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采配 落合博満

2011-12-07 23:38:23 | スポーツへの想い
「采配」・・・

以前、愛甲投手の「プロ野球ガチンコ観戦ノート」を読んだ時に、愛甲選手は打者転向の話を書いていた。
そこには、選手にしてチームリーダーの落合博満が、アドバイスとコーチングを買って出る場面がある。牽引役としての打者落合博満は、グランドの中でも既にコーチとも監督とも思しき(おぼしき)行動を取る人だというイメージだけが残っていた。

いくつか著作を出されているが、最新作の「采配」を発売とほぼ同時に手にした。
ちょうど・・・日本シリーズ真っ只中だったか。

読んでみて思ったのだが、色々あった落合監督。
WBCへの中日選手の出場がなかったこととか、山井に日本シリーズの9回だかにパーフェクト目前で投手交代を告げたとか。。。
その際の心境あたりを滔々と書いている部分が多い。
その他にも「オレ流」と揶揄されることが多く、そのマスコミそのものに対する「お前等、ちょっとふざけるな。真面目にやれ!」という意識がとても強い人なのだと読んで思った。「オレ流」なんて一個もない、全て模倣だし、歴史を振り返ればそうした監督はちゃんといる(居た)ということを主張している。

確信者で無口なので、凄味が強く、オーラと思える鎧を纏っているように見えても、「俺だって人間」という腹はちゃんと持っている。それよりもプロ意識と劣等感を克服した意識の方がよほど強く、全ての出会いを感謝の気持ちに変えて臨んでいることがよく分かる。なんとなくどこにも隙がないように見えてしまうことは事実だけど。。。


心に一番残ったエピソードは、一軍に甘えを許さないこと。
脅しでもなんでもなく、「痛いならファームに落としてやるから、ちゃんと言え」と全選手に伝えている。その気持ちで試合に出したところで、上手くいかなければひと悶着もふた悶着もあるわけで、、、無理に使っただの、なんのかのと、、、
だったら自己管理も含めてしっかりやれということらしい。デッドボールの上手い避け方くらいちゃんと身に付けてみせろという意識が根底にある。

また、選手の育成プロセスは、選手の自主性に任せていることも気に止まった。
時間を区切ったりすれば、時間までをやり過ごすことになってしまうので、敢えて何時までと練習時間を区切らなかったようだ。
納得いくまで練習するがいい。落合博満はどうしたら打てるのかを懸命に考え、懸命に出来るように努力し、出来たらいつでもそれが出来るように更に磨きをかけ続けた経験を自身の選手生活の中に置いてきた身で、それを云っている。
練習で選手が潰れてしまったら、、、、そもそも練習で潰れなくても芽が出なければ選手という職業は渡り合っていけない。
優れた選手というものは見出されるが、それがドラフト1位というようなプライドではないという経路を辿っているので、甘えは許されないわけである。才能といっても満点な新人というのも余程でない限りいないわけで。。。。

高校野球部退部、大学野球部中退、社会人という経歴からのプロ野球スタートの落合監督。
花道というものだらけの人生ではない男には、その全ての経験が(特に社会人として働いた経験が)血になり、思考を作り上げているようだ。

屁理屈、臍曲がりに思われがちで無口なだけに、男の生き様にかけては死に物狂いで考え抜いている。


前作のコーチングも読んでみます。
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