[7月2日16:44.静岡県富士宮市 JR富士宮駅前→富士宮富士急ホテル 視点:稲生勇太]
運転手:「ご乗車ありがとうございました。終点、富士宮駅前です」
稲生とマリアを乗せた上りの最終バスは、無事に駅前ロータリーに到着した。
乗客は数えるほどしか乗っていない。
稲生:「マリア、着いたよ」
マリア:「ん……」
マリアは疲れているのか、一緒に座った1番後ろの席で寝落ちしていた。
稲生に起こされて、一緒に席を立つ。
稲生:「大人2人お願いします」
運転手:「はい」
稲生はICカードで運賃を支払った。
運転手:「ありがとうございました」
稲生:「どうも」
稲生はマリアの手を取ってバスを降りた。
イリーナが待つホテルは、同じロータリー沿いである。
稲生:「マリア、頑張って。もう少しでホテルだから」
マリア:「Year...」
ホテルに着くと、エントランスロビーにはイリーナと藤谷がいた。
イリーナ:「やあやあ、無事で良かったよ」
稲生:「先生こそ、御無事で何よりです。でも、マリアさんがちょっと疲れてて……」
イリーナ:「ああ、分かってるよ。本当はこのまま東京に向かっても良かったんだけど、やっぱり明日向かうさね」
稲生:「東京ですか」
イリーナ:「ワンスターホテルさ。ちょうどキミ達がこの町に落ちた時くらいに、エレーナとアリスもそこへ逃げ込んだみたいなんだよ」
稲生:「おー、エレーナも無事でしたか」
イリーナ:「一応ね。アタシ達がハリアーとファントムと戦っていた時、あのコ達は何をしていたのか気になるだろ?」
稲生:「確かに気になりますね」
イリーナ:「アルカディアシティがどうなったのかも分からないし」
稲生:「あっ!」
イリーナ:「勇太君、できれば威吹君と交信してみてくれるかい?せめてサウスエンドくらいは無事であって欲しいものだ」
稲生:「分かりました」
イリーナ:「まあ、まずはチェックインしよう。勇太君、一緒に来て」
稲生:「はい」
勇太がイリーナと一緒にフロントに向かっている間、マリアはロビーのソファに座った。
藤谷:「大丈夫ですかい?顔色が悪いですぜ?」
マリア:「大丈夫……ジャナイ」
マリアは首を横に振った。
自動通訳魔法具が作動しなくなり、マリアは自分で日本語を話さなくてはならなかった。
イリーナ:「マリア、行くわよ」
しばらくして、チェックインの手続きが終わった稲生とイリーナが戻ってくる。
マリアは最後の気力を振り絞って立ち上がった。
稲生が支えてあげる。
藤谷:「また、夕飯の時間になったら迎えに来ます」
イリーナ:「ええ、分かったわ。よろしくね」
稲生はマリアの手を取りながら、イリーナは藤谷に軽く手を振りながらエレベーターに乗り込んだ。
稲生:「アルカディアは壊滅しちゃったんでしょうか?」
イリーナ:「何も情報が入って来ないのよ。『ベタン』という攻撃魔法があってね。局地的に高重力を発生させて敵を押し潰す魔法なんだけど、それを人工的に、しかも広範囲で起こす兵器をミッドガードは開発したみたいなの。爆弾という形でね。7番街を壊滅させたのもそれ。また、それを使われたみたい」
稲生:「うー……何てことを……」
エレベーターが稲生達の宿泊フロアに到着する。
イリーナ:「ここに泊まることになった以上、今夜はゆっくりしましょう。アタシも疲れたわ。夕食は藤谷さんが奢ってくれるみたい」
稲生:「まさか、ここで藤谷班長が登場するとは……」
イリーナ:「ほら、マリア。こっちへいらっしゃい」
マリア:「はい……」
イリーナ:「あ、そうそう。もし勇太君に余裕があるのなら、後で富士宮駅まで行って来てくれない?」
稲生:「と、仰いますと?」
イリーナ:「明日、東京までの新幹線のチケットを買って来て欲しいの」
稲生:「あ、はい。分かりました。ついでに、身延線の時刻も確認し……」
イリーナ:「その必要は無いわ。どうやら藤谷さんが明日、新富士駅まで送ってくれるみたいよ」
稲生:「明日も仕事でしょうに、いいのかなぁ……?」
イリーナ:「藤谷さんは会社じゃ偉い人なんでしょ?それくらいできる権利を持っているのかもね」
稲生:「まあ、確かに……」
稲生はドアを開錠すると、シングルルームの中に入った。
思わずベッドにダイブしてそのまま寝落ちしたい衝動に駆られたが、何とかそれを抑え込んだ。
確かに1秒ごとに疲労がどんどん出てくる感覚に襲われている。
マリアはそれが自分より早かっただけに過ぎない。
一応荷物を置き、一息ついてから、イリーナとマリアの部屋に向かった。
稲生:「先生、ちょっと駅まで行ってきます」
イリーナ:「ああ、うん。よろしくね。これがカード」
稲生:「マリア……さん、大丈夫ですか?」
イリーナ:「ベッドに横になるなり、すぐ眠ってしまったわ。もしかしたら、朝まで起きないかもしれないわね」
稲生:「そうですか」
イリーナ:「夕食はアタシ達だけで行きましょう。その方が藤谷さんも負担は少ないだろうし」
稲生:「分かりました」
部屋の入口からベッドの方を見ると、窓側のベッドにマリアが寝ているようだった。
クロゼットにはマリアのローブとモスグリーンのスカートが掛けてあり、椅子の上にはマリアが着けていた制服リボンと靴下が無造作に置かれ、魔法の杖が立てかけてある。
どうやら着替える体力も残っておらず、取りあえずブラウスだけ着た状態で眠ってしまったようだ。
しばらく見とれていたが、イリーナに目を細めたまま肩を叩かれた。
イリーナ:「ほーら、早いとこ行きなさい」
稲生:「あ、はい。行ってきます」
ふと我に返った稲生は部屋を出た。
そして、イリーナから預かったプラチナカードを財布にしまうと、再びエレベーターに乗り込んだ。
稲生:(マリア、寝顔もかわいいな……)
マリアの寝姿を拝んだだけで、自分のHPとMPが回復したような気がした。
実際には変わらないのだが、ステータスとして数値化されない気力だけは回復したかもしれない。
運転手:「ご乗車ありがとうございました。終点、富士宮駅前です」
稲生とマリアを乗せた上りの最終バスは、無事に駅前ロータリーに到着した。
乗客は数えるほどしか乗っていない。
稲生:「マリア、着いたよ」
マリア:「ん……」
マリアは疲れているのか、一緒に座った1番後ろの席で寝落ちしていた。
稲生に起こされて、一緒に席を立つ。
稲生:「大人2人お願いします」
運転手:「はい」
稲生はICカードで運賃を支払った。
運転手:「ありがとうございました」
稲生:「どうも」
稲生はマリアの手を取ってバスを降りた。
イリーナが待つホテルは、同じロータリー沿いである。
稲生:「マリア、頑張って。もう少しでホテルだから」
マリア:「Year...」
ホテルに着くと、エントランスロビーにはイリーナと藤谷がいた。
イリーナ:「やあやあ、無事で良かったよ」
稲生:「先生こそ、御無事で何よりです。でも、マリアさんがちょっと疲れてて……」
イリーナ:「ああ、分かってるよ。本当はこのまま東京に向かっても良かったんだけど、やっぱり明日向かうさね」
稲生:「東京ですか」
イリーナ:「ワンスターホテルさ。ちょうどキミ達がこの町に落ちた時くらいに、エレーナとアリスもそこへ逃げ込んだみたいなんだよ」
稲生:「おー、エレーナも無事でしたか」
イリーナ:「一応ね。アタシ達がハリアーとファントムと戦っていた時、あのコ達は何をしていたのか気になるだろ?」
稲生:「確かに気になりますね」
イリーナ:「アルカディアシティがどうなったのかも分からないし」
稲生:「あっ!」
イリーナ:「勇太君、できれば威吹君と交信してみてくれるかい?せめてサウスエンドくらいは無事であって欲しいものだ」
稲生:「分かりました」
イリーナ:「まあ、まずはチェックインしよう。勇太君、一緒に来て」
稲生:「はい」
勇太がイリーナと一緒にフロントに向かっている間、マリアはロビーのソファに座った。
藤谷:「大丈夫ですかい?顔色が悪いですぜ?」
マリア:「大丈夫……ジャナイ」
マリアは首を横に振った。
自動通訳魔法具が作動しなくなり、マリアは自分で日本語を話さなくてはならなかった。
イリーナ:「マリア、行くわよ」
しばらくして、チェックインの手続きが終わった稲生とイリーナが戻ってくる。
マリアは最後の気力を振り絞って立ち上がった。
稲生が支えてあげる。
藤谷:「また、夕飯の時間になったら迎えに来ます」
イリーナ:「ええ、分かったわ。よろしくね」
稲生はマリアの手を取りながら、イリーナは藤谷に軽く手を振りながらエレベーターに乗り込んだ。
稲生:「アルカディアは壊滅しちゃったんでしょうか?」
イリーナ:「何も情報が入って来ないのよ。『ベタン』という攻撃魔法があってね。局地的に高重力を発生させて敵を押し潰す魔法なんだけど、それを人工的に、しかも広範囲で起こす兵器をミッドガードは開発したみたいなの。爆弾という形でね。7番街を壊滅させたのもそれ。また、それを使われたみたい」
稲生:「うー……何てことを……」
エレベーターが稲生達の宿泊フロアに到着する。
イリーナ:「ここに泊まることになった以上、今夜はゆっくりしましょう。アタシも疲れたわ。夕食は藤谷さんが奢ってくれるみたい」
稲生:「まさか、ここで藤谷班長が登場するとは……」
イリーナ:「ほら、マリア。こっちへいらっしゃい」
マリア:「はい……」
イリーナ:「あ、そうそう。もし勇太君に余裕があるのなら、後で富士宮駅まで行って来てくれない?」
稲生:「と、仰いますと?」
イリーナ:「明日、東京までの新幹線のチケットを買って来て欲しいの」
稲生:「あ、はい。分かりました。ついでに、身延線の時刻も確認し……」
イリーナ:「その必要は無いわ。どうやら藤谷さんが明日、新富士駅まで送ってくれるみたいよ」
稲生:「明日も仕事でしょうに、いいのかなぁ……?」
イリーナ:「藤谷さんは会社じゃ偉い人なんでしょ?それくらいできる権利を持っているのかもね」
稲生:「まあ、確かに……」
稲生はドアを開錠すると、シングルルームの中に入った。
思わずベッドにダイブしてそのまま寝落ちしたい衝動に駆られたが、何とかそれを抑え込んだ。
確かに1秒ごとに疲労がどんどん出てくる感覚に襲われている。
マリアはそれが自分より早かっただけに過ぎない。
一応荷物を置き、一息ついてから、イリーナとマリアの部屋に向かった。
稲生:「先生、ちょっと駅まで行ってきます」
イリーナ:「ああ、うん。よろしくね。これがカード」
稲生:「マリア……さん、大丈夫ですか?」
イリーナ:「ベッドに横になるなり、すぐ眠ってしまったわ。もしかしたら、朝まで起きないかもしれないわね」
稲生:「そうですか」
イリーナ:「夕食はアタシ達だけで行きましょう。その方が藤谷さんも負担は少ないだろうし」
稲生:「分かりました」
部屋の入口からベッドの方を見ると、窓側のベッドにマリアが寝ているようだった。
クロゼットにはマリアのローブとモスグリーンのスカートが掛けてあり、椅子の上にはマリアが着けていた制服リボンと靴下が無造作に置かれ、魔法の杖が立てかけてある。
どうやら着替える体力も残っておらず、取りあえずブラウスだけ着た状態で眠ってしまったようだ。
しばらく見とれていたが、イリーナに目を細めたまま肩を叩かれた。
イリーナ:「ほーら、早いとこ行きなさい」
稲生:「あ、はい。行ってきます」
ふと我に返った稲生は部屋を出た。
そして、イリーナから預かったプラチナカードを財布にしまうと、再びエレベーターに乗り込んだ。
稲生:(マリア、寝顔もかわいいな……)
マリアの寝姿を拝んだだけで、自分のHPとMPが回復したような気がした。
実際には変わらないのだが、ステータスとして数値化されない気力だけは回復したかもしれない。