報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「脱出!そして……」

2018-07-21 20:13:08 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月10日03:00.天候:晴 宮城県仙台市太白区郊外 廃校舎]

 エレベーターで地上に出ると、そこは廃校裏手の山の中にある掘っ立て小屋の中だった。
 なるほど。掘っ立て小屋を装い、エレベーターホールを作ったというわけか。
 だが、エレベーターのドアが開くのと、掘っ立て小屋のドアが開くのは同時だった。
 そして、そこからなだれ込んで来たのは……特殊部隊の恰好をした男達だった。
 くすんだ緑色の軍服を着ており、頭にはフルフェイスのヘルメットを被っている為に顔は分からない。
 しかし、手には軍用のショットガンやマシンガンなどを手にしていた。

 隊員A:「BSAAだ!手を挙げろ!」
 隊員B:「抵抗すると撃つぞ!」
 隊員C:「銃を捨てて両手を頭の後ろに回せ!早くしろ!」

 BSAAだって!?
 既に国連組織が嗅ぎ付けていたのか!
 もちろん、私達は抵抗しなかった。
 さすがの高橋君も、軍人相手には叶わぬと見たか、ハンドガンを捨てて両手を挙げた。

 愛原:「やめろ、撃つな!俺達はBSAAの敵じゃない!一般人だ!」
 隊員A:「嘘を付くな!一般人が拳銃など持ってるわけが無いだろう!」

 う……そりゃそうだ。
 マズいな。何て言い訳しよう?
 不利な事に、ここにはヘタすりゃ本当にBSAAから100パー敵扱いされるリサまでいる。

 愛原:「話しても信じてもらえるかどうか分からないが……」
 隊員A:「話は向こうで聞かせてもらう。早くこっちへ……」

 と、隊員Aか言った時だった。
 突然、廃校の方から大きな爆発音が聞こえて来た。

〔「HQからαチームとβチームへ緊急連絡!廃校地下の研究施設より、大型クリーチャーが暴走したもよう!直ちに本部へ帰隊せよ!繰り返す!……」〕

 HQとは作戦司令部のことだったか。
 そこから入った緊急連絡って……。

 隊員A:「アルファチームよりHQへ。研究施設へ向かうと思われるエレベーターより、不審人物3名を確保した。一般人を主張しているが、尋問の必要あり。指示を持つ」
 HQ:「こちらHQ。大型クリーチャーにより、βチームが苦戦している。現在、応援部隊を派遣中である。1度本部へ帰隊し、不審人物の連行を優先とする」
 隊員A:「了解!……というわけだ。ここから化け物が出て来るかもしれない。早くこっちへ」
 愛原:「はいはい。銃をどうしましょう?」
 隊員B:「証拠品だから、こちらで預かろう」

 私と高橋のハンドガンはBSAA隊員に没収されてしまった。
 そして、私達は真っ暗な山道を下ることになった。
 山道と言っても、そこは学校の裏山。
 少し下るだけで、もう校舎が見えて来る。
 それにしても、だいぶ明るい。
 さすが国連軍の一組織がやってくるだけのことはある。
 こういう場合、自衛隊も動くのか?いや、それよりも在日米軍か?

 愛原:「あっ!?」

 明るい理由が分かった。
 木造校舎が燃え上がっているのだ。

 隊長:「お前達、早く戻って来い!」
 隊員A:「隊長!」

 どうやらαチームという分隊は、更に分散して山狩りでもしていたらしい。

 隊長:「あなた達がアンブレラの研究施設から来たという人達か?」
 愛原:「そうです。でも私達は、アンブレラの人間じゃありません」
 隊長:「そりゃあそうだろう。もう製薬会社としてのアンブレラはとっくに潰れているのだから。とにかく、話は司令部で聞こう。ヘリに乗りなさい」
 愛原:「は、はい!」
 高橋:「先生、あれを!」

 燃え盛る校舎を更に崩して暴れ回る化け物がいた。

 リサ:「4番!あんなになっちゃって……」
 高橋:「何だよ!?死んでなかったのかよ!?」
 愛原:「ガスボンベ爆発させても尚あれか……」
 隊長:「何だって!?ガスボンベを爆発させた!?」
 高橋:「そうだよ!そうでもしなきゃ、俺達は殺されるところだったんだ!何か文句あっか!」
 愛原:「まあまあ、高橋君……」
 隊長:「研究施設が火災を起こしたのは、ガス爆発が原因なんだそうだが……」
 愛原:「高橋君!キミ、放火の現行犯で逮捕されるぞ!?」
 高橋:「こう見えても少年鑑別所、少年院、少年刑務所を経験してますのでね、今度は普通の刑務所に入ってコンプリートしてやりますよ」

 実際いるのか?
 日本の監獄施設全部コンプリートしたヤツって?

 隊長:「まあまあ。キミの言う通り、クリーチャーに襲われたが為、仕方なくそうしたというのなら正当防衛になるよ」

 私達がBSAAと書かれたヘリコプターに乗り込むと同時に、他のヘリが何機もやってきた。

 高橋:「上空から攻撃する気か!?」

 高橋君が、その応援部隊のヘリに機銃が付いているのを目ざとく見つけた。

 隊長:「その通り。何しろあんな大型のクリーチャー、地上から銃をバンバン撃っても不利なだけだからな」
 愛原:「なるほど……」

 私達を乗せたヘリが離陸した。
 その時、リサが何か言った。
 ヘリの中は暗いが、リサの目が玉虫色に光った。

 リサ:「さようなら。おバカさん」

 リサはかつて仲間だった大型クリーチャーに、侮蔑の眼差しを向けた。
 リサもヘタすりゃ、あんな姿になるのだろうか?
 ……なるんだろうなァ。
 玉虫色に光った目が、また元の茶色の目に戻る。

 隊長:「その子は何者だ?」

 隊長さんが後ろを振り向いた。

 愛原:「これも長くなるので、後で説明します。あえて説明するならば、霧生市で私達が保護したコです」
 隊長:「霧生市だって!?」
 隊員A:「日本初のバイオハザード発生地帯ですね。BSAA極東支部設立後、日本地区本部が作られるきっかけとなった事件です」
 高橋:「支部なのか?本部なのか?どっちだ」
 愛原:「高橋君、地区本部ってのはブロックみたいなものだよ」

 それにしても、私達は無力だ。
 横にいるリサが本気を出せば、先ほどのハンドガンだけでは太刀打ちできない。
 ましてや、彼女の仲間だった者がああやって大型のクリーチャーに変化したとあれば……。

 愛原:「どうせ調べるでしょうから、今から白状しておきますが、彼女は霧生市のアンブレラ研究所で研究されていた『リサ・トレヴァー』です。その後、日本政府に保護されていました」
 隊長:「そうなのか!?……分かった。すぐに確認しよう」
 愛原:「リサ、大丈夫だよね?」
 リサ:「ええ。私はちゃんと正式に研究所を出たんだから」

 そうか、良かった。
 脱走じゃなくて……。
 ヘリコプターは東京方面ではなく、何故か市街地に向かって飛んだ。
 一体、どこへ連れて行かれるのだろう?
コメント (1)
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