[11月24日04:00.天候:雨 栃木県日光市鬼怒川温泉 あさやホテル]
エレーナ:「ん……」
エレーナはふと目が覚めた。
どうやら自分の部屋で稲生を招いた細やかな二次会をやっていたら思いの外盛り上がってしまい、そのまま眠ってしまったようだ。
エレーナ:「……!」
エレーナが一瞬見たのは、稲生とマリアが2人連れ添って部屋から出て行くところ。
どうやらその物音で目が覚めたようだ。
エレーナ:「ほほー……」
面白いもんは是非とも見てみたいエレーナは、横でまだ寝ているルーシーを尻目に部屋を出て行った。
夜中と早朝の間くらいの時間帯ということもあって、廊下を歩く宿泊客や従業員達はいない。
同じく部屋で3次会をやっていたダンテ達も、さすがに静かになっただろうか。
さすがのエレーナも、そこまで確かめに行く気はしなかった。
エレーナ:(やっぱりそうだ)
エレーナは見た。
稲生がマリアの肩を抱きながら、自分の部屋に入って行く所を。
エレーナ:(こりゃあ、ガチのセッ○スだぜ!稲生氏やるなぁ!)
エレーナはそこまで見届けた後、早速自分の部屋に戻った。
そして自分の水晶球を取り出し、早速稲生達の部屋を映し出そうとした。
エレーナ:(録画してポーン・ハブ辺りに流してやっかw ああ?)
だが、パーン!という音がして水晶球が真っ二つに割れた。
エレーナ:「うおっ!?マリアンナのやろう、しっかり保険掛けてやがった……」
ルーシー:「んん……。何よぉ……?」
エレーナ:「おっ、お目覚めか?」
ルーシー:「あれ……?私は……?」
エレーナ:「稲生氏に危うくイタズラされるところだったぜw」
ルーシー:「ええっ!?」
エレーナ:「ウソぴょーんw」
ルーシー:「エレーナっ!」
エレーナ:「まあまあ。稲生氏は今、マリアンナを部屋に連れ込んで、これからお楽しみだぜ」
ルーシー:「……またウソを……」
エレーナ:「いや、こればっかりは本当だぜ。見ろよ。その模様をこれから中継してやろうかと思ったら、しっかりブロックされた」
ルーシーは真っ二つに砕けた水晶球を指さした。
ルーシー:「前に日本に来た時、稲生さんとマリアンナがキスしている所は見ちゃったけど……」
エレーナ:「ま、今はそういう関係だってことだぜ。まあ、どうせマリアンナは元から処女じゃねーし、稲生氏も使い道の無い貞操をマリアンナに使えてウィンウィンってところだろ。何ならルーシーが稲生氏に処女捧げてみるか?」
ルーシー:「さすがにそれはマズいでしょ。マリアンナに泥棒猫扱いされちゃう」
ルーシーは大きな欠伸をした。
ルーシー:「というか飲み過ぎた。エレーナ、二日酔いの薬ちょうだい」
エレーナ:「請求先は?」
ルーシー:「ベイカー先生にして。どうせベイカー先生も二日酔いの薬欲しがるだろうし」
エレーナ:「毎度ありー」
ルーシー:「それにしても、マリアンナがねぇ……」
エレーナ:「皆びっくりしてるぜ。ま、そりゃそうだな。こりゃますます稲生氏がアスモデウスと契約したら、空恐ろしいことになるかもな」
アスモデウスとはキリスト教における“7つの大罪”の1つ、色欲を司る悪魔の1人である。
従属悪魔の中にサキュバスやインキュバスが存在する。
エレーナ:「ダンテ一門の魔女達、稲生氏に食いまくられるんじゃねーの?もちろん私やルーシーも例外無く、な」
ルーシー:「う……」
それはルーシーも恐ろしいと思った。
だが、それは生理的嫌悪の寒気では何故か無かった。
ルーシー:(どうも先生方の動きを見ていると、むしろそれが目的のような気がする……)
ルーシーはエレーナから二日酔いの薬をもらうと、それを飲む為に洗面所に向かった。
その薬は粉薬だからである。
エレーナ:「で、これからどうするんたぜ?」
ルーシー:「どうせこの薬、少しは眠くなる成分が入ってるんでしょ?夜が明けるまで、もう少し寝てるわ」
エレーナ:「ま、その方がいいな。私達が寝てた方が、マリアンナもこっそり戻って来た時、気まずく無ェだろ」
2人の魔女は薬を飲んだ後、再び布団の中に入った。
[同日07:00.天候:雨 同ホテル大浴場]
エレーナ:「おいおい。ついにマリアンナのヤツ、戻って来なかったな?」
脱衣所で浴衣を脱ぎながらエレーナがルーシーに言った。
ルーシー:「時間が経つのも忘れて、稲生さんと楽しくやってるのかもね」
ルーシーも一糸まとわぬ姿になりながら答えた。
ルーシーの体中には、十字架形の火傷の痕がそこかしこに目立っている。
上半身にも下半身にもだ。
ルーシーもまた稲生と同じく幼少の頃から強い霊力に悩まされており、稲生と違うのはそれでポルターガイストなどの怪奇現象を引き起こしたことである。
教会から悪魔祓いを何度も受けたが症状は悪化するばかり。
ついにはルーシー自身が悪魔だとされて、焼けた十字架を体中に押し付けられるなどの虐待を受けた。
ルーシー:「マリアンナは『日本の温泉に入ったら、体の傷痕が消えた』と言ってる。私も消えるといいけど……」
エレーナ:「それは多分気休めだと思うぜ。イリーナ先生が言うには、『女の悦びを知ることが最大の特効薬』なんだそうだ」
ルーシー:「体調と病状によってはいきなり強い薬を使ったらどうなるか?それはエレーナが1番知ってるでしょう?」
エレーナ:「ははっ(笑)、そもそもその特効薬が手に入らねーから苦労してるんだよな」
全裸になった魔女達、大浴場に入る。
エレーナには虐待の痕は無いが、“魔の者”と戦った時の傷痕は残っている。
エレーナ:「ん?何か混んでるぜ」
ルーシー:「魔女だらけなんだけど……」
湯船には所狭しとダンテ一門の2期生達が浸かっていた。
ほぼ全員が人間時代に心や体に深い傷を負った者達ばかりである。
エレーナ:「おう、エブリン。おはよーだぜ」
エブリン:「守銭奴のエレーナ。おはよう」
エレーナ:「いちいち枕詞付けんじゃねぇ」
ルーシー:「はいはい、ケンカはダメよ。ていうかあなた、成田空港から新宿駅に着いた時、私に話し掛けてきた……」
エブリン:「アナスタシア組のエブリンです。ルーシー、早く中に入って。ここの温泉、火傷に効くらしいよ」
ルーシー:「そう」
エレーナ:「エレーナは火傷してないからダメね」
ルーシー:「別の意味で火傷したりしてるから、大目に見てあげて」
エレーナ:「おい、ルーシー、それどういう意味だぜ?」
ルーシーはそれには答えず、体を流すとエブリンの近くに座った。
エブリンはアナスタシアを少女にしたかのような姿をしている。
で、体どころか顔にも火傷の痕があった。
エブリン:「マリアンナは一緒じゃなかったの?」
ルーシーは一瞬正直に言おうとしたが、どうもこの場が荒れそうな気がしたので……。
ルーシー:「イリーナ組は大師匠様のスケジュール調整で、朝から忙しいのよ。日本国内におけるアテンド役だからね」
と、無難そうな答えを言っておいた。
実際マリアと楽しんだ稲生には、正しくその労苦が待っている。
エブリンもそれ以上聞いて来ることはなかった。
エレーナ:「ん……」
エレーナはふと目が覚めた。
どうやら自分の部屋で稲生を招いた細やかな二次会をやっていたら思いの外盛り上がってしまい、そのまま眠ってしまったようだ。
エレーナ:「……!」
エレーナが一瞬見たのは、稲生とマリアが2人連れ添って部屋から出て行くところ。
どうやらその物音で目が覚めたようだ。
エレーナ:「ほほー……」
面白いもんは是非とも見てみたいエレーナは、横でまだ寝ているルーシーを尻目に部屋を出て行った。
夜中と早朝の間くらいの時間帯ということもあって、廊下を歩く宿泊客や従業員達はいない。
同じく部屋で3次会をやっていたダンテ達も、さすがに静かになっただろうか。
さすがのエレーナも、そこまで確かめに行く気はしなかった。
エレーナ:(やっぱりそうだ)
エレーナは見た。
稲生がマリアの肩を抱きながら、自分の部屋に入って行く所を。
エレーナ:(こりゃあ、ガチのセッ○スだぜ!稲生氏やるなぁ!)
エレーナはそこまで見届けた後、早速自分の部屋に戻った。
そして自分の水晶球を取り出し、早速稲生達の部屋を映し出そうとした。
エレーナ:(録画してポーン・ハブ辺りに流してやっかw ああ?)
だが、パーン!という音がして水晶球が真っ二つに割れた。
エレーナ:「うおっ!?マリアンナのやろう、しっかり保険掛けてやがった……」
ルーシー:「んん……。何よぉ……?」
エレーナ:「おっ、お目覚めか?」
ルーシー:「あれ……?私は……?」
エレーナ:「稲生氏に危うくイタズラされるところだったぜw」
ルーシー:「ええっ!?」
エレーナ:「ウソぴょーんw」
ルーシー:「エレーナっ!」
エレーナ:「まあまあ。稲生氏は今、マリアンナを部屋に連れ込んで、これからお楽しみだぜ」
ルーシー:「……またウソを……」
エレーナ:「いや、こればっかりは本当だぜ。見ろよ。その模様をこれから中継してやろうかと思ったら、しっかりブロックされた」
ルーシーは真っ二つに砕けた水晶球を指さした。
ルーシー:「前に日本に来た時、稲生さんとマリアンナがキスしている所は見ちゃったけど……」
エレーナ:「ま、今はそういう関係だってことだぜ。まあ、どうせマリアンナは元から処女じゃねーし、稲生氏も使い道の無い貞操をマリアンナに使えてウィンウィンってところだろ。何ならルーシーが稲生氏に処女捧げてみるか?」
ルーシー:「さすがにそれはマズいでしょ。マリアンナに泥棒猫扱いされちゃう」
ルーシーは大きな欠伸をした。
ルーシー:「というか飲み過ぎた。エレーナ、二日酔いの薬ちょうだい」
エレーナ:「請求先は?」
ルーシー:「ベイカー先生にして。どうせベイカー先生も二日酔いの薬欲しがるだろうし」
エレーナ:「毎度ありー」
ルーシー:「それにしても、マリアンナがねぇ……」
エレーナ:「皆びっくりしてるぜ。ま、そりゃそうだな。こりゃますます稲生氏がアスモデウスと契約したら、空恐ろしいことになるかもな」
アスモデウスとはキリスト教における“7つの大罪”の1つ、色欲を司る悪魔の1人である。
従属悪魔の中にサキュバスやインキュバスが存在する。
エレーナ:「ダンテ一門の魔女達、稲生氏に食いまくられるんじゃねーの?もちろん私やルーシーも例外無く、な」
ルーシー:「う……」
それはルーシーも恐ろしいと思った。
だが、それは生理的嫌悪の寒気では何故か無かった。
ルーシー:(どうも先生方の動きを見ていると、むしろそれが目的のような気がする……)
ルーシーはエレーナから二日酔いの薬をもらうと、それを飲む為に洗面所に向かった。
その薬は粉薬だからである。
エレーナ:「で、これからどうするんたぜ?」
ルーシー:「どうせこの薬、少しは眠くなる成分が入ってるんでしょ?夜が明けるまで、もう少し寝てるわ」
エレーナ:「ま、その方がいいな。私達が寝てた方が、マリアンナもこっそり戻って来た時、気まずく無ェだろ」
2人の魔女は薬を飲んだ後、再び布団の中に入った。
[同日07:00.天候:雨 同ホテル大浴場]
エレーナ:「おいおい。ついにマリアンナのヤツ、戻って来なかったな?」
脱衣所で浴衣を脱ぎながらエレーナがルーシーに言った。
ルーシー:「時間が経つのも忘れて、稲生さんと楽しくやってるのかもね」
ルーシーも一糸まとわぬ姿になりながら答えた。
ルーシーの体中には、十字架形の火傷の痕がそこかしこに目立っている。
上半身にも下半身にもだ。
ルーシーもまた稲生と同じく幼少の頃から強い霊力に悩まされており、稲生と違うのはそれでポルターガイストなどの怪奇現象を引き起こしたことである。
教会から悪魔祓いを何度も受けたが症状は悪化するばかり。
ついにはルーシー自身が悪魔だとされて、焼けた十字架を体中に押し付けられるなどの虐待を受けた。
ルーシー:「マリアンナは『日本の温泉に入ったら、体の傷痕が消えた』と言ってる。私も消えるといいけど……」
エレーナ:「それは多分気休めだと思うぜ。イリーナ先生が言うには、『女の悦びを知ることが最大の特効薬』なんだそうだ」
ルーシー:「体調と病状によってはいきなり強い薬を使ったらどうなるか?それはエレーナが1番知ってるでしょう?」
エレーナ:「ははっ(笑)、そもそもその特効薬が手に入らねーから苦労してるんだよな」
全裸になった魔女達、大浴場に入る。
エレーナには虐待の痕は無いが、“魔の者”と戦った時の傷痕は残っている。
エレーナ:「ん?何か混んでるぜ」
ルーシー:「魔女だらけなんだけど……」
湯船には所狭しとダンテ一門の2期生達が浸かっていた。
ほぼ全員が人間時代に心や体に深い傷を負った者達ばかりである。
エレーナ:「おう、エブリン。おはよーだぜ」
エブリン:「守銭奴のエレーナ。おはよう」
エレーナ:「いちいち枕詞付けんじゃねぇ」
ルーシー:「はいはい、ケンカはダメよ。ていうかあなた、成田空港から新宿駅に着いた時、私に話し掛けてきた……」
エブリン:「アナスタシア組のエブリンです。ルーシー、早く中に入って。ここの温泉、火傷に効くらしいよ」
ルーシー:「そう」
エレーナ:「エレーナは火傷してないからダメね」
ルーシー:「別の意味で火傷したりしてるから、大目に見てあげて」
エレーナ:「おい、ルーシー、それどういう意味だぜ?」
ルーシーはそれには答えず、体を流すとエブリンの近くに座った。
エブリンはアナスタシアを少女にしたかのような姿をしている。
で、体どころか顔にも火傷の痕があった。
エブリン:「マリアンナは一緒じゃなかったの?」
ルーシーは一瞬正直に言おうとしたが、どうもこの場が荒れそうな気がしたので……。
ルーシー:「イリーナ組は大師匠様のスケジュール調整で、朝から忙しいのよ。日本国内におけるアテンド役だからね」
と、無難そうな答えを言っておいた。
実際マリアと楽しんだ稲生には、正しくその労苦が待っている。
エブリンもそれ以上聞いて来ることはなかった。