とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

「夏の思い出」の尾瀬の季節とは?

2012-08-09 19:58:57 | いろいろ
新聞記事に、夏の尾瀬の事が書かれていた。
今の時期は、木道が真っ直ぐ延びた湿原に黄色いニッコウキスゲが咲き乱れている。
その中には、巨大なレタスみたいな青々とした葉のミズバショウが育っている。
残念ながらミズバショウの白い花は、既に5~6月で咲き終わっている。
夏休みに尾瀬に来る人の中には、ミズバショウの花がこの時期に咲いているものと勘違いして来る人が結構いるらしい。

その誤解されるようになった原因は、名曲「夏の思い出」にあるようだ。
詩人の江間章子さんが作詞し、後に「日本のシューベルト」と称された中田喜直さんが作曲したこの唱歌は、
1949(昭和24)年、NHKのラジオ番組「ラジオ歌謡」から生まれた。
放送されるやいなや大ヒットし、尾瀬ブームにつながったという。

その歌詞は、こうなっている。

夏が来れば 思い出す
はるかな尾瀬(おぜ) とおい空
霧のなかに うかびくる
やさしい影 野の小路(こみち)
水芭蕉(みずばしょう)の花が 咲いている
夢見て咲いている水のほとり
石楠花(しゃくなげ)色に たそがれる
はるかな尾瀬 遠い空

この歌詞だけ見ると、夏の尾瀬にはミズバショウの花が咲いているととれてしまう。
花の時期を知らない人が、あの歌を作ったのではないかとか、
作詞をした江間章子さんが夏でも水芭蕉を見ることのできる土地で幼少を過ごしたための誤りではないかと
言われているらしいが、実際のところはどちらも正しくないようだ。

新聞記事によると、江間さんは戦争末期の1944年、物資買い出しの途中、尾瀬の入り口付近で、咲き乱れる白い花に出合ったという。同行者は初めて見る花に驚きの声を上げたが、江間さんは逆に黙り込んだ。父の死後、母親の実家のある岩手県平舘村(現八幡平(はちまんたい)市)で子供時代を過ごした彼女にとってそれは、故郷の山麓(さんろく)で見慣れた「ベコ(子牛)の舌」と呼ばれる花だったから懐かしい故郷と再会した思いだったという。著書には、<水芭蕉が最も見事な、五、六月を、私は「夏」とよぶ。歳時記の影響だと思う>と書かれているそうだ。

気象学の四季の分類は、春・3~5月、夏・6~8月、秋・9~11月、冬・12~2月、としているが、歳時記では、気象学上の季節をひと月ほど先取りしているそうだ。ゆえに、歳時記に照らし合わせれば5,6月を夏と呼ぶことも間違いではないといえる。

昨年の福島第1原発事故の後、尾瀬周辺の桧枝岐村の観光業も風評被害に苦しんでいるという。2度目の夏を迎えても、客足は今なお完全には戻らないらしい。この夏休みには、久しぶりに夏の尾瀬に行くつもりである。ミズバショウの花は咲いていないが「夏の思い出」をしっかり頭にイメージしつつ歩いてきたいと思っている。