報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「関東に戻る」

2024-12-10 21:11:03 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[6月14日16時30分 天候:曇 静岡県富士市日乃出町 出光ハートランド富士SS]

 ナビ通りに進み、国道のバイパスを南下する。
 そして自動車専用道路も過ぎて、本当の一般道に入った頃、ガソリンを入れて洗車をしようと、反対車線にあるガソリンスタンドに入った。
 セルフスタンドであり、先に給油をしてから洗車しようと思ったわけである。

 愛原「よし、給油頼む」
 パール「かしこまりました」

 パールはレギュラーガソリンを入れ始めた。
 昔のライトバンは軽油だったものだが、今はレギュラーが当たり前にになって来ている。
 リサは車に乗ったまま、居眠りしていた。
 さすがに疲れたのだろう。

 給油が終わると、今度は洗車機で洗車。
 果たしてアンバーの血の跡が落ちるかどうか不安だったが……。

 リサ「凄い雨!?」

 セルフ洗車機なので、車には乗ったままである。
 私もトラックドライバーだった頃、所属していた運送会社の車庫に備え付けられていた洗車機で、車に乗ったまま洗車していたものである。
 リサがビックリして飛び起きた。

 愛原「違う。洗車だよ」
 リサ「せんしゃ……」

 洗車機が車の前後を移動する。

 リサ「遊園地のアトラクションみたい!」
 愛原「あー、そうだな……」
 パール「そう見えなくもないですね」

 そして洗車が終わり、車は拭き上げスペースに移動した。
 車を降りて、汚れが落ちたどうかを確認する。

 愛原「良かった良かった。だいたい落ちてる」

 少なくとも、見える位置に付いていたアンバーの血などは、今の洗車で落ちていた。
 但し、傷はさすがにそのままだったが。

 愛原「あとは傷の事を申告するだけだ」
 パール「オプションで保険には入っていましたから、それで何とかできないか、ですね」
 愛原「そうだな」

[同日17時00分 天候:雨 富士市柳島 日産レンタカー新富士駅前店]

 レンタカーショップに車を返しに行くと、意外な人物と遭遇した。

 善場「愛原所長、お疲れさまです」
 愛原「善場係長!?どうしてここに!?」
 善場「もちろん、これから例の現場の調査に行く所です。静岡事務所だけでは手が足りないとのことなので」
 愛原「そうだったのですか……」
 善場「それより、車は大丈夫ですか?」
 愛原「あー、それなんですけどねぇ……」

 私は車のボンネットを見せた。
 あちこちアンバーが付けた爪の引っ掻き傷ができている。

 スタッフ「これが、野生動物に引っ掛かれた傷の後ですか?」
 愛原「はあ……。一応……」
 善場「修繕費用が掛かるようでしたら、こちらで負担しますよ」
 愛原「恐れ入ります」
 スタッフ「弊社には御連絡頂いたようですが、警察には連絡されましたか?」
 愛原「いえ、それが、野生動物との衝突だったので、そこまでは連絡していなくて……」
 スタッフ「事故の時に、弊社の他、警察への連絡が無い場合、保障の対象外となってしまいます」
 愛原「やっぱりそうですよねぇ……」
 スタッフ「一応、どのような動物だったか確認したいので、ドラレコの方を確認させて頂きます」
 愛原「えっ!?そ、それは……!」

 さすがに化け物と化したアンバーの姿を、何も知らない一般人に見せるのはヤバいのではないか?

 善場「修繕費用は、私共で持ちます。請求書はこちらに送ってください」

 善場係長は、名刺を差し出した。
 その名刺は公安調査庁の物ではなく、デイライトの物だった。

 スタッフ「えっ?あの、皆様は一体……?」
 善場「あとは私共にお任せください。所長方は、どうぞ先へ進んでください」
 愛原「は、はあ……。ありがとうございます。宜しくお願い致します」

 私は善場係長の指示に従うことにした。

 パール「宜しいのですか?」
 愛原「ドラレコ見られたら、さすがにマズいからな。ここは善場係長達に任せて、俺達は関東に戻ろう」
 パール「……かしこまりました」

 もしかしすると善場係長、現地調査は表向きで、実は私達を待っていたのかもしれない。

[同日17時15分 天候:雨 富士市川成島 JR新富士駅]

 急ぎ足で新富士駅の中に入る。

 リサ「先生、駅弁買っていい?」

 リサが夕食を所望したので、私は了承した。
 リサは昼もガッツリ食べていたような気がするが、私やパールはあまり食べていない。

 愛原「ああ、そうしよう」

 ここでは私とパールは幕の内弁当にし、リサは牛すき弁当にした。
 夕食にはまだ早い時間帯だが、まだ調査は終わっていない。
 夕食の時間が確保できるかどうかの保証は全く無い為、食べれるうちに食べておくのが探偵の鉄則である。
 駅弁を購入すると、今度はキップ売り場に行ってキップの購入。
 自動券売機で3人分、購入する。

 愛原「新幹線は大宮まで買おう。乗車券は北与野駅までだな」
 パール「東京から大宮まで新幹線ですか?」
 愛原「時間も無いし、ちょっと急ごうと思う。善場係長も、必要な経費なら認めると言ってくれてるし」
 パール「かしこまりました」

 キップは9枚も出て来た。
 ということはつまり、1人3枚ということである。
 具体的には、まずは新富士駅から北与野駅までの乗車券が1枚。
 それと、新富士駅から東京駅までの新幹線特急券が1枚と、東京駅から大宮駅までの新幹線特急券が2枚である。
 2枚別々に出て来たのは、JRが異なるということも去ることながら、東海道・山陽新幹線と違って、東京駅では必ず乗換改札口を通過しなければならないからだろう。
 即ち、自動改札口にキップは乗車券と東京駅までの特急券を投入すれば良いということになる。

 

 改札口からコンコースに入る。

 リサ「先生、トイレ行ってきていい?」
 愛原「いいよ。駅弁は俺が持っておこう」
 パール「私は一服してきます」
 愛原「行ってらっしゃい」

 コンコースに取り残される私。
 どちらが早く戻って来るかな。
 私は壁際に立つと、2人を待った。

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