[8月23日12:51.天候:曇 宮城県大崎市 JR古川駅]
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく、古川です。陸羽東線は、お乗り換えです。お降りの際はお忘れ物の無いよう、お支度ください。古川の次は、くりこま高原に止まります〕
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
私達を乗せた東北新幹線“やまびこ”47号は、定刻通りに古川駅に接近した。
仙台駅の次の駅で、ここで乗り換えることになる。
〔「まもなく古川、古川です。11番線に到着致します。お出口は、左側です。古川からのお乗り換えをご案内致します。“奥の細道湯けむりライン”陸羽東線下り、普通列車の鳴子温泉行きは、2番線から13時58分の発車です。上り、普通列車の小牛田(こごた)行きは、1番線から13時15分の発車です」〕
愛原:「よし、ここで降りるぞ」
高橋:「はいっ!」
高野:「ていうか先生、乗り換え時間長くないですか?」
愛原:「高野君はお腹空いたかい?」
高野:「ええ、まあ、お昼時ですし……」
愛原:「昼食時間も込みでの乗り換え時間だよ」
高野:「あ、そうなんですか」
高橋:「アネゴはよー、先生のよー、御心がよー、分かってねーのかよっ、あぁっ!?」
高野:「聞かないと分かんないじゃん。てか、今のケンショーブルーの物真似?」
高橋:「あぁっ?何だそれ?俺がしたのはサトー様の物真似だぜっ、あぁっ!?」
高野:「サトー様も新潟でその名字だから、在日朝鮮人疑惑が出てるんだよねぇ……」
列車はポイントを渡り、下り副線ホームに入線した。
停車時間が1分しかない所を見ると、ここでの通過待ちは無いのだろう。
待避線があったら、ほぼ通過待ちを行う東海道新幹線の“こだま”号とは違うみたいだ。
〔「ご乗車ありがとうございました。古川、古川です。車内にお忘れ物の無いよう、お降りください。11番線の電車は……」〕
私達はここで列車を降りた。
リサ:「愛原先生、お腹空いたー」
斉藤:「もうお昼の時間ですわよ、先生?」
言葉遣いといい、そのワンピース型の高そうな服とベレー帽といい、正しく大富豪の御嬢様といった感じだ。
愛原:「ああ、分かってる」
私達は新幹線コンコースに下りると、一旦改札口の外に出た。
ここでは特急券だけが回収されて、乗車券だけが向こう側から出て来る。
愛原:「ここで斉藤さんには庶民の感覚を味わってもらいます。そしてリサには、初体験をしてもらう」
斉藤:「お父さんの意向ですから、それは構いませんわ。それに、リサさんと一緒なら……」
リサ:「おー!初体験!どんなの!?」
愛原:「あの店だ!」
私が指さしたのは立ち食いそば屋。
高野:「さすがは先生ですわね。いや、ホントこのチョイス、アレだわ……」
高橋:「先生の御心を拝するに……何だっけか?」
高野:「無理に顕正会員の物真似しなくていいのよ?」
私達は立ち食い蕎麦屋に入った。
ここの券売機で食券を買う。
高橋:「先生は何を?」
愛原:「俺は海老天そばかな?」
高橋:「俺も先生と同じので!」
斉藤:「リサさんは何にするの?」
リサ:「きつねうどん」
斉藤:「私も〜」
尚、1万円札とカードしか持っていないであろう斉藤さんだったが、ちゃんと1000円札を持っていた。
だがどうやらこれは、宇都宮駅でシンカンセンスゴイカタイアイスを買った時のお釣りらしい。
斉藤:「立ち食い蕎麦、大宮駅でよく見ましたけど、初めて利用します」
愛原:「あ、一応初見済みなんだ」
確かに大宮駅には、コンコースにもホームにもあるなぁ……。
新幹線しか利用していないというイメージのある斉藤さんだが、在来線の方も利用したことはあるらしい。
何故なら、大宮駅の立ち食い蕎麦は在来線にしか無いからだ。
お昼時だからか、店内には当然ながら私達以外の乗客もいた。
中には中学生とか小学生くらいのコまで。
小学校低学年らしき女の子はカウンターに背が届きそうに無いが、どうするのだろうか?
店員A:「お客さん、子供用の椅子、1つで大丈夫ですか?」
JCα:「あ、どーもー」
背の高い中学生らしき女の子が、小学生の女の子をヒョイと抱えて椅子に座らせた。
それより背の低いもう1人の女子中学生は、何やら腑に落ちないような顔をしている。
JCβ:「『1つで』ってさ、もしかして私のこと言ってない?」
JCα:「気のせいでしょ?」
JCβ:「いや、絶対私の方見てたし」
JCα:「ウチら荷物多いから、荷物置き用に椅子もう1個いる?って聞いたんじゃないの?別に要らないじゃん」
JCβ:「いや、だからさ、要らないの分かってて聞いたってことはさ……」
JCα:「しつこい」
店員B:「はい、お待ちどう様でした」
愛原:「どうも」
次々に私達の注文した蕎麦やうどんが出て来る。
尚、こっちのJC達は普通にカウンターに背が届く高さだ。
愛原:「停車時間はたっぷりあるから、ゆっくり食べよう。どうせ夕食は、ホテルで立派なものが出て来るからな」
高野:「それは楽しみですねぇ」
斉藤:「いただきます」
リサ:「いただきます」
高橋:「意外とうどんとか蕎麦とか、少年院や少年刑務所じゃ出て来ないんですよ」
愛原:「そうなのか?どうしてだ?」
高橋:「多分、すぐ伸びるからじゃないですかね。その証拠に、パスタやラーメンも出て来ませんでしたし」
愛原:「なるほどな」
高橋の矯正施設あるある話は、何気に聞いていて面白い所はある。
元受刑者の告白手記なんかよく出版されているが、それと同時に元刑務官の告白手記なんかも出版されている。
同じ事柄なのに、元受刑者の立場と元刑務官の立場で見たのとでは全く違う描写になっているのは面白かった。
さすがの高橋も死刑囚になったことは無いから、そっちの立場の描写は話せまい。
高野:「つゆが跳ねて他の受刑者に当たり、ケンカの元になるからって聞いたことがありますよ」
愛原:「なるほど!」
連れのJC達にはよく分からない話だろうが、幸いその2人の少女は自分達の話で盛り上がっていた。
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく、古川です。陸羽東線は、お乗り換えです。お降りの際はお忘れ物の無いよう、お支度ください。古川の次は、くりこま高原に止まります〕
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
私達を乗せた東北新幹線“やまびこ”47号は、定刻通りに古川駅に接近した。
仙台駅の次の駅で、ここで乗り換えることになる。
〔「まもなく古川、古川です。11番線に到着致します。お出口は、左側です。古川からのお乗り換えをご案内致します。“奥の細道湯けむりライン”陸羽東線下り、普通列車の鳴子温泉行きは、2番線から13時58分の発車です。上り、普通列車の小牛田(こごた)行きは、1番線から13時15分の発車です」〕
愛原:「よし、ここで降りるぞ」
高橋:「はいっ!」
高野:「ていうか先生、乗り換え時間長くないですか?」
愛原:「高野君はお腹空いたかい?」
高野:「ええ、まあ、お昼時ですし……」
愛原:「昼食時間も込みでの乗り換え時間だよ」
高野:「あ、そうなんですか」
高橋:「アネゴはよー、先生のよー、御心がよー、分かってねーのかよっ、あぁっ!?」
高野:「聞かないと分かんないじゃん。てか、今のケンショーブルーの物真似?」
高橋:「あぁっ?何だそれ?俺がしたのはサトー様の物真似だぜっ、あぁっ!?」
高野:「サトー様も新潟でその名字だから、在日朝鮮人疑惑が出てるんだよねぇ……」
列車はポイントを渡り、下り副線ホームに入線した。
停車時間が1分しかない所を見ると、ここでの通過待ちは無いのだろう。
待避線があったら、ほぼ通過待ちを行う東海道新幹線の“こだま”号とは違うみたいだ。
〔「ご乗車ありがとうございました。古川、古川です。車内にお忘れ物の無いよう、お降りください。11番線の電車は……」〕
私達はここで列車を降りた。
リサ:「愛原先生、お腹空いたー」
斉藤:「もうお昼の時間ですわよ、先生?」
言葉遣いといい、そのワンピース型の高そうな服とベレー帽といい、正しく大富豪の御嬢様といった感じだ。
愛原:「ああ、分かってる」
私達は新幹線コンコースに下りると、一旦改札口の外に出た。
ここでは特急券だけが回収されて、乗車券だけが向こう側から出て来る。
愛原:「ここで斉藤さんには庶民の感覚を味わってもらいます。そしてリサには、初体験をしてもらう」
斉藤:「お父さんの意向ですから、それは構いませんわ。それに、リサさんと一緒なら……」
リサ:「おー!初体験!どんなの!?」
愛原:「あの店だ!」
私が指さしたのは立ち食いそば屋。
高野:「さすがは先生ですわね。いや、ホントこのチョイス、アレだわ……」
高橋:「先生の御心を拝するに……何だっけか?」
高野:「無理に顕正会員の物真似しなくていいのよ?」
私達は立ち食い蕎麦屋に入った。
ここの券売機で食券を買う。
高橋:「先生は何を?」
愛原:「俺は海老天そばかな?」
高橋:「俺も先生と同じので!」
斉藤:「リサさんは何にするの?」
リサ:「きつねうどん」
斉藤:「私も〜」
尚、1万円札とカードしか持っていないであろう斉藤さんだったが、ちゃんと1000円札を持っていた。
だがどうやらこれは、宇都宮駅でシンカンセンスゴイカタイアイスを買った時のお釣りらしい。
斉藤:「立ち食い蕎麦、大宮駅でよく見ましたけど、初めて利用します」
愛原:「あ、一応初見済みなんだ」
確かに大宮駅には、コンコースにもホームにもあるなぁ……。
新幹線しか利用していないというイメージのある斉藤さんだが、在来線の方も利用したことはあるらしい。
何故なら、大宮駅の立ち食い蕎麦は在来線にしか無いからだ。
お昼時だからか、店内には当然ながら私達以外の乗客もいた。
中には中学生とか小学生くらいのコまで。
小学校低学年らしき女の子はカウンターに背が届きそうに無いが、どうするのだろうか?
店員A:「お客さん、子供用の椅子、1つで大丈夫ですか?」
JCα:「あ、どーもー」
背の高い中学生らしき女の子が、小学生の女の子をヒョイと抱えて椅子に座らせた。
それより背の低いもう1人の女子中学生は、何やら腑に落ちないような顔をしている。
JCβ:「『1つで』ってさ、もしかして私のこと言ってない?」
JCα:「気のせいでしょ?」
JCβ:「いや、絶対私の方見てたし」
JCα:「ウチら荷物多いから、荷物置き用に椅子もう1個いる?って聞いたんじゃないの?別に要らないじゃん」
JCβ:「いや、だからさ、要らないの分かってて聞いたってことはさ……」
JCα:「しつこい」
店員B:「はい、お待ちどう様でした」
愛原:「どうも」
次々に私達の注文した蕎麦やうどんが出て来る。
尚、こっちのJC達は普通にカウンターに背が届く高さだ。
愛原:「停車時間はたっぷりあるから、ゆっくり食べよう。どうせ夕食は、ホテルで立派なものが出て来るからな」
高野:「それは楽しみですねぇ」
斉藤:「いただきます」
リサ:「いただきます」
高橋:「意外とうどんとか蕎麦とか、少年院や少年刑務所じゃ出て来ないんですよ」
愛原:「そうなのか?どうしてだ?」
高橋:「多分、すぐ伸びるからじゃないですかね。その証拠に、パスタやラーメンも出て来ませんでしたし」
愛原:「なるほどな」
高橋の矯正施設あるある話は、何気に聞いていて面白い所はある。
元受刑者の告白手記なんかよく出版されているが、それと同時に元刑務官の告白手記なんかも出版されている。
同じ事柄なのに、元受刑者の立場と元刑務官の立場で見たのとでは全く違う描写になっているのは面白かった。
さすがの高橋も死刑囚になったことは無いから、そっちの立場の描写は話せまい。
高野:「つゆが跳ねて他の受刑者に当たり、ケンカの元になるからって聞いたことがありますよ」
愛原:「なるほど!」
連れのJC達にはよく分からない話だろうが、幸いその2人の少女は自分達の話で盛り上がっていた。