[7月20日12:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
〔「新型コロナウィルスの感染者が毎日3ケタを超えております。このウィルスの猛威は留まることを知りません」〕
昼休みに入り、私と高野君は高橋が作ってくれた冷やし中華を食べていた。
事務所内にあるテレビを点けると、毎日コロナウィルスのことばかりだ。
愛原:「今日は晴れて暑いから、冷やし中華はいいね!」
高野:「ホント。今年初めて食べたわ」
高橋:「ありがとうございます。先生」
高橋は喜んでいた。
給湯室が高橋の厨房になってるの、このビルじゃうちのフロアくらいだろう。
因みにリサは学校に行っている。
彼女ら、修学旅行に行けるのだろうか?
リサは新型コロナウィルスなど、モノともしないだろうけどな。
その時、事務所に電話が掛かってきた。
高野:「あら?電話だわ」
高野君はすぐに電話に出た。
高野:「お電話ありがとうございます。愛原学探偵事務所でございます。……霧崎さん?」
高橋:( ゚Д゚)
高野:「マサですね。ちょっと待ってください」
高野君は電話を保留にした。
高野:「マサ、彼女さんから電話よ」
高橋:「お、おう」
何故か狼狽している高橋。
で、何故か電話に出ることを躊躇している。
愛原:「おい、どうしたんだ?早く電話に出ろよ」
高橋:「あ、はい……」
高橋は自分の机の上の電話機に手を伸ばした。
高橋:「お、おい。仕事中だぞ?事務所に掛けんなよ。私用電話で、先生に怒られちゃうじゃねーか」
何だ。
そんなこと気にしてたのか。
どうせ今は昼休みだし、向こうから掛けてくる分には私も目を瞑るよ。
高橋:「そ、そうなのか?悪ィ。さっきケータイいじくってたから、変なとこ押しちゃったのかもな。あ、ああ、分かってるよ。後で直しとくから」
んん?
何の話をしている?
高橋:「分かってるって。今度は必ず俺から電話するからよ。だから、もう事務所に掛けてくんな。……ああ、分かってるから!」
ここ最近、霧崎さんが事務所に掛けてくることがあった。
それも、こうやって昼休みの時間中が多い。
霧崎さんも、きっと私用電話を業務中に掛けるのはマズいと思い、昼休みを狙って掛けてくるのだろう。
高橋:「ああ、それじゃーな」
高橋は急ぐように電話を切った。
愛原:「よっ、色男!女の子に追い掛けられて、羨ましいじゃないか!」
高橋:「俺は先生一筋なんです。一流の探偵になる為、昼夜問わず、如説修行に明け暮れなくてはなりません。今、女にうつつを抜かすわけには……。南無一閻浮提広宣流布、法統相続対象外、六波羅蜜……」
愛原:「おい、坊さんになる修行してるんじゃないぞ。恋愛と結婚は自由だ。そこは好きにしていい」
高野:「霧崎さんもマサのスマホに掛ければいいのに、どうして事務所に掛けてくるんだろうね?」
高橋:「何か、いつの間にか、あいつの番号、着信拒否設定してたみたいで……」
愛原:「何やってんだよ!それじゃ霧崎さんもびっくりして事務所に掛けてくるだろうが!」
高橋:「サーセン」
高野:「ていうか霧崎さん、昨日も一昨日も事務所に掛けてきたよね?もしかして、何日も着信拒否状態だったの?」
高橋:「い、いや、そうじゃねぇ!たまたま電話に出れなかっただけだよ!」
高野:「ここ最近、忙しくなかったでしょ?すぐに折り返せばいいじゃない!」
高橋:「だから忘れてたんだよ!」
愛原:「そういえば高橋、オマエ最近、霧崎さんと会ってるか?」
高橋:「い、いや、それは……アレですけど……」
愛原:「ほら、それだよ。霧崎さんも高橋に会えなくて寂しいんだよ」
高橋:「いや、その……アレですよ。ここ最近また、コロナとか凄いじゃないですか。しかも、感染者の殆どが俺達みたいな20代とか30代とか……。なもんで、自粛してるんです」
愛原:「別にオマエも霧崎さんも、『夜のお店』とか、行ってないだろ?歌舞伎町とか錦糸町とか行かなければ大丈夫だよ」
高野:「先生、秋葉原のメイドカフェもバイオハザード発生地帯です」
愛原:「別に霧生市みたいにゾンビが出たわけじゃないんだから……」
高野:「もしかしてマサ、霧崎さんに飽きたってわけじゃないだろうね?」
高野君は高橋に冷たい目を向けた。
高橋:「んんんなワケない!ヤツの性欲の強さに負けかけてるだけだ!」
愛原:「そうなのか?」
高橋:「あ……」
高野:「自白したw そりゃ20代だもの。性欲は強くて当然よ。ねぇ、先生?」
愛原:「高橋、これで分かったか、俺の気持ちが?」
高橋:「サーセン」
高野:「何の話ですか?」
愛原:「20代の性欲も強いけど、10代の性欲も留まることを知らないってことだ」
私はリサの顔を思い浮かべた。
高野:「先生。いくらリサちゃんがBOWだからって、アラフォーが手を出したら犯罪ですからね?リサちゃんは普段、曲がりなりにも人間の姿をして、知性も理性も人間同然なんですから」
愛原:「だからそれはリサ本人に言ってくれないかな?俺はリサの父親代わりになるつもりでいるのに……あいつと来たら、『先生の奥さんか性奴隷になる』なんて言ってやがるんだぜ?」
高野:「お幸せに。JC萌えのロリコン先生」
愛原:「俺のせいじゃないって言ってんだろ!善場主任に報告したら、『彼女の機嫌を損ねて暴走させては問題です。彼女の望みを叶えて暴走が抑えられれば、多少の違法行為は特例としますよ』って言ってくる始末だし!」
高野:「良かったじゃないですか。政府特務機関公認のロリコンになれて」
愛原:「アホか!」
高橋:「先生。俺、有給何日かありますよね?」
愛原:「おう!何日どころか、何週間もあるよ」
高橋:「ちょっと使わせてもらっていいですか?理由は真珠絡みです。これ以上、先生に御迷惑は掛けられませんので」
愛原:「おう、いいぞいいぞ!パーッと旅行にでも行ってこい!あいにくと、Go toキャンペーンは東京は除外されてしまったがな」
高橋:「ありがとうございます」
高野:「先生にお土産忘れるんじゃないよ?」
高橋:「分かってるって」
私は、高橋は霧崎さんを連れて『婚前旅行』に行くものと思っていた。
2人はもう体の関係であるし、結婚まで考えている旨をボンヤリ聞いたからだ。
高橋のゲイが治って、ノーマルになってくれることを期待していた。
だが、高橋は思わぬ行動に出る。
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
〔「新型コロナウィルスの感染者が毎日3ケタを超えております。このウィルスの猛威は留まることを知りません」〕
昼休みに入り、私と高野君は高橋が作ってくれた冷やし中華を食べていた。
事務所内にあるテレビを点けると、毎日コロナウィルスのことばかりだ。
愛原:「今日は晴れて暑いから、冷やし中華はいいね!」
高野:「ホント。今年初めて食べたわ」
高橋:「ありがとうございます。先生」
高橋は喜んでいた。
給湯室が高橋の厨房になってるの、このビルじゃうちのフロアくらいだろう。
因みにリサは学校に行っている。
彼女ら、修学旅行に行けるのだろうか?
リサは新型コロナウィルスなど、モノともしないだろうけどな。
その時、事務所に電話が掛かってきた。
高野:「あら?電話だわ」
高野君はすぐに電話に出た。
高野:「お電話ありがとうございます。愛原学探偵事務所でございます。……霧崎さん?」
高橋:( ゚Д゚)
高野:「マサですね。ちょっと待ってください」
高野君は電話を保留にした。
高野:「マサ、彼女さんから電話よ」
高橋:「お、おう」
何故か狼狽している高橋。
で、何故か電話に出ることを躊躇している。
愛原:「おい、どうしたんだ?早く電話に出ろよ」
高橋:「あ、はい……」
高橋は自分の机の上の電話機に手を伸ばした。
高橋:「お、おい。仕事中だぞ?事務所に掛けんなよ。私用電話で、先生に怒られちゃうじゃねーか」
何だ。
そんなこと気にしてたのか。
どうせ今は昼休みだし、向こうから掛けてくる分には私も目を瞑るよ。
高橋:「そ、そうなのか?悪ィ。さっきケータイいじくってたから、変なとこ押しちゃったのかもな。あ、ああ、分かってるよ。後で直しとくから」
んん?
何の話をしている?
高橋:「分かってるって。今度は必ず俺から電話するからよ。だから、もう事務所に掛けてくんな。……ああ、分かってるから!」
ここ最近、霧崎さんが事務所に掛けてくることがあった。
それも、こうやって昼休みの時間中が多い。
霧崎さんも、きっと私用電話を業務中に掛けるのはマズいと思い、昼休みを狙って掛けてくるのだろう。
高橋:「ああ、それじゃーな」
高橋は急ぐように電話を切った。
愛原:「よっ、色男!女の子に追い掛けられて、羨ましいじゃないか!」
高橋:「俺は先生一筋なんです。一流の探偵になる為、昼夜問わず、如説修行に明け暮れなくてはなりません。今、女にうつつを抜かすわけには……。南無一閻浮提広宣流布、法統相続対象外、六波羅蜜……」
愛原:「おい、坊さんになる修行してるんじゃないぞ。恋愛と結婚は自由だ。そこは好きにしていい」
高野:「霧崎さんもマサのスマホに掛ければいいのに、どうして事務所に掛けてくるんだろうね?」
高橋:「何か、いつの間にか、あいつの番号、着信拒否設定してたみたいで……」
愛原:「何やってんだよ!それじゃ霧崎さんもびっくりして事務所に掛けてくるだろうが!」
高橋:「サーセン」
高野:「ていうか霧崎さん、昨日も一昨日も事務所に掛けてきたよね?もしかして、何日も着信拒否状態だったの?」
高橋:「い、いや、そうじゃねぇ!たまたま電話に出れなかっただけだよ!」
高野:「ここ最近、忙しくなかったでしょ?すぐに折り返せばいいじゃない!」
高橋:「だから忘れてたんだよ!」
愛原:「そういえば高橋、オマエ最近、霧崎さんと会ってるか?」
高橋:「い、いや、それは……アレですけど……」
愛原:「ほら、それだよ。霧崎さんも高橋に会えなくて寂しいんだよ」
高橋:「いや、その……アレですよ。ここ最近また、コロナとか凄いじゃないですか。しかも、感染者の殆どが俺達みたいな20代とか30代とか……。なもんで、自粛してるんです」
愛原:「別にオマエも霧崎さんも、『夜のお店』とか、行ってないだろ?歌舞伎町とか錦糸町とか行かなければ大丈夫だよ」
高野:「先生、秋葉原のメイドカフェもバイオハザード発生地帯です」
愛原:「別に霧生市みたいにゾンビが出たわけじゃないんだから……」
高野:「もしかしてマサ、霧崎さんに飽きたってわけじゃないだろうね?」
高野君は高橋に冷たい目を向けた。
高橋:「んんんなワケない!ヤツの性欲の強さに負けかけてるだけだ!」
愛原:「そうなのか?」
高橋:「あ……」
高野:「自白したw そりゃ20代だもの。性欲は強くて当然よ。ねぇ、先生?」
愛原:「高橋、これで分かったか、俺の気持ちが?」
高橋:「サーセン」
高野:「何の話ですか?」
愛原:「20代の性欲も強いけど、10代の性欲も留まることを知らないってことだ」
私はリサの顔を思い浮かべた。
高野:「先生。いくらリサちゃんがBOWだからって、アラフォーが手を出したら犯罪ですからね?リサちゃんは普段、曲がりなりにも人間の姿をして、知性も理性も人間同然なんですから」
愛原:「だからそれはリサ本人に言ってくれないかな?俺はリサの父親代わりになるつもりでいるのに……あいつと来たら、『先生の奥さんか性奴隷になる』なんて言ってやがるんだぜ?」
高野:「お幸せに。JC萌えのロリコン先生」
愛原:「俺のせいじゃないって言ってんだろ!善場主任に報告したら、『彼女の機嫌を損ねて暴走させては問題です。彼女の望みを叶えて暴走が抑えられれば、多少の違法行為は特例としますよ』って言ってくる始末だし!」
高野:「良かったじゃないですか。政府特務機関公認のロリコンになれて」
愛原:「アホか!」
高橋:「先生。俺、有給何日かありますよね?」
愛原:「おう!何日どころか、何週間もあるよ」
高橋:「ちょっと使わせてもらっていいですか?理由は真珠絡みです。これ以上、先生に御迷惑は掛けられませんので」
愛原:「おう、いいぞいいぞ!パーッと旅行にでも行ってこい!あいにくと、Go toキャンペーンは東京は除外されてしまったがな」
高橋:「ありがとうございます」
高野:「先生にお土産忘れるんじゃないよ?」
高橋:「分かってるって」
私は、高橋は霧崎さんを連れて『婚前旅行』に行くものと思っていた。
2人はもう体の関係であるし、結婚まで考えている旨をボンヤリ聞いたからだ。
高橋のゲイが治って、ノーマルになってくれることを期待していた。
だが、高橋は思わぬ行動に出る。