[8月3日18:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]
私の名前は愛原学。
都内で探偵事務所を経営している。
今日は新しいマンションへ引っ越す為の荷造りをしていた。
明日の午前中には、引っ越し業者が来ることになっている。
その為、今日の夕食は宅配ピザに缶ビールを頼んだ。
愛原:「プハーッ!あーっ、美味い!」
私はピザ片手に缶ビールを口に運んだ。
高橋:「先生、お疲れ様でした」
愛原:「うん!2人もご苦労さんね!明日は午前中に引っ越し屋さんが来るから」
高橋:「はい!」
リサ:「分かった!」
引っ越しの前祝いってヤツだな。
夕食を済ませた私は、早めに風呂に入ることにした。
このマンション最後の風呂だ。
愛原:「お風呂〜、お風呂〜。ん?」
その時、私は洗濯機の上に置いたはずの自分の着替えとタオルが無くなっているのに気づいた。
愛原:「2人とも、俺の着替えとタオル知らないか?」
リサ:「えっ?」
高橋:「安心してください!俺がちゃんとしまっておきました!」
愛原:「え?」
高橋:「え?」
ダンボールの山を見て呆然とする私達。
愛原:「着替えとタオルの箱……どれだ?」
高橋:「えーっと……。サーセン……」
するとリサが目を閉じて、右手をダンボールの山に突き出した。
リサ:「……この箱。この箱の中に先生の服が入ってる」
高橋:「なにっ!?」
愛原:「そんなことが分かるのか?」
リサ:「うん。何となくだけど、そんな感じがする」
高橋:「オマエ、そんな不確定なこと……」
リサ:「まあまあ、高橋君。モノは試しと言うじゃないか」
私は早速、リサの指し示すダンボール箱を開けてみた。
すると……。
愛原:「あった!俺の着替えとタオル!」
リサ:「やっぱり」
高橋:「凄ェ能力だ……」
恐らく、これで隠れた敵を探し出すんだろうな。
やはり、敵に回してはいけないと思う。
[8月4日09:00.天候:曇 同マンション→同じ地区内の新マンション]
引っ越し屋:「おはようございまーす!報恩引っ越しセンターです!」
愛原:「はい。よろしくお願いします」
まとめた荷物やそうでない大型家電を次々と運び出す引っ越し業者。
ここから新しいマンションまでは、そう遠くない。
せいぜい、車で5分といったところである。
私達はタクシーで新マンションへ向かった。
事務所のビルと同じ5階建てで、そこの4階が私達の部屋だ。
エレベーターがあるので、これを使って新しい部屋へ次々と荷物を入れる業者。
高橋:「内見の時は広々とした部屋でしたが、いざ荷物を入れるとそうでもないですね」
愛原:「それでも前のマンションより一部屋多いんだ。ま、こんなもんさ」
高橋:「はい」
愛原:「それじゃ、部屋の使い道を決めよう。ここが俺の部屋、そこが高橋君の部屋、そしてここが……リサの部屋」
リサ:「私の部屋ですか!?」
愛原:「ああ。自由に使うといいよ。ベッドとか机とかも必要かな。どこかで安く手に入らないかな……」
高橋:「俺の仲間に、要らなくなったのがあったら寄越すように伝えてみますか」
愛原:「あー、そうだな……。か、もしくは安く手に入る所があったらお願いするとか……」
高橋:「でしたら……」
高橋がポンと手を叩いた。
高橋:「俺の知り合いに、リサイクルショップやってる奴がいるんです。そいつに聞いてみますよ」
愛原:「いい人脈持ってるな。よろしく頼むよ」
高橋:「はい!」
高橋は早速自分のスマホを取り出し、リサイクルショップに連絡を取った。
布団は予備用のヤツをそのまま使ってもらえばいいだろう。
それとも、また新しく買うか?
高橋:「ビンゴですよ、先生。ベッドと机、両方ありましたよ。押さえてもらいましたんで、早速行きましょう」
愛原:「さすがは高橋君だな。ただ、車を用意しなきゃいけない」
高橋:「分かってますよ」
愛原:「あれだぞ?走り屋さん用の車じゃダメだぞ?」
高橋:「安心してください」
高橋は大きく頷いた。
確かに高橋の知り合いがワンボックスで来てくれたのは良かったが、その外観が【お察しください】。
まあ、その……何だ。
煽り運転上等といったものであるとだけ言っておこう。
[同日11:00.天候:曇 東京都墨田区菊川 愛原の新マンション]
安く手に入ったベッドは、黒いパイプベッドだった。
机や袖箱に関しても、会社の事務机といった感じである。
女の子の部屋に使うにしては随分と味気ないものであるが、まあ、あくまで暫定使用だ。
そのうちいい物が手に入ったら、ということにしよう。
ベッドにあっては解体されている状態だったので、簡単に車に積めた。
どうも高橋は、私のことを仲間内に誇張して触れ回っているようで、私がタイラントだのネメシスだのを倒したことになっている。
タイラントは研究所の自爆装置に巻き込まれて死んだだけであり、そもそもネメシスは日本の研究所にはいなかったようだぞ。
高橋の友人:「霧生市の英雄さんに協力できて、マジ号泣っス!」
愛原:「いや、あのね……」
私の背後にガチのラスボスがニコニコしながら立っていることは、黙ってておくとしよう。
高橋が器用にベッドを組み立てる。
高橋:「この上に布団を敷けば完了です」
愛原:「ありがとう」
リサ:「ありがとう!お兄ちゃん!」
高橋:「フン……」
机と椅子が完全に事務用だな。
まあ、しょうがないか。
かなり安く手に入れた手前、贅沢は言えない。
愛原:「思ったより早く終わったので、午後には事務所に顔を出せるだろう」
高橋:「そうですね」
愛原:「仕事の依頼があるだろう、事務所からの呼び出しもあるだろうと思って期待していたんだけど、全く高野君から連絡が無い……」
高橋:「そのうち仕事の依頼がありますよ」
私達は荷解きを行い、それから事務所へ向かうことにした。
私の名前は愛原学。
都内で探偵事務所を経営している。
今日は新しいマンションへ引っ越す為の荷造りをしていた。
明日の午前中には、引っ越し業者が来ることになっている。
その為、今日の夕食は宅配ピザに缶ビールを頼んだ。
愛原:「プハーッ!あーっ、美味い!」
私はピザ片手に缶ビールを口に運んだ。
高橋:「先生、お疲れ様でした」
愛原:「うん!2人もご苦労さんね!明日は午前中に引っ越し屋さんが来るから」
高橋:「はい!」
リサ:「分かった!」
引っ越しの前祝いってヤツだな。
夕食を済ませた私は、早めに風呂に入ることにした。
このマンション最後の風呂だ。
愛原:「お風呂〜、お風呂〜。ん?」
その時、私は洗濯機の上に置いたはずの自分の着替えとタオルが無くなっているのに気づいた。
愛原:「2人とも、俺の着替えとタオル知らないか?」
リサ:「えっ?」
高橋:「安心してください!俺がちゃんとしまっておきました!」
愛原:「え?」
高橋:「え?」
ダンボールの山を見て呆然とする私達。
愛原:「着替えとタオルの箱……どれだ?」
高橋:「えーっと……。サーセン……」
するとリサが目を閉じて、右手をダンボールの山に突き出した。
リサ:「……この箱。この箱の中に先生の服が入ってる」
高橋:「なにっ!?」
愛原:「そんなことが分かるのか?」
リサ:「うん。何となくだけど、そんな感じがする」
高橋:「オマエ、そんな不確定なこと……」
リサ:「まあまあ、高橋君。モノは試しと言うじゃないか」
私は早速、リサの指し示すダンボール箱を開けてみた。
すると……。
愛原:「あった!俺の着替えとタオル!」
リサ:「やっぱり」
高橋:「凄ェ能力だ……」
恐らく、これで隠れた敵を探し出すんだろうな。
やはり、敵に回してはいけないと思う。
[8月4日09:00.天候:曇 同マンション→同じ地区内の新マンション]
引っ越し屋:「おはようございまーす!報恩引っ越しセンターです!」
愛原:「はい。よろしくお願いします」
まとめた荷物やそうでない大型家電を次々と運び出す引っ越し業者。
ここから新しいマンションまでは、そう遠くない。
せいぜい、車で5分といったところである。
私達はタクシーで新マンションへ向かった。
事務所のビルと同じ5階建てで、そこの4階が私達の部屋だ。
エレベーターがあるので、これを使って新しい部屋へ次々と荷物を入れる業者。
高橋:「内見の時は広々とした部屋でしたが、いざ荷物を入れるとそうでもないですね」
愛原:「それでも前のマンションより一部屋多いんだ。ま、こんなもんさ」
高橋:「はい」
愛原:「それじゃ、部屋の使い道を決めよう。ここが俺の部屋、そこが高橋君の部屋、そしてここが……リサの部屋」
リサ:「私の部屋ですか!?」
愛原:「ああ。自由に使うといいよ。ベッドとか机とかも必要かな。どこかで安く手に入らないかな……」
高橋:「俺の仲間に、要らなくなったのがあったら寄越すように伝えてみますか」
愛原:「あー、そうだな……。か、もしくは安く手に入る所があったらお願いするとか……」
高橋:「でしたら……」
高橋がポンと手を叩いた。
高橋:「俺の知り合いに、リサイクルショップやってる奴がいるんです。そいつに聞いてみますよ」
愛原:「いい人脈持ってるな。よろしく頼むよ」
高橋:「はい!」
高橋は早速自分のスマホを取り出し、リサイクルショップに連絡を取った。
布団は予備用のヤツをそのまま使ってもらえばいいだろう。
それとも、また新しく買うか?
高橋:「ビンゴですよ、先生。ベッドと机、両方ありましたよ。押さえてもらいましたんで、早速行きましょう」
愛原:「さすがは高橋君だな。ただ、車を用意しなきゃいけない」
高橋:「分かってますよ」
愛原:「あれだぞ?走り屋さん用の車じゃダメだぞ?」
高橋:「安心してください」
高橋は大きく頷いた。
確かに高橋の知り合いがワンボックスで来てくれたのは良かったが、その外観が【お察しください】。
まあ、その……何だ。
煽り運転上等といったものであるとだけ言っておこう。
[同日11:00.天候:曇 東京都墨田区菊川 愛原の新マンション]
安く手に入ったベッドは、黒いパイプベッドだった。
机や袖箱に関しても、会社の事務机といった感じである。
女の子の部屋に使うにしては随分と味気ないものであるが、まあ、あくまで暫定使用だ。
そのうちいい物が手に入ったら、ということにしよう。
ベッドにあっては解体されている状態だったので、簡単に車に積めた。
どうも高橋は、私のことを仲間内に誇張して触れ回っているようで、私がタイラントだのネメシスだのを倒したことになっている。
タイラントは研究所の自爆装置に巻き込まれて死んだだけであり、そもそもネメシスは日本の研究所にはいなかったようだぞ。
高橋の友人:「霧生市の英雄さんに協力できて、マジ号泣っス!」
愛原:「いや、あのね……」
私の背後にガチのラスボスがニコニコしながら立っていることは、黙ってておくとしよう。
高橋が器用にベッドを組み立てる。
高橋:「この上に布団を敷けば完了です」
愛原:「ありがとう」
リサ:「ありがとう!お兄ちゃん!」
高橋:「フン……」
机と椅子が完全に事務用だな。
まあ、しょうがないか。
かなり安く手に入れた手前、贅沢は言えない。
愛原:「思ったより早く終わったので、午後には事務所に顔を出せるだろう」
高橋:「そうですね」
愛原:「仕事の依頼があるだろう、事務所からの呼び出しもあるだろうと思って期待していたんだけど、全く高野君から連絡が無い……」
高橋:「そのうち仕事の依頼がありますよ」
私達は荷解きを行い、それから事務所へ向かうことにした。