[7月22日20:47.天候:曇 東京都江東区豊洲 都営バス豊洲駅前バス停→ゆりかもめ豊洲駅]
〔「右へ曲がります。ご注意ください」〕
豊洲駅前の大きな十字路交差点を右折し、その先にあるバス停でバスが止まった。
豊洲駅には駅前ロータリーがあって、そこがバスプールになっているのだが、新橋行きのバスはそこには入らず、外側の通り沿いのバス停に止まる。
屋根が無いので、雨の時は大変だろう。
今は雲は出て来たものの、雨が降っていることはない。
〔「ご乗車ありがとうございました。豊洲駅前、豊洲駅前です」〕
引き戸式の中扉が開いた。
愛原:「よし。降りるぞ」
リサ:「はーい」
豊洲駅前バス停は乗り降りが激しい所なのか、下車客が多いものの、乗車客も多く、バス停の前で長い列を作っていた。
バスを降りて、“ゆりかもめ”の駅に向かう。
敷島:「いい加減、早いとこ連載再開してもらわないと……」
シンディ:「既に忘れられているんじゃないでしょうか?」
敷島:「それは困る」
ん!?
今すれ違った人、もしかしてだいぶ前、埼京線の幽霊電車で会った……あれ!?いない!?
リサ:「どうしたの、先生?」
霧崎:「何かございましたか?」
愛原:「い、いや、あれ……?今そこに、眼鏡を掛けた俺くらいの歳のスーツの人と、背の高い金髪の白人みたいなお姉ちゃんがいなかったか!?」
斉藤:「えー?いませんよ?」
リサ:「先生、幻覚でも見た?」
霧崎:「私も金髪に染めていますけど、私のことですか?」
愛原:「違う!……あれ?……気のせいか」
リサ:「先生、きっと疲れてる。早いとこ、船に乗ろう」
愛原:「そ、そうかな」
私は首を傾げて、“ゆりかもめ”の乗り場に向かった。
もっとも、あの埼京線の幽霊電車でさえ、今となってはただの夢だったのではと思うくらいだ。
愛原:「幽霊電車か……」
リサ:「えっ?」
あの幽霊電車は結局、運転士も車掌もいない自動運転だった。
そして、これから乗る“ゆりかもめ”もまた、運転士も車掌もいない自動運転だ。
愛原:「乗車位置は最後尾でいいかな?」
リサ:「どこでもいい」
ダメだ。
未だにあの幽霊電車のトラウマが……。
斉藤:「先生、こちらですか?」
愛原:「そうそう」
地下鉄豊洲駅が地下に潜るのに対し、高架鉄道の“ゆりかもめ”はエスカレーターで上がる。
愛原:「Pasmoはまだ使うよ」
いちいちキップを買わなくていい。
便利になったものだ。
〔まもなく1番線に、折り返し、新橋行きが参ります〕
愛原:「どうする?次の電車にするかい?」
リサ:「そうする」
“ゆりかもめ”の駅は全てホームドアが付けられている。
完全に天井まで覆うタイプのものだ。
だからなのか、乗客が転落して人身事故という話は聞かない。
ゴムタイヤで走行する電車の為、鉄軌道とは違う走行音が聞こえてくる。
愛原:「しれっとしてろ」
リサ:「うん」
地下鉄やケーブルカーにBOWが乗り込んで来るということは過去に他国であったそうだが、新交通に乗るBOWは史上初だろう。
もっとも、そんなことを考えているのは私だけだろうがな。
やってきたのは旧型の車両。
でも、それで良かったかもしれない。
新型だとロングシートしか無い。
これは急増する“ゆりかもめ”の利用者数に合わせ、少しでも乗車定員を増やそうとした結果だ。
旧型だとその前の想定なのか、ボックスシートが付いている。
愛原:「“ゆりかもめ”から見る夜景もきれいなものだそうだよ」
一瞬、展望席(開放された運転席)に目をやった私だが、旅心としてはこっちのボックスシートの方がいいだろう。
窓側に向かい合わせに座るJC2人。
愛原:「はい、撮るよー」
リサ:「ん!」
リサは斉藤さんと肩を組んだ。
何か、まるで男の友情に見えてしまう。
斉藤:「も、萌えっ?!……どうして写真を?」
愛原:「斉藤社長に頼まれたんだ。俺が本当に斉藤さんを旅行に連れて行ったかどうかの証拠写真ね。都営バスは客が多かったし、あそこは撮る暇が無かった」
あとは竹芝桟橋で船を待っている所とか、実際に船に乗っているところの写真でも撮ればいいだろう。
尚、データ流出防止の為、この写真だけはスマホではなく、デジカメで撮る。
[同日21:03.天候:雨 ゆりかもめ東京臨海新交通線2132電車最後尾]
発車の時間になり、ドアブザーが鳴ってドアが閉まる。
ホームドアも閉まると、電車が走り出した。
スーッと速い加速度なのは想定内だが、ガタゴトと揺れたのは道床のコンクリートのせいか?
〔本日も“ゆりかもめ”をご利用頂きまして、ありがとうございます。この電車は、新橋行きです。次は新豊洲、新豊洲です〕
愛原:「俺達にとってのこのルートの見どころは、東京湾を渡る所だよ」
リサ:「おー!夜景がきれいそう!」
斉藤:「私達にとって?……とは何ですか?」
愛原:「いい質問だ。この“ゆりかもめ”に乗った後、今度は船に乗り換えるわけだが、その船がこの“ゆりかもめ”の下を潜るんだよ」
要はレインボーブリッジのことだ。
この“ゆりかもめ”はレインボーブリッジの下層部を走行するが、乗り換え先の船は更にその下の東京湾で、レインボーブリッジを潜り抜けるのである。
斉藤:「それは面白いですね。船でレインボーブリッジを潜り抜ける所、是非見たいです。ねぇ、リサさん?」
リサ:「うん」
霧崎:「ですが御嬢様、外は雨が降ってきたみたいですよ。外に居られるのはどうかと……」
斉藤:「えっ!?」
斉藤さんが改めて窓の外に目をやった。
広いおでこが照明に反射し、それが更に窓ガラスに反射していることは黙っておかなくてはならない。
もっとも、時折リサの瞳も赤く光ったりしているのだが。
旅行気分で気持ちが高揚しているからだろう。
ここで第1形態に変化するのは勘弁してほしい。
斉藤:「ウソでしょ!?何でこんな時に雨が!?」
愛原:「天気予報では曇マークになってるんだけどね」
斉藤:「ウェザーニュースにクレーム言ってやるわ!」
愛原:「まあまあ。これはただの通り雨だ。すぐに止むよ。雨マークに切り替わる間も無かったんだろう」
私的には、どうせ降るなら今のうちここで降ってもらいたいものだ。
八丈島で降られた上、海が時化ようものなら欠航だぞ。
この時点でも欠航のお知らせは無いので、恐らく大丈夫だとは思うがな。
〔「右へ曲がります。ご注意ください」〕
豊洲駅前の大きな十字路交差点を右折し、その先にあるバス停でバスが止まった。
豊洲駅には駅前ロータリーがあって、そこがバスプールになっているのだが、新橋行きのバスはそこには入らず、外側の通り沿いのバス停に止まる。
屋根が無いので、雨の時は大変だろう。
今は雲は出て来たものの、雨が降っていることはない。
〔「ご乗車ありがとうございました。豊洲駅前、豊洲駅前です」〕
引き戸式の中扉が開いた。
愛原:「よし。降りるぞ」
リサ:「はーい」
豊洲駅前バス停は乗り降りが激しい所なのか、下車客が多いものの、乗車客も多く、バス停の前で長い列を作っていた。
バスを降りて、“ゆりかもめ”の駅に向かう。
敷島:「いい加減、早いとこ連載再開してもらわないと……」
シンディ:「既に忘れられているんじゃないでしょうか?」
敷島:「それは困る」
ん!?
今すれ違った人、もしかしてだいぶ前、埼京線の幽霊電車で会った……あれ!?いない!?
リサ:「どうしたの、先生?」
霧崎:「何かございましたか?」
愛原:「い、いや、あれ……?今そこに、眼鏡を掛けた俺くらいの歳のスーツの人と、背の高い金髪の白人みたいなお姉ちゃんがいなかったか!?」
斉藤:「えー?いませんよ?」
リサ:「先生、幻覚でも見た?」
霧崎:「私も金髪に染めていますけど、私のことですか?」
愛原:「違う!……あれ?……気のせいか」
リサ:「先生、きっと疲れてる。早いとこ、船に乗ろう」
愛原:「そ、そうかな」
私は首を傾げて、“ゆりかもめ”の乗り場に向かった。
もっとも、あの埼京線の幽霊電車でさえ、今となってはただの夢だったのではと思うくらいだ。
愛原:「幽霊電車か……」
リサ:「えっ?」
あの幽霊電車は結局、運転士も車掌もいない自動運転だった。
そして、これから乗る“ゆりかもめ”もまた、運転士も車掌もいない自動運転だ。
愛原:「乗車位置は最後尾でいいかな?」
リサ:「どこでもいい」
ダメだ。
未だにあの幽霊電車のトラウマが……。
斉藤:「先生、こちらですか?」
愛原:「そうそう」
地下鉄豊洲駅が地下に潜るのに対し、高架鉄道の“ゆりかもめ”はエスカレーターで上がる。
愛原:「Pasmoはまだ使うよ」
いちいちキップを買わなくていい。
便利になったものだ。
〔まもなく1番線に、折り返し、新橋行きが参ります〕
愛原:「どうする?次の電車にするかい?」
リサ:「そうする」
“ゆりかもめ”の駅は全てホームドアが付けられている。
完全に天井まで覆うタイプのものだ。
だからなのか、乗客が転落して人身事故という話は聞かない。
ゴムタイヤで走行する電車の為、鉄軌道とは違う走行音が聞こえてくる。
愛原:「しれっとしてろ」
リサ:「うん」
地下鉄やケーブルカーにBOWが乗り込んで来るということは過去に他国であったそうだが、新交通に乗るBOWは史上初だろう。
もっとも、そんなことを考えているのは私だけだろうがな。
やってきたのは旧型の車両。
でも、それで良かったかもしれない。
新型だとロングシートしか無い。
これは急増する“ゆりかもめ”の利用者数に合わせ、少しでも乗車定員を増やそうとした結果だ。
旧型だとその前の想定なのか、ボックスシートが付いている。
愛原:「“ゆりかもめ”から見る夜景もきれいなものだそうだよ」
一瞬、展望席(開放された運転席)に目をやった私だが、旅心としてはこっちのボックスシートの方がいいだろう。
窓側に向かい合わせに座るJC2人。
愛原:「はい、撮るよー」
リサ:「ん!」
リサは斉藤さんと肩を組んだ。
何か、まるで男の友情に見えてしまう。
斉藤:「も、萌えっ?!……どうして写真を?」
愛原:「斉藤社長に頼まれたんだ。俺が本当に斉藤さんを旅行に連れて行ったかどうかの証拠写真ね。都営バスは客が多かったし、あそこは撮る暇が無かった」
あとは竹芝桟橋で船を待っている所とか、実際に船に乗っているところの写真でも撮ればいいだろう。
尚、データ流出防止の為、この写真だけはスマホではなく、デジカメで撮る。
[同日21:03.天候:雨 ゆりかもめ東京臨海新交通線2132電車最後尾]
発車の時間になり、ドアブザーが鳴ってドアが閉まる。
ホームドアも閉まると、電車が走り出した。
スーッと速い加速度なのは想定内だが、ガタゴトと揺れたのは道床のコンクリートのせいか?
〔本日も“ゆりかもめ”をご利用頂きまして、ありがとうございます。この電車は、新橋行きです。次は新豊洲、新豊洲です〕
愛原:「俺達にとってのこのルートの見どころは、東京湾を渡る所だよ」
リサ:「おー!夜景がきれいそう!」
斉藤:「私達にとって?……とは何ですか?」
愛原:「いい質問だ。この“ゆりかもめ”に乗った後、今度は船に乗り換えるわけだが、その船がこの“ゆりかもめ”の下を潜るんだよ」
要はレインボーブリッジのことだ。
この“ゆりかもめ”はレインボーブリッジの下層部を走行するが、乗り換え先の船は更にその下の東京湾で、レインボーブリッジを潜り抜けるのである。
斉藤:「それは面白いですね。船でレインボーブリッジを潜り抜ける所、是非見たいです。ねぇ、リサさん?」
リサ:「うん」
霧崎:「ですが御嬢様、外は雨が降ってきたみたいですよ。外に居られるのはどうかと……」
斉藤:「えっ!?」
斉藤さんが改めて窓の外に目をやった。
広いおでこが照明に反射し、それが更に窓ガラスに反射していることは黙っておかなくてはならない。
もっとも、時折リサの瞳も赤く光ったりしているのだが。
旅行気分で気持ちが高揚しているからだろう。
ここで第1形態に変化するのは勘弁してほしい。
斉藤:「ウソでしょ!?何でこんな時に雨が!?」
愛原:「天気予報では曇マークになってるんだけどね」
斉藤:「ウェザーニュースにクレーム言ってやるわ!」
愛原:「まあまあ。これはただの通り雨だ。すぐに止むよ。雨マークに切り替わる間も無かったんだろう」
私的には、どうせ降るなら今のうちここで降ってもらいたいものだ。
八丈島で降られた上、海が時化ようものなら欠航だぞ。
この時点でも欠航のお知らせは無いので、恐らく大丈夫だとは思うがな。