[8月23日14:41.天候:曇 宮城県大崎市 JR鳴子温泉駅]
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
今日は大日本製薬(愛称ダイニチ。ロゴマークは大日如来を象ったもの)の経営者、斉藤秀樹社長から娘さんのお守りを頼まれ、鳴子温泉までやってきた。
そういえばこの製薬会社の温泉の素も大人気だが、その中に『鳴子の湯』なんてのもあったなぁ……。
〔まもなく終点、鳴子温泉、鳴子温泉に到着致します。鳴子温泉駅では、全ての車両のドアが開きます。お近くのドアボタンを押して、お降りください。【中略】今日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕
ワンマン運転用の自動放送が車内に流れると、車内の客層の半分以上を占める観光客達が降りる仕度をし始めた。
この路線で運転されているという臨時快速は完全に観光客向けの列車である為、こういう定期列車は地元客用なのだろうと思いきや、それらしい乗客は散見されるに留まる。
隣を通る国道47号線では車がバンバン走っていることから、この辺りも地元の人間は列車には乗らず、車で移動するのだろう。
従ってこの路線も(鳴子温泉駅より西はどうだか知らないが)観光路線にカテゴライズされると思われる。
幸いにもこの鳴子温泉は温泉通の中でもメジャーな所だから、ある程度の観光客は見込まれているようだ。
通勤路線でも観光路線でもウハウハの小田急電鉄と東武鉄道は良い商売だと思う。
斉藤:「それにしても、凄い臭い……」
愛原:「硫黄の臭いだよ。鳴子温泉には色々な成分の温泉があるが、第一にはやはり硫黄泉だからね」
慣れるまでは少し大変かな。
これぞ温泉という匂いではあるのだが。
列車はゆっくりと鳴子温泉駅の1番線に入線した。
〔「ご乗車ありがとうございました。鳴子温泉、鳴子温泉、終点です。お忘れ物、落し物の無いよう、ご注意ください。中山平温泉、赤倉温泉、瀬見温泉方面、普通列車の新庄行きをご利用のお客様は、3番線から15時ちょうどの発車です」〕
私達は運転席後ろのドアから列車を降りた。
駅員:「はい、ありがとうございましたー」
改札口は自動ではなく、1つだけのブースに駅員が立ってキップを回収していた。
尚、こういう駅でもSuicaは使えるようで、出入口に読取機が設置されていた。
途中の無人駅であっても、こういうSuicaの読取機だけは設置されているという所もあるらしい。
駅から外に出る。
そろそろ周辺のホテルや旅館ではチェックインの時間だからか、駅前にはタクシーだけでなく、それぞれのホテルや旅館の送迎車が待っていた。
斉藤:「愛原先生、ここからどうするんですか?」
愛原:「歩いて行くよ。もうホテルはすぐ目の前だから」
私はこれから宿泊するホテルを指さした。
それは山の斜面に沿うように建っており、駅前から徒歩でアクセスしようとすると、少々キツい坂を登らなくてはならない。
しかし、部屋からの眺めは抜群であろう。
愛原:「チェックインは15時だから、少し早い。先に足湯でも入って行くか」
高橋:「おっ、いいっスねぇ!」
高野:「でも、タオルが必要ですよね?タオルを持って来てませんよ?」
愛原:「おっと!俺としたことが!」
高野:「……という観光客の為に、近くの土産物屋さんでタオルとか売ってたりするんですよねぇ……」
愛原:「それだ!どうせフェイスタオルなんて安いものだろう。それを買ってこよう!」
というわけで、私達は近くの土産物屋に入って行った。
愛原:「んー、これこれ。シンプルに『鳴子温泉』と入っているだけで安上がりなんだよなぁ」
とはいうものの、JC達はもっとかわいいデザインの入ったタオルを所望したが。
ま、これくらいの出費はどうでもいいか。
早速タオルを持参して、駅前の足湯に向かう。
高橋:「デヘヘ……!せ、先生の水虫が俺の足を侵食するぅ〜!」
愛原:「人聞きの悪いこと言うな!ってか、俺は水虫じゃねぇ!読者が誤解するだろうが!」
高野:「硫黄泉は水虫にも効きますから、水虫の人が入ったところで、お湯の中で感染はしないと思いますよ」
高橋:「リサのウィルスも殲滅できるのか?」
リサ:「望むところ。私のウィルス、侵食させる」
高野:「大騒ぎになるからやめなさい」
リサ:「はーい……」
いや、でも最近のバイオテロ組織はウィルスではなく、新種のカビを使うことがブームになっているそうだ。
カビキラーでも倒せるのかな?
そもそも水虫菌だってカビの一種なわけだから、こういう硫黄泉に効くわけだが、カビのBOWには効くのだろうか?
愛原:「足湯を楽しんでからホテルに行くのもオツなもんだろう。向こうに着いたら、本格的に温泉を楽しむぞ」
リサ:「愛原さん、ゲームコーナーある?」
愛原:「あるらしいぞ」
リサ:「おー!またサイトーとエアホッケーやるー!」
斉藤:「も、もえへへへ!モチロンよ!」
高橋:「何でそこで悶絶するんだよ、あぁ?」
愛原:「あれ?高橋は俺とはやりたくないの?」
高橋:「地獄の果てまでも、お供致します!」
愛原:「だから何で地獄に堕ちる前提なんだよ?」
足湯を楽しんだ私達は足をタオルで拭くと、今度は宿泊先のホテルへと向かった。
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
今日は大日本製薬(愛称ダイニチ。ロゴマークは大日如来を象ったもの)の経営者、斉藤秀樹社長から娘さんのお守りを頼まれ、鳴子温泉までやってきた。
そういえばこの製薬会社の温泉の素も大人気だが、その中に『鳴子の湯』なんてのもあったなぁ……。
〔まもなく終点、鳴子温泉、鳴子温泉に到着致します。鳴子温泉駅では、全ての車両のドアが開きます。お近くのドアボタンを押して、お降りください。【中略】今日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕
ワンマン運転用の自動放送が車内に流れると、車内の客層の半分以上を占める観光客達が降りる仕度をし始めた。
この路線で運転されているという臨時快速は完全に観光客向けの列車である為、こういう定期列車は地元客用なのだろうと思いきや、それらしい乗客は散見されるに留まる。
隣を通る国道47号線では車がバンバン走っていることから、この辺りも地元の人間は列車には乗らず、車で移動するのだろう。
従ってこの路線も(鳴子温泉駅より西はどうだか知らないが)観光路線にカテゴライズされると思われる。
幸いにもこの鳴子温泉は温泉通の中でもメジャーな所だから、ある程度の観光客は見込まれているようだ。
通勤路線でも観光路線でもウハウハの小田急電鉄と東武鉄道は良い商売だと思う。
斉藤:「それにしても、凄い臭い……」
愛原:「硫黄の臭いだよ。鳴子温泉には色々な成分の温泉があるが、第一にはやはり硫黄泉だからね」
慣れるまでは少し大変かな。
これぞ温泉という匂いではあるのだが。
列車はゆっくりと鳴子温泉駅の1番線に入線した。
〔「ご乗車ありがとうございました。鳴子温泉、鳴子温泉、終点です。お忘れ物、落し物の無いよう、ご注意ください。中山平温泉、赤倉温泉、瀬見温泉方面、普通列車の新庄行きをご利用のお客様は、3番線から15時ちょうどの発車です」〕
私達は運転席後ろのドアから列車を降りた。
駅員:「はい、ありがとうございましたー」
改札口は自動ではなく、1つだけのブースに駅員が立ってキップを回収していた。
尚、こういう駅でもSuicaは使えるようで、出入口に読取機が設置されていた。
途中の無人駅であっても、こういうSuicaの読取機だけは設置されているという所もあるらしい。
駅から外に出る。
そろそろ周辺のホテルや旅館ではチェックインの時間だからか、駅前にはタクシーだけでなく、それぞれのホテルや旅館の送迎車が待っていた。
斉藤:「愛原先生、ここからどうするんですか?」
愛原:「歩いて行くよ。もうホテルはすぐ目の前だから」
私はこれから宿泊するホテルを指さした。
それは山の斜面に沿うように建っており、駅前から徒歩でアクセスしようとすると、少々キツい坂を登らなくてはならない。
しかし、部屋からの眺めは抜群であろう。
愛原:「チェックインは15時だから、少し早い。先に足湯でも入って行くか」
高橋:「おっ、いいっスねぇ!」
高野:「でも、タオルが必要ですよね?タオルを持って来てませんよ?」
愛原:「おっと!俺としたことが!」
高野:「……という観光客の為に、近くの土産物屋さんでタオルとか売ってたりするんですよねぇ……」
愛原:「それだ!どうせフェイスタオルなんて安いものだろう。それを買ってこよう!」
というわけで、私達は近くの土産物屋に入って行った。
愛原:「んー、これこれ。シンプルに『鳴子温泉』と入っているだけで安上がりなんだよなぁ」
とはいうものの、JC達はもっとかわいいデザインの入ったタオルを所望したが。
ま、これくらいの出費はどうでもいいか。
早速タオルを持参して、駅前の足湯に向かう。
高橋:「デヘヘ……!せ、先生の水虫が俺の足を侵食するぅ〜!」
愛原:「人聞きの悪いこと言うな!ってか、俺は水虫じゃねぇ!読者が誤解するだろうが!」
高野:「硫黄泉は水虫にも効きますから、水虫の人が入ったところで、お湯の中で感染はしないと思いますよ」
高橋:「リサのウィルスも殲滅できるのか?」
リサ:「望むところ。私のウィルス、侵食させる」
高野:「大騒ぎになるからやめなさい」
リサ:「はーい……」
いや、でも最近のバイオテロ組織はウィルスではなく、新種のカビを使うことがブームになっているそうだ。
カビキラーでも倒せるのかな?
そもそも水虫菌だってカビの一種なわけだから、こういう硫黄泉に効くわけだが、カビのBOWには効くのだろうか?
愛原:「足湯を楽しんでからホテルに行くのもオツなもんだろう。向こうに着いたら、本格的に温泉を楽しむぞ」
リサ:「愛原さん、ゲームコーナーある?」
愛原:「あるらしいぞ」
リサ:「おー!またサイトーとエアホッケーやるー!」
斉藤:「も、もえへへへ!モチロンよ!」
高橋:「何でそこで悶絶するんだよ、あぁ?」
愛原:「あれ?高橋は俺とはやりたくないの?」
高橋:「地獄の果てまでも、お供致します!」
愛原:「だから何で地獄に堕ちる前提なんだよ?」
足湯を楽しんだ私達は足をタオルで拭くと、今度は宿泊先のホテルへと向かった。