[8月4日12:03.天候:晴 東京都豊島区 JR池袋駅・埼京線ホーム]
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の4番線の電車は、12時3分発、各駅停車、大宮行きです。次は、板橋に止まります〕
稲生:「鈴木君と別れたら、今度は藤谷班長に捕まってしまいました」
マリア:「遠巻きに、私も入信しろみたいな話に持って行こうとしていたけれど、そうはいかないから」
稲生:「すいませんねぇ。うちの支部も、誓願未達成泥沼の19連敗中なもので、さすがにそろそろ講中解散処分でも来るかなぁってところなんですよ。御住職も何回入れ替わったことやら……」
マリア:「大変みたいだけど、私は悪魔と契約中だから」
稲生:「ええ。そうですよね」
〔まもなく4番線に、各駅停車、大宮行きが参ります。危ないですから、黄色いブロックまでお下がりください。次は、板橋に止まります〕
接近放送の後でやってきた電車は、りんかい線の車両だった。
稲生:「70-000形か。久しぶりに乗るなぁ……」
〔いけぶくろ〜、池袋〜。ご乗車、ありがとうございます〕
『平成のモハ63系』と呼ばれたJR209系だが、それをちゃんと造るとこうなるというのが東京臨海高速鉄道の70-000形である。
それでも座席は硬い。
1番後ろの車両は空いていて、2人はブルーの座席に腰掛けた。
りんかい線という名前に相応しく、車体の塗装や座席の色柄などは東京湾をイメージしているという。
実際にりんかい線は、東京湾の下に掘った海底トンネルを走る。
海底トンネルというと青函トンネルなどの御大層な代物をイメージしそうなものだが、実は東京では珍しくない。
〔「12時3分発、埼京線各駅停車、大宮行きです。まもなく発車致します」〕
ホームからシンプルな発車メロディ(曲名:『高原』)が流れて来る。
〔4番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車をご利用ください〕
JRの車両と同じく、2点チャイムが3回鳴ってドアが閉まる。
乗降客の多い駅では珍しく、駆け込み乗車による再開閉は無かった。
VVVFインバータも昔は『電車が歌っている』と言われるほどの独特の響きようだったが、今では随分と静かなものに変更された。
トンネル区間では『幽霊電車の泣き声』と称されるほどの響き方で、元々90年代はオカルトブームであったが、新型電車であっても鉄道を舞台としたホラーに出て来るほどだった。
そしてオカルトブームの牽引役だった新興宗教団体が悉く潰れていき、オカルトブームは今は昔の話になっている。
〔「ご乗車ありがとうございます。この電車は埼京線、各駅停車の大宮行きです。途中、武蔵浦和で快速電車の待ち合わせがございます。次は板橋、板橋です」〕
JRの車両には自動放送があるが、りんかい線の車両には無い。
マリア:「ランチはどうする?食べないで来ちゃったけど……」
稲生:「映画でも観ながら食べますか。ムービックスのポップコーンとか、結構いいボリュームだし」
マリア:「また新作の映画でもあるの?」
稲生:「それがあるんですよ」
マリア:「そりゃいい。映画観に行こう」
作者個人的には、オカルトブームの火付け役は創価学会だと思っている。
1991年に創価学会が破門になってから、オカルトブームが発生したような気がするのは気のせいだろうか。
強いて言えば昭和52年の辺りからとも言えるが、ブーム化したのはやはり90年代であろう。
信憑性の強いもの、明らかなインチキであるもの、玉石混淆のオカルト話が飛び交っていた90年代。
創価学会や日蓮正宗の関わっていたものだけが、信憑性の強いオカルトであったと作者は思っている。
それ以外は全てインチキ。
そして、正本堂の取り壊しと共に信憑性の強いオカルトは姿を消した。
あとはインチキでしかなかったオカルトだけが世間を飛び交い、瞬く間に2000年代に入ってからそのブームは終焉を迎えた。
そう考えるのは如何だろうか?
「あのオカルトブームは何だったのだろう?」
その答えを解くカギが、日蓮正宗と創価学会にあると考えると面白い。
顕正会はオカルトブームに乗ることなく信仰活動を続けたように見えるが、実はしっかり巻き込まれていたことに気づく。
それは【禁則事項です】。
[同日12:47.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 JR北与野駅→さいたま新都心]
〔「まもなく北与野、北与野。お出口は、右側です」〕
電車が各駅停車しか停車しない小さな駅のホームに滑り込む。
いくら後続の快速電車に接続するとはいっても、肝心の下車駅が各駅停車しか止まらないのであれば乗り換えても意味は無い。
〔きたよの、北与野。ご乗車、ありがとうございます〕
電車を降りると、殺人的な熱気が2人の魔道士を襲った。
マリア:「こりゃヒドいな。病気になってしまう」
稲生:「早いとこ新都心に移動しましょう。このままだと熱中症になりますね」
階段を下りて改札口を出る。
幸い、さいたま新都心駅とは高架歩道で繋がっている。
ジリジリと照りつく太陽が眩しいが、それと同時に比較的強い風も吹いていた。
ビル風かもしれないし、そうではないかもしれない。
後者の場合、この風がゲリラ豪雨フラグを立てることがある。
今の空はそれまでの梅雨空が嘘みたいに青空で、所々に雲が点在しているだけに過ぎない。
マリア:「どういう映画観るの?また軍人やエージェントが銃を撃ちまくるヤツ?」
稲生:「いえ。今回は趣向を変えて、ファンタジーもので行こうと思います」
マリア:「ファンタジーもの……。魔界で嫌と言うほど観ているが……」
稲生:「本当の『剣と魔法のファンタジー』ですよ。魔界王国アルカディアのファンタジーは、どらかというとFF(ファイナルファンタジー)の世界に近いですが、これから観るのはディズニーに近いかもしれません」
何しろアルカディア王国空軍には、飛空艇が存在しているということで、それだけでもう【お察しください】。
地上や地下には昭和時代の電車が走っている時点で、やはりファンタジーから少し離れてしまっているのだ。
マリア:「それは楽しみだ。早く行こう」
稲生:「ええ」
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の4番線の電車は、12時3分発、各駅停車、大宮行きです。次は、板橋に止まります〕
稲生:「鈴木君と別れたら、今度は藤谷班長に捕まってしまいました」
マリア:「遠巻きに、私も入信しろみたいな話に持って行こうとしていたけれど、そうはいかないから」
稲生:「すいませんねぇ。うちの支部も、誓願未達成泥沼の19連敗中なもので、さすがにそろそろ講中解散処分でも来るかなぁってところなんですよ。御住職も何回入れ替わったことやら……」
マリア:「大変みたいだけど、私は悪魔と契約中だから」
稲生:「ええ。そうですよね」
〔まもなく4番線に、各駅停車、大宮行きが参ります。危ないですから、黄色いブロックまでお下がりください。次は、板橋に止まります〕
接近放送の後でやってきた電車は、りんかい線の車両だった。
稲生:「70-000形か。久しぶりに乗るなぁ……」
〔いけぶくろ〜、池袋〜。ご乗車、ありがとうございます〕
『平成のモハ63系』と呼ばれたJR209系だが、それをちゃんと造るとこうなるというのが東京臨海高速鉄道の70-000形である。
それでも座席は硬い。
1番後ろの車両は空いていて、2人はブルーの座席に腰掛けた。
りんかい線という名前に相応しく、車体の塗装や座席の色柄などは東京湾をイメージしているという。
実際にりんかい線は、東京湾の下に掘った海底トンネルを走る。
海底トンネルというと青函トンネルなどの御大層な代物をイメージしそうなものだが、実は東京では珍しくない。
〔「12時3分発、埼京線各駅停車、大宮行きです。まもなく発車致します」〕
ホームからシンプルな発車メロディ(曲名:『高原』)が流れて来る。
〔4番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車をご利用ください〕
JRの車両と同じく、2点チャイムが3回鳴ってドアが閉まる。
乗降客の多い駅では珍しく、駆け込み乗車による再開閉は無かった。
VVVFインバータも昔は『電車が歌っている』と言われるほどの独特の響きようだったが、今では随分と静かなものに変更された。
トンネル区間では『幽霊電車の泣き声』と称されるほどの響き方で、元々90年代はオカルトブームであったが、新型電車であっても鉄道を舞台としたホラーに出て来るほどだった。
そしてオカルトブームの牽引役だった新興宗教団体が悉く潰れていき、オカルトブームは今は昔の話になっている。
〔「ご乗車ありがとうございます。この電車は埼京線、各駅停車の大宮行きです。途中、武蔵浦和で快速電車の待ち合わせがございます。次は板橋、板橋です」〕
JRの車両には自動放送があるが、りんかい線の車両には無い。
マリア:「ランチはどうする?食べないで来ちゃったけど……」
稲生:「映画でも観ながら食べますか。ムービックスのポップコーンとか、結構いいボリュームだし」
マリア:「また新作の映画でもあるの?」
稲生:「それがあるんですよ」
マリア:「そりゃいい。映画観に行こう」
作者個人的には、オカルトブームの火付け役は創価学会だと思っている。
1991年に創価学会が破門になってから、オカルトブームが発生したような気がするのは気のせいだろうか。
強いて言えば昭和52年の辺りからとも言えるが、ブーム化したのはやはり90年代であろう。
信憑性の強いもの、明らかなインチキであるもの、玉石混淆のオカルト話が飛び交っていた90年代。
創価学会や日蓮正宗の関わっていたものだけが、信憑性の強いオカルトであったと作者は思っている。
それ以外は全てインチキ。
そして、正本堂の取り壊しと共に信憑性の強いオカルトは姿を消した。
あとはインチキでしかなかったオカルトだけが世間を飛び交い、瞬く間に2000年代に入ってからそのブームは終焉を迎えた。
そう考えるのは如何だろうか?
「あのオカルトブームは何だったのだろう?」
その答えを解くカギが、日蓮正宗と創価学会にあると考えると面白い。
顕正会はオカルトブームに乗ることなく信仰活動を続けたように見えるが、実はしっかり巻き込まれていたことに気づく。
それは【禁則事項です】。
[同日12:47.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 JR北与野駅→さいたま新都心]
〔「まもなく北与野、北与野。お出口は、右側です」〕
電車が各駅停車しか停車しない小さな駅のホームに滑り込む。
いくら後続の快速電車に接続するとはいっても、肝心の下車駅が各駅停車しか止まらないのであれば乗り換えても意味は無い。
〔きたよの、北与野。ご乗車、ありがとうございます〕
電車を降りると、殺人的な熱気が2人の魔道士を襲った。
マリア:「こりゃヒドいな。病気になってしまう」
稲生:「早いとこ新都心に移動しましょう。このままだと熱中症になりますね」
階段を下りて改札口を出る。
幸い、さいたま新都心駅とは高架歩道で繋がっている。
ジリジリと照りつく太陽が眩しいが、それと同時に比較的強い風も吹いていた。
ビル風かもしれないし、そうではないかもしれない。
後者の場合、この風がゲリラ豪雨フラグを立てることがある。
今の空はそれまでの梅雨空が嘘みたいに青空で、所々に雲が点在しているだけに過ぎない。
マリア:「どういう映画観るの?また軍人やエージェントが銃を撃ちまくるヤツ?」
稲生:「いえ。今回は趣向を変えて、ファンタジーもので行こうと思います」
マリア:「ファンタジーもの……。魔界で嫌と言うほど観ているが……」
稲生:「本当の『剣と魔法のファンタジー』ですよ。魔界王国アルカディアのファンタジーは、どらかというとFF(ファイナルファンタジー)の世界に近いですが、これから観るのはディズニーに近いかもしれません」
何しろアルカディア王国空軍には、飛空艇が存在しているということで、それだけでもう【お察しください】。
地上や地下には昭和時代の電車が走っている時点で、やはりファンタジーから少し離れてしまっているのだ。
マリア:「それは楽しみだ。早く行こう」
稲生:「ええ」