[7月3日12:30.東京都江東区森下 ワンスターホテル1F貸会議室 視点:稲生勇太]
配達員:「こんにちはー!ドミノピザです!」
稲生:「あ、はい。お待ちしてました」
ロビーでピザの配達員を待っていた稲生。
お昼時になったので、皆でピザでも取ろうかという話になった。
支払いはイリーナのカードで決済済みなので、稲生は商品を取りに行くだけで良かった。
配達員:「お熱いのでお気を付けください」
稲生:「はい、どうも。ご苦労様でした」
稲生はLサイズのピザが入った箱を貸会議室に持って行った。
エレーナ:「稲生氏、ご苦労様だぜ」
稲生:「いやいや」
稲生、ピザの入った箱を机の上に置く。
アリス:「美味しそうな匂いね」
エレーナ:「魔界にもピザくらいあるだろ?」
アリス:「お城の食堂で、兵士達が食べているのを見たことがある」
どうやら騎士階級(貴族階級)はピザを食べないらしい。
イリーナ:「ま、とにかく食べようじゃないか。エレーナの妹弟子も無事だってことが分かったし」
エレーナ:「『魔道士は殺しても死なない』という言葉には、色々な意味がありますが、この場合は悪運が強いという意味ですかね」
イリーナ:「まあまあ。助かったんだからいいじゃないか」
地上にいて逃げ遅れた人々は重圧魔法爆弾『ベタン爆弾』により、圧死させられた。
助かったのは爆心地から離れた場所にいたか、或いは地下にいた人々だけであった。
原爆の被爆者だと、地上にいても、熱線や爆風が遮られた物陰にいた人も助かった(例、はだしのゲンなど)わけだが、ベタン爆弾はそれでもダメだ。
リリアンヌは地下鉄に乗っていて助かったそうだ。
エレーナ:「爆撃機が何やら爆弾を落として引き返したところまでは分かった。私は急いで暴風魔法で、奴らの設定した爆心地をズラすことだけが精一杯だった」
イリーナ:「ミッドガード軍が設定した爆心地というのは、1番街ね。エレーナの魔法で、それが再開発中で無人の16番街に落ちたんだから大したものよ」
アリス:「それでも多くの人々が亡くなったことに変わりはない。爆弾は強力で16番街だけでなく、その周りの街もやられた」
東京で言えば、開発中でまだビックサイトすらなかった頃の有明に落ちたようなものだ。
敵は丸の内や大手町に爆弾を落とそうとしていたのに、エレーナの魔法で有明。
しかし、爆弾の威力は強力で、周囲の豊洲や新木場にまで被害が及んだといった感じ。
稲生:「…………」
稲生は不味そうにピザを頬張った。
もちろんビザ自体は美味であったが、彼女らの話している内容がメシマズだったからだ。
稲生にとってはアリスの反応が1番まともに見えた。
アリスはアルカディア王国の騎士団として、王国の国民を守る任務に就いているからだろう。
どうして稲生がメシマズに聞こえたのかというと、所々に彼女らの差別意識を感じていたからだ。
しかも、彼女らには何の悪意も感じられない。
それは、アリスでさえであった。
アリス:「エレーナはアルカディアシティのことに詳しいのか?」
エレーナ:「私はアルカディアシティ内でも商売してるんだぜ?当然だぜ。16番街が再開発地区に指定されていて、無人だということは分かった。そしてその周りの街も、将来再開発地区に指定される治安の悪い場所だってこともな」
イリーナ:「あそこは『アルカディアのイースト・セントルイス』と呼ばれてるからねぇ。魔族ですら、『黒人を見たら逃げろ』だもんね」
アリス:「あの辺りの治安が悪くなったのも、アメリカから黒人が流入してからだと聞く」
マリア:「私がまだ普通の人間だった頃、南アフリカから引っ越してきたコ(白人)が知り合いにいたんだけど、やはり黒人の多い場所は治安が悪過ぎだって」
エレーナ:「アメリカのミネアポリスで起きた事件だって、警察官に殺された黒人というのは、相当な前科者だったらしいぜ?」
稲生:「…………」
稲生は不思議そうな顔で、白人魔女達の黒人差別談義を聞いていた。
普通に女子会レベルの話で、差別が平然と行われていることに、もはや呆然とするしかなかった。
で、アジア人とて対岸の火事ではない。
欧米に行けば、アジア人として被差別の対象となるので要注意だ。
そしてそれは、白人からだけではなく、黒人からもである。
イリーナ:「あ、ゴメンね、勇太君。日本人はこんな話、入れないよね」
稲生:「あ、いえ……」
エレーナ:「お~、そうだったぜ!稲生氏をハブくんじゃねーぜ。マリアンナとかはどう思ってるかどうか知らないが、私にとって日本人は『名誉白人』だぜ。いつもお世話になっております」
エレーナは勇太の右手を握った。
マリア:「意味不明の挨拶で締めるな。私だって、勇太は特別だ。同じ白人の男は私を『性欲の捌け口』にしかして来なかったけど、勇太だけは違ったから」
マリアはマリアで勇太の左腕を掴んだ。
稲生:「分かったから離れてくれ」
稲生は思った。
稲生:(『神に見放され、悪魔に魅入られし魔女共』と言われるのがこの人達だけど、キリストの信仰を止めても、キリスト教にある選民意識『白人こそ神に選ばれし人種』の思想は魔法でも落とせないらしい)
ダンテ流魔法でも落とせない差別意識を無くす為、仏法の広宣流布に邁進しなくてはと思う反面……。
稲生:(“大白法”の海外寺院紹介でアメリカの寺院とかが紹介されても、写真を見てる限り、アジア系とか黒人とかヒスパニック系が多いような気がするんだけど……。白人はなかなか入信してくれない?)
稲生が日蓮正宗で信仰しているのは、ここにいるアリス以外は全員知っている。
ダンテ一門ではキリスト教の信仰は当然禁止されているが、何故か仏教は『魔女狩りの歴史が無いから』という理由で禁止されていない。
その為、魔女狩りの歴史のあるイスラム教も禁止されている。
マリアも稲生の所属する正証寺や総本山大石寺を訪れたことはあるが、仏法に関心を示す言動は1度もしていない。
せいぜい、稲生の魔力の源との関連性について興味を持っただけである。
稲生:「僕は恐らくイギリスに行ったら、アジア人というだけで差別されそうだけど、どう思う?」
マリア:「まず、イギリスに行くことは無いと思う。もしそんな機会があったとしても、私が守るから心配しないで。日本では私が勇太に守ってもらっているからね」
エレーナ:「ウクライナに来る機会があったら、私がガードしてやるぜ。稲生氏を差別するヤツは、私の魔法で滅却・塵芥にしてやるぜ」
イリーナ:「ロシアは……ロシア語喋れれば、取りあえず大丈夫だから。何か言われたら、ロシア語で言い返してやれば大抵の相手は怯むから」
稲生:「……しばらく日本国内に閉じこもりまーす」
エレーナ:「で、どうするんですか?今から、アルカディアシティに行きますか?」
エレーナはピザの一切れを手にし、それを頬張りながら言った。
イリーナ:「そうねぇ……。約1名、乗り気でないのがいるんだけど……」
イリーナはチラッとマリアを見た。
稲生:「僕は威吹が心配だから、ちょっと行ってみたい」
エレーナ:「私もリリィを迎えに行ってやんねーとな」
アリス:「ケガも治ったことだし、私も早いとこ騎士団本部に戻らないと」
マリア:「分かった。分かりましたよ。私も行きますよ」
イリーナ:「そう来なくちゃ。じゃ、ピサを食べたらさっさと行くわよ~」
配達員:「こんにちはー!ドミノピザです!」
稲生:「あ、はい。お待ちしてました」
ロビーでピザの配達員を待っていた稲生。
お昼時になったので、皆でピザでも取ろうかという話になった。
支払いはイリーナのカードで決済済みなので、稲生は商品を取りに行くだけで良かった。
配達員:「お熱いのでお気を付けください」
稲生:「はい、どうも。ご苦労様でした」
稲生はLサイズのピザが入った箱を貸会議室に持って行った。
エレーナ:「稲生氏、ご苦労様だぜ」
稲生:「いやいや」
稲生、ピザの入った箱を机の上に置く。
アリス:「美味しそうな匂いね」
エレーナ:「魔界にもピザくらいあるだろ?」
アリス:「お城の食堂で、兵士達が食べているのを見たことがある」
どうやら騎士階級(貴族階級)はピザを食べないらしい。
イリーナ:「ま、とにかく食べようじゃないか。エレーナの妹弟子も無事だってことが分かったし」
エレーナ:「『魔道士は殺しても死なない』という言葉には、色々な意味がありますが、この場合は悪運が強いという意味ですかね」
イリーナ:「まあまあ。助かったんだからいいじゃないか」
地上にいて逃げ遅れた人々は重圧魔法爆弾『ベタン爆弾』により、圧死させられた。
助かったのは爆心地から離れた場所にいたか、或いは地下にいた人々だけであった。
原爆の被爆者だと、地上にいても、熱線や爆風が遮られた物陰にいた人も助かった(例、はだしのゲンなど)わけだが、ベタン爆弾はそれでもダメだ。
リリアンヌは地下鉄に乗っていて助かったそうだ。
エレーナ:「爆撃機が何やら爆弾を落として引き返したところまでは分かった。私は急いで暴風魔法で、奴らの設定した爆心地をズラすことだけが精一杯だった」
イリーナ:「ミッドガード軍が設定した爆心地というのは、1番街ね。エレーナの魔法で、それが再開発中で無人の16番街に落ちたんだから大したものよ」
アリス:「それでも多くの人々が亡くなったことに変わりはない。爆弾は強力で16番街だけでなく、その周りの街もやられた」
東京で言えば、開発中でまだビックサイトすらなかった頃の有明に落ちたようなものだ。
敵は丸の内や大手町に爆弾を落とそうとしていたのに、エレーナの魔法で有明。
しかし、爆弾の威力は強力で、周囲の豊洲や新木場にまで被害が及んだといった感じ。
稲生:「…………」
稲生は不味そうにピザを頬張った。
もちろんビザ自体は美味であったが、彼女らの話している内容がメシマズだったからだ。
稲生にとってはアリスの反応が1番まともに見えた。
アリスはアルカディア王国の騎士団として、王国の国民を守る任務に就いているからだろう。
どうして稲生がメシマズに聞こえたのかというと、所々に彼女らの差別意識を感じていたからだ。
しかも、彼女らには何の悪意も感じられない。
それは、アリスでさえであった。
アリス:「エレーナはアルカディアシティのことに詳しいのか?」
エレーナ:「私はアルカディアシティ内でも商売してるんだぜ?当然だぜ。16番街が再開発地区に指定されていて、無人だということは分かった。そしてその周りの街も、将来再開発地区に指定される治安の悪い場所だってこともな」
イリーナ:「あそこは『アルカディアのイースト・セントルイス』と呼ばれてるからねぇ。魔族ですら、『黒人を見たら逃げろ』だもんね」
アリス:「あの辺りの治安が悪くなったのも、アメリカから黒人が流入してからだと聞く」
マリア:「私がまだ普通の人間だった頃、南アフリカから引っ越してきたコ(白人)が知り合いにいたんだけど、やはり黒人の多い場所は治安が悪過ぎだって」
エレーナ:「アメリカのミネアポリスで起きた事件だって、警察官に殺された黒人というのは、相当な前科者だったらしいぜ?」
稲生:「…………」
稲生は不思議そうな顔で、白人魔女達の黒人差別談義を聞いていた。
普通に女子会レベルの話で、差別が平然と行われていることに、もはや呆然とするしかなかった。
で、アジア人とて対岸の火事ではない。
欧米に行けば、アジア人として被差別の対象となるので要注意だ。
そしてそれは、白人からだけではなく、黒人からもである。
イリーナ:「あ、ゴメンね、勇太君。日本人はこんな話、入れないよね」
稲生:「あ、いえ……」
エレーナ:「お~、そうだったぜ!稲生氏をハブくんじゃねーぜ。マリアンナとかはどう思ってるかどうか知らないが、私にとって日本人は『名誉白人』だぜ。いつもお世話になっております」
エレーナは勇太の右手を握った。
マリア:「意味不明の挨拶で締めるな。私だって、勇太は特別だ。同じ白人の男は私を『性欲の捌け口』にしかして来なかったけど、勇太だけは違ったから」
マリアはマリアで勇太の左腕を掴んだ。
稲生:「分かったから離れてくれ」
稲生は思った。
稲生:(『神に見放され、悪魔に魅入られし魔女共』と言われるのがこの人達だけど、キリストの信仰を止めても、キリスト教にある選民意識『白人こそ神に選ばれし人種』の思想は魔法でも落とせないらしい)
ダンテ流魔法でも落とせない差別意識を無くす為、仏法の広宣流布に邁進しなくてはと思う反面……。
稲生:(“大白法”の海外寺院紹介でアメリカの寺院とかが紹介されても、写真を見てる限り、アジア系とか黒人とかヒスパニック系が多いような気がするんだけど……。白人はなかなか入信してくれない?)
稲生が日蓮正宗で信仰しているのは、ここにいるアリス以外は全員知っている。
ダンテ一門ではキリスト教の信仰は当然禁止されているが、何故か仏教は『魔女狩りの歴史が無いから』という理由で禁止されていない。
その為、魔女狩りの歴史のあるイスラム教も禁止されている。
マリアも稲生の所属する正証寺や総本山大石寺を訪れたことはあるが、仏法に関心を示す言動は1度もしていない。
せいぜい、稲生の魔力の源との関連性について興味を持っただけである。
稲生:「僕は恐らくイギリスに行ったら、アジア人というだけで差別されそうだけど、どう思う?」
マリア:「まず、イギリスに行くことは無いと思う。もしそんな機会があったとしても、私が守るから心配しないで。日本では私が勇太に守ってもらっているからね」
エレーナ:「ウクライナに来る機会があったら、私がガードしてやるぜ。稲生氏を差別するヤツは、私の魔法で滅却・塵芥にしてやるぜ」
イリーナ:「ロシアは……ロシア語喋れれば、取りあえず大丈夫だから。何か言われたら、ロシア語で言い返してやれば大抵の相手は怯むから」
稲生:「……しばらく日本国内に閉じこもりまーす」
エレーナ:「で、どうするんですか?今から、アルカディアシティに行きますか?」
エレーナはピザの一切れを手にし、それを頬張りながら言った。
イリーナ:「そうねぇ……。約1名、乗り気でないのがいるんだけど……」
イリーナはチラッとマリアを見た。
稲生:「僕は威吹が心配だから、ちょっと行ってみたい」
エレーナ:「私もリリィを迎えに行ってやんねーとな」
アリス:「ケガも治ったことだし、私も早いとこ騎士団本部に戻らないと」
マリア:「分かった。分かりましたよ。私も行きますよ」
イリーナ:「そう来なくちゃ。じゃ、ピサを食べたらさっさと行くわよ~」