報恩坊の怪しい偽作家!

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“愛原リサの日常” 「実力テスト初日の放課後」

2023-10-26 12:01:51 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月23日14時30分 天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]

 

 リサ「うーん……。誰だ、こんなの貼ったのw」

 リサは掲示板に貼られた注意書きを見て苦笑した。
 この掲示板もまた、一時期『学校の七不思議』に取り上げられていたことがある、曰くつきの掲示板であった。
 まだ副担任の倉田恵美がこの高校の1年生だった時、3年生だった語り部の先輩女子に聞いた話だという。
 かなり昔の卒業生一同が寄贈したものであり、寄贈当初は、『生徒一人一人の絆を深める為に』と書かれていて、その時は普通の掲示板だったという。
 それがいつしか、誰かが『絆』の所を、『溝』と彫る悪戯をしてしまったが為に、『呪いの掲示板』となってしまったとのこと。
 そうなった経緯についてだが、当時、数学のテスト結果が悪かった女子生徒が、イジメの被害に遭い、この成績の悪い答案を貼り出されて晒し物にされ、それからというもの、その女子生徒は不登校になり、ついには自殺を図った後で、この掲示板には怨念が籠ってしまったという話をリサは聞いている。
 しかしながらただの噂だったようで、リサが寄生虫を仕掛けて様子を見てみたものの、結局何も起こらなかったことから、再び掲示板の利用が再開されている。
 とはいえ、学校公式の掲示板はそこかしこにあるので、1度廃止されたこの掲示板は、ウィキペディアに対するアンサイクロペディア的な立ち位置に置かれ、生徒達が自由に貼り付けて良い掲示板となっていた。
 リサが購買部に行くのにこの掲示板の前を通ったところ、冒頭のような貼り紙がされていた次第。
 尚、『呪いの掲示板』だった名残はまだあるのか、たまに貼り付けられた紙の内容で、トラブルが発生することもあるようだ。
 例えば……。

 学年主任「早く帰れと言っただろう!」
 帰宅部員A「学校側が部活動を禁止にしたんじゃないですか!僕達、帰宅部員は部活動を禁止にされた以上、学校に泊まり込むしかないんです!」
 学年主任「帰宅部は学校に公式に認められた部じゃない!所詮、同好会だ!」
 帰宅部員A「所詮!?所詮だって!?」
 帰宅部員B「今、何と言いました!?『所詮、同好会』!?『所詮、同好会』!?」
 帰宅部員C「ああ、終わりだ!俺達の居場所を否定された!」
 学年主任「何をバカなことを言ってるんだ!テストはあと3日続くんだぞ!早く帰れ!」
 帰宅部員A「ボク達は、あの世に帰るしか無いんだ!」
 帰宅部員B「そうだ、屋上だ!屋上という玄関から地上の家に飛び下りて帰るんだ!」
 帰宅部員C「それしかない!」
 学年主任「こ、こら、待て、お前ら!早まるんじゃない!」
 リサ「あーあ……。3人も自殺者出ちゃうね。この学校、また大騒ぎになるな……。まあ、既に死んだ肉だったら、食べても問題無いよね?w」

 リサが禁止されているのは、『人間を殺して食べること』である。
 リサは帰宅部員達が飛び下り自殺をするであろう、屋上の下で待ち構えることにしたのだが、何故か帰宅部員達はこっちに走ってきた。
 飛び下りて潰れたトマトになったばかりの新鮮な血肉を頂く計画だったのだが……。

 学年主任「愛原!その3人を捕まえてくれーっ!」
 リサ「えー……」

 リサはあからさまに嫌そうな顔をした。

 学年主任「捕まえてくれたら、内申点良くしてやる!」
 リサ「そういうことなら……」

 リサは右手から触手を出して、鞭のようにしならせた。
 そして、帰宅部員の足を絡め捕る。

 帰宅部員一同「わぁーっ!」

 帰宅部員達は全員派手にスッ転んだ。

 リサ「ついでに寄生虫のプレゼントw」

 リサは口の中から芋虫大の寄生虫を3匹取り出すと、それを1匹ずつ帰宅部員達の口に捻じ込んだ。

 学年主任「お前ら、大丈夫か!?」
 リサ「三上先生、捕まえておきました」
 学年主任「でかした、愛原!生徒指導室まで来てもらおう!」

 騒ぎを聞きつけた他の教員もやってきて、3人の帰宅部員は連行されていった。
 リサ自身も広義的には帰宅部員の1人ではあるのだが、この3人があえて『帰宅部という名の同好会』に入っているのに対し、リサはそもそもBSAAやデイライトから部活動への入部を許可されていないという違いがある。
 学校側もこの事は理解しているので、学年主任もリサの事は何も言わなかったのである。
 但し、部活動の手伝いくらいならデイライトから黙認されている。
 直近だと美術部の絵のモデルとか、新聞部の“学校の七不思議特集”の語り部とか……。

 リサ「それにしても、どうしてこんなことに?受験ノイローゼ?まさかね……」

 連行される3人の後ろをついていくリサだが、導線上、例の掲示板の前を通ることになる。

 リサ「もしかして、これのせい?」

 リサは掲示板から、件の貼り紙を剥がしてみた。

 帰宅部員A「……はっ!ボク達は今まで何を!?」
 帰宅部員B「こ、ここはどこ!?ワタシは誰!?」
 帰宅部員C「???」
 学年主任「お前ら、何を今さら!」
 教員「屋上から飛び降り自殺をしようとしたらしいな?話なら聞くなら、生徒指導室まで来てもらうぞ」
 帰宅部員A「な、何のことですか!?」
 帰宅部員B「自殺なんて図ってませんよ!?」
 帰宅部員C「誤解です!」
 学年主任「嘘つけ!さっきお前ら、屋上に向かって走って行っただろうが!」
 教員「恥ずかしがらなくてもいいからね?後で親御さんにも連絡して……」
 帰宅部員A「親は……親はカンベンしてください!」

 リサはポカーンとして、帰宅部員達の豹変ぶりを見送った。

 リサ「やっぱり、『呪いの掲示板』なのかなぁ……???」

 リサは不思議そうに、その掲示板を見つめた。
 『溝』の部分はパテで埋められ、改めて『絆』という文字に彫り直されていたのだが、1度呪いを込められて彫られた文字は、そう簡単に消さないのかもしれない。

 リサ「来年度の“学校の七不思議特集”のネタにできそうだね。ありがとう。感謝するよ」

 リサは誰もいない掲示板に向かって、そう礼を述べた。
 そして、改めて購買部に向かったのだった。
 営業自体は終了しているが、ブルマ購入注文書自体はいつでも取れるようになっていたからだ。

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