報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「鬼怒川温泉での一夜」

2019-12-01 11:47:51 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[11月23日18:00.天候:雨 栃木県日光市鬼怒川温泉 あさやホテル宴会場]

 ※あさやホテルはその昔、顕正会の夏合宿で貸切にされたことがあるホテルですな。それだけではなく、その周辺のホテルも貸切状態にされた歴史があります。その後、これらのホテルに訪れた試練を考えると……謗法を信じざるを得ないものであります。

 稲生:「えー、皆様、本日は世界各地より来日して頂き、ありがとうございます。本日は『大師匠様を囲む会』の1日目、夕食はこのような宴会と相成りました。どうか皆様、心行くまでお楽しみくださいませ。それでは大師匠様より、御挨拶を賜ります」
 ダンテ:「うむ」

 稲生はダンテにマイクを渡した。

 ダンテ:「本日は皆の衆が多忙の中、日本に集まってもらって真にかたじけない限りである。皆も知っての通り、我々がこうして東京から北の山へ向かったのは、偏に例の教会の長もまた来日したことと連動しているわけであるが、その理由についてもう少し詳しく話したいと思う」

 つまり、こういうことだ。
 日本でもキリスト教過激派が露払いと称して、影で魔女狩りを横行させていること。
 日本ではまだ水面下レベルであるが、本当にキリスト教国ともなると、堂々と行われていること。
 そこから避難する為に、あえて教皇の来日に合わせてこちらも来日したこと。
 そして何より……。

 ダンテ:「我々がこうして魔法の力に頼らず、民衆と同じレベルのパーティーを開いているのは、悪魔の力が落ちているからである」
 稲生:「!?」

 確かによく見ると、時折モブキャラとして現れる悪魔の姿が今回は全く見受けられなかった。

 ダンテ:「これは教会の長を始め、ほぼ全ての神の信徒が悪魔祓いの儀式を行った影響によるものである。どうか皆の衆においては、魔法の行使は最低限に止め、教会の長が離日するまでは控えて頂きたい」
 稲生:(“魔の通力”とは言うけれど、やはり宗派によって違うんだな。キリスト教の“魔の通力”はダンテ門流魔法に悪影響を及ぼす。そして僕の日蓮大聖人の仏法は影響しない。だから日蓮正宗の信仰は禁止されなくて済んでいる)
 ダンテ:「何しろ、こんな山奥の観光地だ。過激な信者による攻撃は想定していないが、一応緊張していてくれ。一応な」
 稲生:(ただでさえ教皇が来日中だというのに、こんな有名な温泉地で宗教テロなんかやったら大変だ)
 ダンテ:「それではカタい話はここまでにして、早速宴会を楽しもうか」

 ダンテの音頭で乾杯すると、そこから早速宴会が始まった。

 エレーナ:「さすが稲生氏、浴衣の着こなしがいいな!」
 稲生:「そ、そうかな。威吹がお風呂上がりに着ていたのを真似しただけだよ」
 エレーナ:「私なんか緩すぎてオッパイが……」
 稲生:「ブッ!」
 ルーシー:「そういうのは酔っ払ってからにしなさい」

 ルーシーは急いでエレーナの胸元を締めた。

 エレーナ:「ちっ……」
 ルーシー:「あまりちょっかいを出すと、マリアンナが怒るから」
 エレーナ:「私からのせめてもの労いだぜ?」
 ルーシー:「だからそういうのは後にしなさいって」

 そういうルーシーはちゃんと浴衣を着こなしている。
 これ如何に?

 ルーシー:「え?ああ、私はいつも寝る時はバスローブだから……」
 マリア:「誰に言ってるんだ?……それより、これ美味しい」
 稲生:「山の幸ですね。船盛も出ますけど、それはマリアさんは苦手かな。刺身ですし」
 マリア:「刺身ねぇ……」

 船盛が後で出て来ると、特に初めて来日した魔女達は目を見張った。
 ルーシーもデジカメで写真を撮っている。

 マリア:「私はこっちの肉の方がいい」
 稲生:「陶板焼きですね」
 ルーシー:「でも何か脂が多くない?」
 稲生:「霜降り肉と言って、柔らかく焼けるんで、日本では喜ばれるんだけど……」
 ルーシー:「私は赤身肉の方が歯ごたえがあって好きだけどね」

 そこが肉食文化の違い。
 確かに欧米に行くと、精肉は赤身肉が多く、しかもブロック状態で売られている。
 日本のように脂肪が多く、既にスライスされている方が珍しいそうだ。
 その為、その手間が掛からない分も含めて欧米ではステーキ肉はもっと安い。
 因みにスライサーもスーパーでは安く売っているそうだ。

 稲生:「大師匠様、モテモテだなぁ。コンパニオン要らないじゃん」
 エレーナ:「殆どハーレムだな。稲生氏も“色欲の悪魔”と契約したら、ああなれるぜ?」
 稲生:「ええっ!?ぼ、僕はマリアさん一筋でぇ……」
 ルーシー:(でも、何か大師匠様やイリーナ先生はそれを画策されておれるような気がする……)

 ルーシーは他の魔女と違って、欲望の捌け口としての性暴力は受けていない(“悪魔祓い”と称して教会関係者に強制わいせつを受けたことはある)。
 だからそれほどのトラウマは無いのだが、だからこそルーシーは想像できた。
 マリアのレアケースを見て、恐らく結論がそこに行ったのではないかと。

 ルーシー:(稲生さんに『女の悦び』を教えることで、一気に魔女からの脱却を図る。その為に、“色欲の悪魔”アスモデウスと契約させる必要がある……)

 少し酔い始めて来たのか、顔を赤らめて稲生に寄り添うように座るマリアを見てルーシーは思った。

 ルーシー:(もしこのシナリオが当たっているなら、マリアンナを如何に説得させるかでしょうけど……)
 エレーナ:「おい、アンナ。二日酔いの薬、今なら2000でどうだ?」
 アンナ:「円?ドル?ユーロ?」
 エレーナ:「ドルだ」
 アンナ:「……このホテルで起きた本当にあった怖い話、始めるわね。お爺さんがステテコで現れた話……」
 エレーナ:「あー、分かった分かった!もう少し安くしてやる!」
 ルーシー:(もう少し先の話になるかな……)

 そこへイリーナがやってきた。

 イリーナ:「勇太君」
 稲生:「あ、はい。何でしょうか?」
 イリーナ:「ダンテ先生がね、二次会は早めに切り上げて部屋で休みたいんだって」
 稲生:「あ、そうなんですか」
 イリーナ:「何しろ長旅だからねぇ。先生もお疲れなんだよ」

 そういうイリーナの顔は何故か妖艶なものに満ちており、稲生がドキッとするほどだった。

 稲生:「わ、分かりました」
 イリーナ:「よろしく頼むわね。そこまでしてくれたら、勇太君もゆっくりしてていいから」
 稲生:「は、はい」

 イリーナはそう言うと、スッと立ち上がった。
 浴衣の隙間から高そうなランジェリーが一瞬覗いた。

 エレーナ:「ありゃ部屋で3次会、朝までコースだぜ。何がお疲れなんだか……」
 ルーシー:「おおかた、ポーリン先生からエリクサーとかもらってるんでしょうね」
 エレーナ:「あー、何かスーパーエリクサーとかだいぶ持ち込んでたような気がする……」
 稲生:「普通のエリクサーですらHPやらMPを全回復してくれるのに、それを超えるスーパーって!?」
 エレーナ:「【お察しください】だぜ」
 マリア:「お盛んなBBAだ……」
コメント
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