新年号は、昨年の大会の推薦作が載るので、厚い! わがファンタジー分科会の推薦作「幸せのしっぽ」(後藤耕)も。ホントおもしろい。本になってほしいです。
他に今号で、おもしろかったのは「インドさんとぼく」(小磯モモコ)という作品でした。なんか今でもじわじわと、いい作品だなと。この作品、他の人はどう読んだんだろうと気になっています。外国人の扮装をしたテレビコマーシャルが先日やり玉にあげられましたが、もしかしたらこのターバンを巻いたインドさん。名前を覚えてもらえず「インドさん」と呼ぶあたりも、インド人をバカにしているなんていう人もいたりして? 本にするとしたら、そのあたりがネックになるのかどうか? 短編連作なので、1編1編がエピソードだけで終わっているともいえる。でも、どれも気持ちが温かくなるエピソードだし、インドさんのおかげで自分が兄を好きだと気づくところもいい。このまま一冊の本にしよう! と出版社が名乗り出てくれたら、ブラボーなのに、(一面識もない作者の作品に勝手に妄想)なんて思ってしまいました。1編1編の絵本にしても、楽しそう。掲載されたというのは、編集委員から支持があったということだし、「季節風」的な作風ではないこの作品が掲載されたことは、私は拍手したいと思ったのです。でも、掲載されただけで終わってほしくないなあと、思った作品でした。(この作品に限らずなのですがね)
私は、今号では書評として、佐々木ひとみさんの『もののけ温泉ー滝の湯へいらっしゃい』を紹介させていただきました。タイトルは「幸いなるかなーメッセージという屋台骨」です。書評を書くときは、読んでいない方が、これを読んで(この本を読みたいと思う)ような文章というのを第一に心がけています。もちろんすでに読んでいる方も多いわけなので、そういう方は共感をしていただけるといいなと。大先輩の作家さんのお言葉として、「書評は、作者も気づかないその作品の価値を見つけ出して書くくらいの気持ちで」(正確ではないのですが)というところには、まだまだ到達できていないかな……。
そしてこの号で、あさのあつこ代表を始め、編集委員が「特定秘密保護法」へのきっぱりとした反対表明をされました。この法案は、国政レベルのものだから関係ないのか、都知事選ではあまり言及されていません。でも、私は候補者がどういう考えを持った人なのか? というところで知りたいと思うのですが。政治家としてアマチュアだったと言って辞めた前都知事のあと、立候補している中に、この人だったら! という感触のある人がいない。でも選ばなくてはならない。このジレンマ、
今のような複雑な時代、一人の人間がトップに立って、政治を行うのが難しいのかと、感じてしまうこのごろです。人はだれも完璧ではない。だから、秘密裏に事を運んではいけない。だって、そうしたらごまかすことができるのだから。