[6月27日00:00.魔界王国アルカディア西部地方上空 視点:稲生勇太]
ミッドガード共和国大統領の首をダンテ一門の魔道士達が討ち取ったということで、真夜中にも関わらず、国中が大騒ぎになっているはずだ。
これで稲生達は英雄扱いになるだろうが、当然ながら国のトップの首を討ち取られた側が黙っているわけがない。
稲生:「先生、何か戦闘機が飛んで来ますよ!?」
稲生達はイリーナの召喚獣ドラゴン、リシーツァに乗っている。
イリーナ:「フン、たかが第2次世界大戦時のプロペラ機なんて、リシーちゃんの敵じゃないわよ」
エレーナ:「でも向こうは必死に機銃掃射してきますぜ?」
マリア:「だったら、私達で応戦すればいい!ドラゴンは急旋回できないからな!」
できるのだが、それだと稲生達が振り落とされてしまう。
稲生達が安全に乗る為には、大型旅客機並みの飛行をしなければならない。
急旋回、急降下、急上昇などもっての外だ。
……もとい、離陸と着陸だけはハリアー並みで良い。
エレーナ:「? 何か、追い付かれそうだぜ!?それに、この音……」
リシーツァの飛行速度はプロペラ機より速く、ジェット機より遅い。
そのリシーツァに追い付く飛行機は……。
マリア:「ウソでしょ!?」
稲生:「せ、先生!何か、ハリアーとファントムが追って来ます!」
イリーナ:「はあ!?中国とロシアにそんな戦闘機配備されてたっけ!?」
マリア:「師匠!ファントムの方、日本の国旗を消した後があります!もしかしたら、自衛隊の廃品を横取りしたヤツじゃないですか!?」
稲生:「自衛隊機に襲われるなんてヤダーッ!」
頭を抱える稲生。
イリーナ:「とにかく撃ち落としなさい!」
エレーナ:「お言葉ですが、イリーナ先生!リシーツァに波動砲吐かせた方が早いですぜ!?」
イリーナ:「それもそうね!リシーちゃん、あの飛行機を撃ち落として!」
リシーツァ:「了解した」
リシーツァが方向転換して、ハリアーとファントムに向かって行く。
エレーナ:「剣と魔法のファンタジーの世界に、そんなもん持ち込むんじゃねぇぜ!」
リシーツァがハリアーとファントムに波動砲を放つが、現代の人間界でも未だ現役で使用されている高性能戦闘機は、それを交わして行く。
アリス:「!?」
その時、アリスは自分達の上空を別の飛行機が通過していくのに気付いた。
それはB-29が一機だけであったが、アルカディア王国へと向かって行く。
アリス:「別の飛行機が王国へ向かったよ!」
稲生:「しまった!この2機は囮です!ミッドガードの狙いは爆撃機をアルカディアに送り込むことだったんだ!先生、早く追いましょう!」
イリーナ:「リシーちゃん!応戦は中止よ!さっきの飛行機を追ってちょうだい!」
リシーツァ:「承知した」
リシーツァ、再び進路をアルカディア王国へと向ける。
だが、それを先ほどのハリアーとファントムが阻んだ。
リシーツァはどうしても、ジェット機より速く飛ぶことができない。
この2機を振り切ることは不可能だ。
エレーナ:「くそっ!邪魔するんじゃねぇぜ!」
マリア:「あの旧型爆撃機、一機だけで何するつもりなんだ?そんなに警戒することかな?」
的外れなマリアの言葉に、稲生はくって掛かった。
稲生:「日本はたった1機の爆撃機に2回も原爆を落とされてるんだ!」
マリア:「で、でも、この世界に核兵器なんて……」
マリアはさすがに稲生の剣幕に怯んだ。
マリアは連合国側のイギリス人である。
イリーナ:「……いや、有り得るかも。核保有国が一部の後進国を除いて、核軍縮に向けて動いているのは御承知の通り。だけど、核兵器がどのように処分されて、処分された後はどうなってるのか、誰も知らないでしょお?でね、こうやって中古の飛行機を手に入れているということは……もしかして、その流れで処分された核兵器を……」
話しているイリーナの顔が段々と青ざめて行く。
エレーナ:「アリス、お前ちょっと付き合え!」
アリス:「な、なに!?」
エレーナ:「あの爆撃機、墜としに行くぜ!」
アリス:「どうやって!?」
エレーナはとんがり帽子の中からホウキを取り出した。
帽子がまるで四○元ポ○ットのように色々と収納できるのである。
エレーナ:「瞬間移動魔法、私も使えるぜ!先にアルカディアシティの上空で迎撃するぜ!」
イリーナ:「いいアイディアね!頼むわよ!」
イリーナが行かないのは、イリーナはリシーツァの『操縦者』だからである。
今はリシーツァによる『自動操縦』だが、着陸や敵への攻撃命令などを出せるのはイリーナだけである為、リシーツァから離れるわけにはいかなかったのである。
稲生:「もしもし!?安倍総理ですか!?稲生ですけど、アルカディアシティに核兵器と思われる爆弾を搭載した爆撃機が向かっています!直ちに飛空艇団で迎撃してください!敵機はB-29が1機です!第2次世界大戦で日本に甚大な被害を齎した、あの『超空の要塞』です!」
もちろん、稲生がスマホから掛けているのは日本の安倍総理ではなく、アルカディア王国の安倍総理である。
安倍春明:「何っ!?大叔父の仇だ!よろしい!直ちに飛空艇団を全機爆装で出撃させよう!」
稲生:「よろしくお願いします!」
電話を切った後で……。
稲生:「爆撃機1機に飛空艇団全機出撃!?」
イリーナ:「さすが安倍首相、素晴らしい危機感だわ!」
稲生:「……日本人はそれだけB-29を憎んでいるということですよ」
イリーナ:「ルーシー女王様にはチョコレートだけ請求してね、日本人!」
ルーシー・ブラッドプール一世はアメリカ出身。
マリア:「??? 何の話ですか?」
イリーナ:「帰ったら、日本史の教科書でも見せてもらいなさい」
マリア:「ていうか師匠、雷撃魔法であの飛行機撃ち落とせませんか?」
イリーナ:「! それもそうだったわね!」
マリア:「私は爆撃魔法使います。パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ!……Aero ga!」
イリーナ:「Sunda ga!」
稲生:「で、僕は手榴弾投げればいいのかな?」
大統領府内で拾った手榴弾が何個かあった。
素人が投げても当たるわけがないのだが、そこは魔道士。
マリアがミク人形とハク人形を出して、人間形態に変化させた。
彼女らはグレネードランチャーを持っていて、それでファントムとハリアーを撃ち落とした。
リシーツァ:「私の出番、いらなかったのではないか?」
イリーナ:「ゴメンねぇ。でも、助かったわ。急いでアルカディアシティに向かってくれる?」
リシーツァ:「分かった」
こうして稲生達は三度アルカディアシティに進路を向けることができた。
果たして、エレーナ達は上手く迎撃できているだろうか?
ミッドガード共和国大統領の首をダンテ一門の魔道士達が討ち取ったということで、真夜中にも関わらず、国中が大騒ぎになっているはずだ。
これで稲生達は英雄扱いになるだろうが、当然ながら国のトップの首を討ち取られた側が黙っているわけがない。
稲生:「先生、何か戦闘機が飛んで来ますよ!?」
稲生達はイリーナの召喚獣ドラゴン、リシーツァに乗っている。
イリーナ:「フン、たかが第2次世界大戦時のプロペラ機なんて、リシーちゃんの敵じゃないわよ」
エレーナ:「でも向こうは必死に機銃掃射してきますぜ?」
マリア:「だったら、私達で応戦すればいい!ドラゴンは急旋回できないからな!」
できるのだが、それだと稲生達が振り落とされてしまう。
稲生達が安全に乗る為には、大型旅客機並みの飛行をしなければならない。
急旋回、急降下、急上昇などもっての外だ。
……もとい、離陸と着陸だけはハリアー並みで良い。
エレーナ:「? 何か、追い付かれそうだぜ!?それに、この音……」
リシーツァの飛行速度はプロペラ機より速く、ジェット機より遅い。
そのリシーツァに追い付く飛行機は……。
マリア:「ウソでしょ!?」
稲生:「せ、先生!何か、ハリアーとファントムが追って来ます!」
イリーナ:「はあ!?中国とロシアにそんな戦闘機配備されてたっけ!?」
マリア:「師匠!ファントムの方、日本の国旗を消した後があります!もしかしたら、自衛隊の廃品を横取りしたヤツじゃないですか!?」
稲生:「自衛隊機に襲われるなんてヤダーッ!」
頭を抱える稲生。
イリーナ:「とにかく撃ち落としなさい!」
エレーナ:「お言葉ですが、イリーナ先生!リシーツァに波動砲吐かせた方が早いですぜ!?」
イリーナ:「それもそうね!リシーちゃん、あの飛行機を撃ち落として!」
リシーツァ:「了解した」
リシーツァが方向転換して、ハリアーとファントムに向かって行く。
エレーナ:「剣と魔法のファンタジーの世界に、そんなもん持ち込むんじゃねぇぜ!」
リシーツァがハリアーとファントムに波動砲を放つが、現代の人間界でも未だ現役で使用されている高性能戦闘機は、それを交わして行く。
アリス:「!?」
その時、アリスは自分達の上空を別の飛行機が通過していくのに気付いた。
それはB-29が一機だけであったが、アルカディア王国へと向かって行く。
アリス:「別の飛行機が王国へ向かったよ!」
稲生:「しまった!この2機は囮です!ミッドガードの狙いは爆撃機をアルカディアに送り込むことだったんだ!先生、早く追いましょう!」
イリーナ:「リシーちゃん!応戦は中止よ!さっきの飛行機を追ってちょうだい!」
リシーツァ:「承知した」
リシーツァ、再び進路をアルカディア王国へと向ける。
だが、それを先ほどのハリアーとファントムが阻んだ。
リシーツァはどうしても、ジェット機より速く飛ぶことができない。
この2機を振り切ることは不可能だ。
エレーナ:「くそっ!邪魔するんじゃねぇぜ!」
マリア:「あの旧型爆撃機、一機だけで何するつもりなんだ?そんなに警戒することかな?」
的外れなマリアの言葉に、稲生はくって掛かった。
稲生:「日本はたった1機の爆撃機に2回も原爆を落とされてるんだ!」
マリア:「で、でも、この世界に核兵器なんて……」
マリアはさすがに稲生の剣幕に怯んだ。
マリアは連合国側のイギリス人である。
イリーナ:「……いや、有り得るかも。核保有国が一部の後進国を除いて、核軍縮に向けて動いているのは御承知の通り。だけど、核兵器がどのように処分されて、処分された後はどうなってるのか、誰も知らないでしょお?でね、こうやって中古の飛行機を手に入れているということは……もしかして、その流れで処分された核兵器を……」
話しているイリーナの顔が段々と青ざめて行く。
エレーナ:「アリス、お前ちょっと付き合え!」
アリス:「な、なに!?」
エレーナ:「あの爆撃機、墜としに行くぜ!」
アリス:「どうやって!?」
エレーナはとんがり帽子の中からホウキを取り出した。
帽子がまるで四○元ポ○ットのように色々と収納できるのである。
エレーナ:「瞬間移動魔法、私も使えるぜ!先にアルカディアシティの上空で迎撃するぜ!」
イリーナ:「いいアイディアね!頼むわよ!」
イリーナが行かないのは、イリーナはリシーツァの『操縦者』だからである。
今はリシーツァによる『自動操縦』だが、着陸や敵への攻撃命令などを出せるのはイリーナだけである為、リシーツァから離れるわけにはいかなかったのである。
稲生:「もしもし!?安倍総理ですか!?稲生ですけど、アルカディアシティに核兵器と思われる爆弾を搭載した爆撃機が向かっています!直ちに飛空艇団で迎撃してください!敵機はB-29が1機です!第2次世界大戦で日本に甚大な被害を齎した、あの『超空の要塞』です!」
もちろん、稲生がスマホから掛けているのは日本の安倍総理ではなく、アルカディア王国の安倍総理である。
安倍春明:「何っ!?大叔父の仇だ!よろしい!直ちに飛空艇団を全機爆装で出撃させよう!」
稲生:「よろしくお願いします!」
電話を切った後で……。
稲生:「爆撃機1機に飛空艇団全機出撃!?」
イリーナ:「さすが安倍首相、素晴らしい危機感だわ!」
稲生:「……日本人はそれだけB-29を憎んでいるということですよ」
イリーナ:「ルーシー女王様にはチョコレートだけ請求してね、日本人!」
ルーシー・ブラッドプール一世はアメリカ出身。
マリア:「??? 何の話ですか?」
イリーナ:「帰ったら、日本史の教科書でも見せてもらいなさい」
マリア:「ていうか師匠、雷撃魔法であの飛行機撃ち落とせませんか?」
イリーナ:「! それもそうだったわね!」
マリア:「私は爆撃魔法使います。パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ!……Aero ga!」
イリーナ:「Sunda ga!」
稲生:「で、僕は手榴弾投げればいいのかな?」
大統領府内で拾った手榴弾が何個かあった。
素人が投げても当たるわけがないのだが、そこは魔道士。
マリアがミク人形とハク人形を出して、人間形態に変化させた。
彼女らはグレネードランチャーを持っていて、それでファントムとハリアーを撃ち落とした。
リシーツァ:「私の出番、いらなかったのではないか?」
イリーナ:「ゴメンねぇ。でも、助かったわ。急いでアルカディアシティに向かってくれる?」
リシーツァ:「分かった」
こうして稲生達は三度アルカディアシティに進路を向けることができた。
果たして、エレーナ達は上手く迎撃できているだろうか?