉にキズで、アンドロイドでありながらトイレに行くのはこの廃水を排水する為。
デイジー:「さあ、壊してあげる。あの3号機と同様、8号機も永久欠番になるのよ」
デイジーは倒れているアルエットの頭を踏みつけようとした。
デイジー:「!?」
その時、デイジーのすぐ近くにRデコイが落ちた。
普通のロボットなら引っ掛かって吸い寄せられるところだが、ロイドくらいになるとそんなことはない。
デイジーは、それを蹴飛ばした。
遠くでデコイが爆発する。
デイジー:「はっ!?」
しかし直後、デイジーは羽交い絞めにされた。
デイジー:「い、いつの間に!?」
レイチェル:「初めまして。自称、新型の妹ちゃん。そして……さようなら」
デイジー:「!!!」
デイジーは抵抗する間もなく、頭部に大型ナイフを突き立てられ、貫通した。
大型ナイフは旧型マルチタイプの標準装備だとされる(シンディも持っていたが、紛失した)。
デイジー:「な……?」
そして、今度は頭部と首を引きちぎられた。
レイチェル:「新型のくせに脆いわね。それとも、新型だから、かしら?」
デイジーは首から火花を散らして倒れた。
敷島:「待て、レイチェル!頭部を破壊するのは中のメモリーを抜き取ってからだ!」
レイチェル:「分かってますよ」
シンディとアルエットが苦戦したデイジー戦。
レイチェルは意図も簡単に倒してしまった。
レイチェル:「私はロイドやロボットのセンサーの隙を突いて、背後に回るのが得意なのです。それに際しましては、他のどの兄姉にも負けませんでしたわ」
確かにレプリカの時でさえも、レイチェルは物の見事にシンディの背後を取ったことがあった。
ましてやデイジーは本来、マルチタイプの劣化版。
如何に違法強化改造をされたとはいえ、センサーにまでは手が加わっていなかったようである。